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可愛い恰好をしたまま、執務室で過ごす

「ね、サシャ。しばらくこの格好のままでいようよ」

「しばらくとはいつまでだ……?」

「今日一日中とか」

「……流石に一日中は困る」

「そうなの? でも特に人と会う予定はないってユエバードから聞いたけれど」

「……城内の者どもに見られてしまうだろう」



 僕の言葉にサシャはそんな風に言う。



 今はこの場にいる侍女たちに見られているだけなのだけど、城内で働いている他の人たちに見られるのが恥ずかしいみたい。

 サシャに仕えている人たちだから、口は堅いだろうし、見られても問題はないと思うけどなぁ。




「じゃあ、限られた人だけが来れる場所でのんびりしよう? 僕とブリギッドが他の人に見られないようにすることも出来るし」

「……それならよかろう」



 サシャは本当に僕の頼みは結局頷いてくれるなぁと思う。



 それにサシャって本当に嫌だったら無理やりでも着替えると思うから、なんだかんだ気に入っているのかな?



 もしかしたら可愛い恰好をしたいと言う気持ちはあったけれど、サシャ自身が似合わないと思っていたから着ていなかったとか? サシャ自身は否定するかもしれないけれど、心の底ではそうだったのかもしれない。



 それから僕たちはサシャの執務室に一日籠ることになった。



 僕とブリギッドは特に一緒にこもる必要はないとサシャには言われたけれど、サシャが部屋にこもるっていうなら可愛いサシャの恰好を見つめていたいから一緒にそこにいることにする。

 可愛い服装のまま執務室で書類と向き合っているサシャ。




「これって僕らが見ても問題ないもの?」



 僕はサシャにそう問いかける。



 僕は内政とかよく分からない。ルズノビア王国では聖女という立場の存在が政治に関わることは望ましくないとされていたし。こういう為政者の執務室に入るとかなかったしね。




「機密事項もあるがある程度は構わない。本当に見せることが出来ないものは事前に言う」




 サシャがそう言ってくれたので、僕とブリギッドはその書類をのぞき込む。うわ、なんだか文字がびっしり!



 難しい単語も沢山書かれている。

 僕がきいたことない単語とかもあって、サシャはこれらに全部目を通して判断しているのかと思うと、凄いなぁと思う。




「文字がびっしりね。こういう書類をサシャは沢山見ているの?」




 ブリギッドは守護精霊で長生きしているけれど、そういう書類はあまり見てこなかったのかもしれない。ブリギッドの気に入った聖女や聖人がそういう内政に関わってこなかったからこそ、見てこなかったのかも。



 僕も機会がなければこんな風に書類を見ることなんてなかった。サシャは皇族として産まれて、女帝としての教育を受けてきたからこういう書類もなんなくこなしていくことが出来るんだろうなぁ。



 帝国内で起きている出来事。それの決定権が全てサシャにあるわけだよね。

 サシャが取り入れた施策が全て、この帝国中に影響する。僕の聖女という立場も多くの人に影響を与えるものではあるけれど、女帝って立場は凄いなと思う。

 世の中にはそういう内政を他に任せている王様とかもいるみたいだけど、サシャはちゃんと実務を行っている。




「そうだな。いつも目を通している。我が決定しなければならないものも多いのだ」

「そうなの? 大変そう」

「達成感はある。ブリギッドも何か良い意見があったら教えてくれ。長く生きてきた守護精霊だからこそ出来る指摘がきっとあるはずだ」




 サシャは向上心もあるようだ。というかサシャは自分の決めたことはやり切るタイプみたいだけど、人の意見は取り入れようとするようだ。

 守護精霊であるサシャの考え方は、精霊と人で種族が異なるからこそその考え方を取り入れるのってきっと難しいことだ。



 その取り入れ方を間違えたら、国が大変なことになったりするのかなって思う。

 そういうのも含めて、サシャはきちんとやろうとするんだろうなと思う。それにサシャが道を間違えそうになったら助けてくれる人もきっといそうだよね。




「ウルリカもどんどん意見を言うといい」

「んー。僕は聖女ではあるけれど、孤児育ちだし、サシャの役に立つ意見出せないかもよ?」

「それでもかまわぬ。なんでもいいから気づいたことは言ってくれた方が助かるからな」

「じゃあ、何か気づいたら言ってみる!」




 僕は聖女になる前は孤児院育ちだし、聖女になってからも特定の教育しかされていない。僕の考え方はちょっと偏っているのかなと思っている。

 僕が間違った意見を言ったら、サシャは指摘してくれるんだろうな。

 僕が気づいたことが役に立つかは分からないけれど、気づいたことがあったら言ってみよう。




 それから僕とブリギッドはずっとサシャと話しながら、サシャのことを見ていた。




 僕らが出来そうな簡単なお手伝いもやらせてもらった。見ても良い書類の仕分けとかそういうのをやったんだ。でもそういうことに関しても結構大変だった。

 ユエバードは簡単にそれらをこなしていて、その辺もやっぱり凄い。

 なんだろう、僕の出来ないことを出来る人って全員凄いなと思う。

 ずっとじっとしているのも疲れそうのに、皆、平然と椅子に座ったままだしね。



「サシャは凄いね」

「うん、とても凄いわ」



 僕とブリギッドでそう言ってサシャとユエバードのことを褒めた。

 サシャは相変わらず照れていて、ユエバードは笑って「ありがとうございます」と言っていた。


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