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 第二章 プロローグ

 











 妖怪。





 妖怪と言うものが有る。








  妖怪ようかい






  妖怪ようかいとは。



 日本で伝承される民間信仰において、人智を超える現象だ。


 あるいは。

 そう或いは。


 それらを起こす存在。


 不可思議な力を持つ非日常的・非科学的な存在だ。



 あやかし

 物の怪もののけ

 魔物まものとも呼ばれる。


 


 妖怪は日本古来のアニミズムと八百万の神の思想……。

 及び人の日常生活や自然界の摂理にも深く根ざしている。


 その思想が森羅万象に神の存在を見出されてる。



 またその一方で。


 否定的に把握された存在や現象がある。


 それが妖怪だ。



 神と妖怪は表裏一体の関係だ。




 それはなぜか?



 時代ごとに人間が超自然現象と感じる事象の範囲は異なるからだ。

 その範囲は時代を逆上る程に広がる。





 古来より伝わるアニミズムというものが有る。


 その思想は。




 あらゆる事象に宿るとされていた霊的存在。

 つまりは「物の気」などとも表現されてきた。

 古来霊魂はそれぞれが感情を持つとされる。


 それが「和魂」「荒魂」だ。


 和んでいれば豊作のような吉事をもたらすのが「和魂」。



 荒れていれば災害や疫病のような凶事をもたらす「荒魂」。






 荒魂を和魂に変える手段がある。

 其れが「祭祀」であり「鎮魂」であった。


 先祖や偉人。

 自然や動物。


 それらを和魂として守り神となってもらえるように祀りあげてきた。


 凶事と畏怖をもたらす存在もだ。

 祀ることで凶事をもたらさなくなるよう鎮魂してきた。




 上手く祀ればだが。





 荒魂のうち祀られなかった。

 祀ることに失敗した。

 祀り捨てられた存在が有る。




 それが妖怪だ。






 中世から書物を通じて妖怪が生まれていく。


 絵巻物や御伽草子。


 等といった具体的な姿を持った妖怪たちが続々と登場しだした。


 寺社縁起として製作される絵巻。

、御伽草子をはじめ娯楽性の高い絵巻。



 妖怪は娯楽の対象になり始めていく。



 






 古代では文章でしか語られてこなかった妖怪……。

 

 

 中世においては絵と物語で次々に視覚化されていった。



 

 江戸時代には妖怪のの実在性を疑問視していた人がいた。

 そんな時代。


 それと同時に江戸時代には百物語のような怪談会が流行し始めた。



 その頃から浮世絵などの画題としても妖怪は描かれた。




 有名な妖怪を描いた画家も出始めた。

 


 現代。

 そう現代では。

 


 古代から現代にかけて様々な形で妖怪は伝承されてはいる。

 だがその情報は数でいえばとても少ない。



 それとは対象的に新たな妖怪が誕生していく。

 噂話や世間話などを基盤とした新しい妖怪が。


 口裂け女。

 トイレの花子さん。

 カシマさん。

 夕暮れ時に現れる殺人鬼。

 霊界ラジオ。

 

 近年生まれた妖怪を扱ったマスコミや書籍では「現代妖怪」と称してる。

 だが昔に誕生した妖怪と区別するために人はこの現代妖怪をこう呼ぶ。



「都市伝説」



 ……と。

























 ――バサ。

 ――バサ。
























 カア。

 カア。














 ――バサ。

 ――バサ。

 ――バサ。


























 カア。

 カア。

 カア。




 白い。




 純白のドレスのような白い空。








 白い空に鴉が飛んでいる。







 沢山の鴉が。











 朝日を浴びた鴉はその奇妙な美しさを感じさせる。


 白に映える黒。

 









 僕はビルの屋上からそれを見上げていた。

 








 ため息を付きながら僕は前を向く。







 金網に遮られた光景が目に飛び込む。

 








 未だ眠る気配の無い大都市。










 「大無羅(おおむら)市」



 その息吹を感じられる。

 





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