都市伝説<夕暮れ時に現れる殺人鬼> 1
それは有る過ぎ去りし日の事。
『ねえ■ー君将来お嫁さんに■てくれる?』
『やだ』
『何■っ!?』
『僕将来は胸の大っきいお姉さんをお嫁さんにするの』
『……』
悲しそうな顔で幼馴染は自分の胸を触る。
『無名~~みーちゃんに馬鹿なこと言うなよ』
呆れた声で■■が僕をたしなめる。
『え~~』
『だった■胸おっきくなって無ー君のお嫁さんになるっ!』
『うん良いよ~~』
『やったああああああっ!』
『後ね目を髪で隠して欲しい』
『髪で?』
僕は前髪を隠す理由を教えた。
目を隠すことによる萌の強化を。
他の利点として目を隠すのは……。
顔を見られたくない。
恥ずかしい。
だから前髪で覆う。
こちら側から相手が見える。
だけど相手からは表情が読みにくい。
そんな効果が得られるという利点があるかな。
『『うわ~~』』
等と詳しく説明したら引かれた。
ドン引きされた。
何で?
等と言いたい。
――そんな記憶を思い出した。
「最悪な気分や」
僕は夢を見ていた。
過去の出来事を。
過ぎ去った過去を。
そして続きの訪れない夢を。
あの日から数日後みーちゃんは死んだ。
通り魔に殺されて。
――ジジッ。
わんわん泣いたのを覚えてる。
僕ともう一人の幼馴染で。
其の様子からあいつもみーちゃんを好きだったと初めて知った。
今はいないが……。
あ……。
あ……は……。
あはははっ!
これで僕は一人か……。
多数の女子と付き合うようになったのは呆れたが。
そう呆れたな……。
もう居ないのか。
あいつ……。
それはそうと……。
僕が見上げた天井。
ヒビだらけのコンクリートだ。
LEDランタンの光で照らされた天井。
シミや汚れが酷い。
光源は僕の直ぐ横。
そこにLEDランタンが有る。
起きた僕がパニックを起こさないようした配慮だろう。
というか此処は……。
見たことも無い場所だ。
「知らない天井だ」
まさか僕がこの有名な言葉を言う羽目に成るとは……。
体中が痛い。
硬い所に寝かされた影響だろう。
「う~~」
バキバキと体が痛い。
肩を回しながら僕は起き上がる。
腕時計の時刻は二十三時。
完全に夜だ。
『起きたようだな』
何処からか声がした。
僕は周囲を見回す。
すると僕の斜め前。
そこに瓦礫の山が有る。
その頂上に居た。
ラジオを耳に寄せた人物が居た。
その人物が声の主だろう。
――ジジッ。
『無ー■どう■■の?』
記憶が浮上する。
誰だ?
誰だ?
――ジジッ。
『起きたのなら、さっさとここから出ていって……』
嫌な顔をして僕に言う年上の女性。
『何だ?』
初めて見たはずだ。
初めて。
なのに何処か懐かしい感じがする。
――ジジッ。
『無ー■■■?』
僕を見て笑う女の子。
――ジジッ。
「……」
スピーカー越しの声。
少し変な女性。
前髪で目を隠した女性がそこに居た。
――ジジッ。
『無ー■■■?』
――ジジッ。
なんか既視感が有る。
というか何処か懐かしい感じが……。
――ジジッ。
『ねえ■ー君将来お嫁さんに■てくれる?』
『やだ』
『何■っ!?』
『僕、将来は胸の大っきいお姉さんをお嫁さんにするの』
『……』
悲しそうな顔で幼馴染は自分の胸を触る。
『無名~~みーちゃんに馬鹿なこと言うなよ』
呆れた声で■■が僕をたしなめる。
『え~~』
『だった■胸おっきくなって無ー君のお嫁さんになるっ!』
『うん良いよ~~』
『やったああああああっ!』
『後ね。目を髪で隠して欲しい』
『髪で?』
あれ?
このイメージ……。
いや記憶か?
――ジジッ。
女性をよく見る。
何処かの高級ブランドのスーツを着た胸の大きい子だ。
ネイビージャケットにミディアムパンツ。
王道ですね。
組み合わせは……。
それはそうと……。
「何で男物のスーツ?」
『雑誌の写真を参考にしたんだ悪かったな』
「なら普通はレディースでは?」
『拾った雑誌が男物だったんだよ煩いな』
「なら本屋で立ち読みすれば?」
『これを着るのがくせになったんだよ悪いか』
「悪くはないが……」
気のせいだろうか?
その体は少し透けており背後のコンクリートが見える気がする。
気の所為だろう。
多分。
というか明らかに僕より年上にしか見えない。
前髪で目を隠してる人はたまに見る。
オシャレでやってるのではない。
クラスに1〜2人くらい居るタイプの奴だ。
と言うか好みです。
ストライクゾーン真ん中です。
前髪で目を隠した巨乳のお姉さんは。
「良い」
『ゑ?』
戸惑いの声を上げるお姉さん。
「すごく良い」
『ゑ? ゑ?』
瞬きするお姉さん。
「物凄く良い」
『ゑ? ゑ? ゑ?」
後ろに下がるお姉さん。
「凄くいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!」
胸の中で何かが爆発した。
何かが。
萌というか何かが。
『ゑ?』
眼前の女の子が動揺してる。
物凄く動揺してる。
何か予想と違うという感じみたいだ。
「その胸に顔を埋めさせてお姉さんんんんんんんんんんんっ!」
僕は自分の欲望を口にする。
『いやああああああああああああああああああああああああっ!」
ダッシュする僕。
目標はお姉さんの胸。
楽園はここにあったんだ!
大きく。
柔らかく。
フカフカの胸。
ああ。
ああ。
その魅惑の楽園の果実を貪りたいっ!
ヒュウウウウウウウウウウウウ。
目標はお姉さんの胸だ。
さあっ!
楽園へ。
スル。
「あれ?」
何ですり抜ける?
ドスン。
お姉さんの体をすり抜けた.
そのまま僕はコンクリートの床に激突しました。
『怖い怖い怖い……人間怖い』
ブルブルと震える。
怯えた声で言ってるみたいだ。
殆ど聞こえんかったけど。
『記憶消しとこう』
最後は気絶して聞こえんかった。