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火車(妖怪)3

 




 声は近くから聞こえた。



 そう近くから。


 僕はゾッとした。



 近距離。



 しかも直ぐ近く。


 何か得物を持っていたら間違いなくやられる至近距離。



 その声が下の方から聞こえた。


 そんな位置に居ながら気配に気づかないなんて……。




 不味い。


 僕は意識を戦闘モードに変えた。



 



 殆どの武術は下からの攻撃を想定してない。

 故に僕はその格闘技での対処映像を視聴していない。

 だから対処しにくい。





 そう思い僕は一歩離れる。



 間合いを離れるため。




 不味い。



 選択を間違えた。




 だけど相手の攻撃手段次第では寧ろ悪手になる。




 そう思い離れたが……。




「どうしましたか?」




 思わず僕は唖然とした。



 敵では無かったからだ。


 いやある意味敵の方が良かっただろうか?



 返答に困る。



 かなり混乱してると自覚してる。



 なぜなら其処にいたのは予想外の人物だったからだ。

 いやこれは違うかもしれない。

 


 何しろ僕を見上げて居るのは猫だったからだ。


 尻尾を複数持った猫。


 九尾の猫だったからだ。



 化け猫?



 いや尾が分かれてるから……。


 猫又か?



 それはそうと……。

 コイツ……。


 猫又で良いんだよな?





「い……いや……」

「驚いている所を見ると、坊主は発生して日の浅い妖怪かな?」

「ああ……いや僕は……」

「失礼。私は九尾の猫タマと申します」

「いやその僕は……」

「ああ~~済まない。今風で言えば都市伝説というやつか」

「そうだな」

「ということは君は都市伝説の何なのかね?」



 うわ。



 不味い。


 話が成立しない。


 話をしようとしてるのではない。

 自分が喋りたいだけ。

 人の意見を聞く気が無い。

 もしくは聞くタイミング。

 会話のキャッチボールが出来ないタイプだ。


『その辺にしといてくれないか』

「おや?」

『九尾の翁殿』


 僕の前に相棒が立つ。

 まあ~~相棒の立体映像なんだが。


「知り合いか?」

『この辺の家猫と猫又や化け猫を束ねる九尾の猫又だ』

「九尾の猫又?」



はて?


『猫は十年で化け猫、二十年生きれば猫又に成る。翁殿は三百年生きた妖怪だ』

「凄い長生き」



 三百年って……。


『現代の医療技術の発展のおかげだ」

「いや無理だから」

『人の医療技術は進化すると聞いてたがこれは予想を超えていた』

「今の医療技術でも不可能だから」


 普通に無理と分かる。

 というか人間でも三百年は無理。

 


「これはこれは……霊界ラジオのお嬢さんではないか」 

『久しぶりだな』


 あれ?」

 知り合い?


「数ヶ月ぶりですな~~」

『うむ』


 相棒が頭を下げている。

 猫に。

 猫又が正解だろうが。


「所でこの坊主は君の……」

『そんな所だ』

「おお~~番かっ!」

『違うわあああああああああああああっ!』

「乳繰り合ってるからてっきりそうと思ったが」

『乳繰り合ってないわっ!』

「いや先程思う存分お嬢さんの胸を揉みしだいてたろう其処の坊主は?」

『そうでしたああああああああっ!』


 うん。

 文字通りね。

 いいな此の九尾の翁。

 

「堪能させて頂きました」

『お前は何も言うなああああっ!』



 相棒涙目です。



 幻像で話してるけど涙目です。


 流石に僕に弄られた直後だ。

 精神的余裕が無いみたいですね。

 うん。


「相棒」

『ナニ』

「どんまい」

『お前が言うなああああああああああああああっ!』


 ああ~~相棒弄ると面白いね。



 とはいえ死体の近くで不謹慎ですね。

 ええ。

 というか僕の感性壊れてるな。

 はは……。



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― 新着の感想 ―
[一言] 此奴 こ奴、こ奴が慣用的に使われはいますが、著者様の個性になっておりますので、此奴(こいつ)なのか此奴(こやつ)なのか冒頭だけでもルビを打って欲しいと言うのが読手としての本音ですかな(笑…
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