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火車(妖怪)4

 


『冗談はさておき』

「む?」



 相棒の言葉に九尾の翁は眉をひそめる。



『翁どの』

「何だね?霊界ラジオのお嬢さん?」

『貴方達 猫又が何故こんな所に?』


 ふむ。



「御存知の通り我ら猫又は長生きした猫が变化したもの」

「それは知ってるけど」



 何か話が変な方向に飛んだな?



『以前聞きました』

「ではその起源は?」

「知らないな」

『生憎と』



 というか普通知らんやろ。



「ふう~~ん霊界ラジオのお嬢さん」

『なんです?』

「貴方達 猫又が何故こんな所に? と言いなさったな」

『ええ』

「それは我ら猫又の起源が関係してる」

『それは一体?』




  猫又の起源。




 というか猫又がどうやって発生するか教えてくれた。




 



 ペットとして飼われていた家猫が変化したのが穏やかな猫又になり。

 野良猫が化けた猫又は人に害をなすらしい。



 ペットとして飼われた猫は人の家族を深く愛する。

 場合によっては恩返しをしたり厄災から家族を守るようになるとか。








 余談だが何方の猫又も二十年生きた猫が変化したものだ。





「相棒」

『何だ?』



「先程、医療技術が発展したお陰と言ってたよね」


 ジト目で言う僕。


『いったな』

「違うやんっ!」



 思わず突っ込んだ。



『おおう』


 明後日の方を見るな。


「ということはここに居るのは?」

「全て飼猫から变化した物だ」


 ふうん。


「普段は人間の家族と仲良く暮らしてたんだが……」

「何か起きたんですか?」




 ニイ。

 ミイ。

 ミヤア。




 翁の言葉に寂しそうな顔をする猫たち。


 何があったんだ?


「どうも最近、人間の家族の死骸が奪われる騒ぎが起きてるんだ」

「それはそれは……それの何が関係してるんだ?」


 はて?


「奪ってる者が猫の化け物だと」

「あ~~そう言われてるのですか?」

「うむ」

 


 ああ。



 そうか成る程。



 確かに起源に関わるわ。



 ペットから変化した猫又には耐え難い濡れ衣だろう。


 何しろ人間の家族に疑われてるから。

 愛する家族に。



「つまりそれで疑いの目で見られていると?」

「そうだ」




 あ~~。



 まあ~~確かに。


 猫の化け物。


 等と言えば身近な猫をみて疑うよね。



 あれ?



「というかその人間は、あなた方達が猫又という事を知ってるので?」

「いや知らぬ」


 知らんのかい。

 思わずコケそうになる。


「それなのに何で疑いの目を向けられてるんで? おかしいでしょう?」

「猫の化け物が……と聞けば疑心暗鬼になるわ」

「何時か家の猫が悪さをするかもと?」

「そうだ」


 凄い説得力。


 しかも猫又だし。


 あながち間違ってないし。


「あ~~確かに」





 ああ。

 



 普段は気にしない様な行動すら怪しく感じる。



 そう思われているという事だ。




「分かってくれたかな?坊主」

「ええ」


 

 となると……。


「ならば犯人は野生の猫が変化した猫又では?」

「それは私も考えた」

「では」



 おお。




 犯人の目星は付いてるのか。


「だから、『これは!』という死体を見張っているのだ」


 犯人の目星が付いてないのかい。


「マテ」


 頭痛がしてきた。



「どうした?」

「見張るってこんな近くで?」

「そうだが?」



 キョトンとして首を傾げる翁。

 可愛い。


 ではなく。


「いつから?」

「噂が出始めてから」



 おいおい。



「それから急激に目撃者が増えたとか噂聞きません?」

「よくわかったな」

「やはり」



 頭痛い。



「どうかしたか?」

「それが原因で貴方達に疑いの目を向けられてるんですよっ!」



 思わず突っ込みました。

 ええ。


「ゑ?」



 何でマジ?

 等という顔をする。



 普通に考えれば分かるだろうに。

 不穏な噂が広がり始めた時にそんな事をすれば。


 当たり前だと思います。


「せめて距離を置くとか、見張る数を減らせばまだマシだったでしょうに」

「そうかの? 見張番を減らしたら犯人を見逃すのでは?」

「そこは死角を潰すしかないですね」

「そんなものか?」



 そうですよ。

 ああ~~だから猫は……。


 頭痛い。


「あ~~でも離れすぎて連絡が取れないのもアレだし……」



 スマホとか持ってないだろうし。

 猫だしな~~。



「それは問題ない」

「はい?」



 何言ってるのコノ翁?

 意味分からん。


「我らは念話で遠くにいる同胞達と通話が出来る」

「それがあれば見張り数を減らせると思うけど」



 凄い便利何だけど……。

 何故それを活用する方法思いつかんかいな?


「え?」


 ポカンとする翁。



「何です? その気が付かなかったという仕草は」


 まあ良いが……。


 猫が首を傾げてる動作。

 可愛いな~~。




 モフモフしたい。



「うん」


 ニイ。

 フウウウ。

 シャアア。



 何故か翁達猫又は数歩僕から距離を取る。




「どうしました?」

「いや寒気が」


 翁の言葉にウンウンと頷く猫又達。

 はて?

 何でだろう?


「ということは人の血の味を覚えた野生の猫又と化け猫が犯人かな?」

「それは聞き捨てならないですね」


 その瞬間ゾワリと寒気がした。

 背筋が凍りつく感じがする。

 発生源は九尾の翁。

 鋭利な目でこちらを見つめている。

 殺意を感じる。



「これは我らへの侮辱と取っても良いですかな?」

「すみません迂闊な発言でした」

「よろしい」

「有難うございます」

「我らの仲間は恨みや主人の仇を打つことはあれど、好んで人は食わない」

「失言でした」


 本気で言い過ぎた。



「それはそうと化け物の正体は何でしようね?」

「そうだな」



 僕と翁は首を捻る。

 猫に似た化け物……。




 化け猫と猫又しか思いつかん。

 


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― 新着の感想 ―
[一言] 何方 何方(どちら) 何方(どっち)と双方の読み方がありますから読手に任せるか、ルビで使い分けるかどうかの判断が難しい所ですなぁ。
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