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真実とエリート街道真っ逆さま

作者: 夜桜

「新時代を作りあげろ。」

エナジードリンクのポスターかよ、とツッコミを入れたくなるほど安直な命令文だが、これは政府協賛の一大実験の同意書の1ページ目だ。



今回の実験では12〜14歳までの1万人の子供が選ばれ、その中でまた1番を決めるようになっている。未来の日本を支えるエリートを簡単に探し出そうという魂胆らしかった。



まずさ第1回目ということで学力・運動・ゲーム等、様々な分野で秀でたヤツらが選ばれたとニュースが伝えていた。



『1日ごと規定の数だけ他人と競争していただけましたら、それ以外は何をしていただいても構いません。お望みのものは全て揃えることが出来ますのでご安心ください。尚、被験者の皆様には一人一つ砂時計をお渡しします。1回負ける事に1粒落ちる仕様です。』



実験は行動をデータ化しやすく、場所の関係もあり仮想空間を使用するそうだ。仮想空間といえど、今では意識、感覚諸共こちら側から移動できるので全く問題はないそうだ。



僕は個室に案内され、特別な装置の中に身を置いた。ガチャン、と周りが閉じ、目を開けるともうそこはどこか西洋を感じさせる街並みに切り替わっていた。

.

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周りを見渡すと続々と人が増えていくのがわかった。恐らく全員が移動をし終えたのだろう、空一面がスクリーンになり実験の説明が始まった。



『これからあなた達の手に砂時計が表示されます。砂粒の残量はご自分でのみ確認できます。砂粒が落ちきった方から脱落となり、現実に戻ってもらいます。最後のお1人がお戻りになりましたら、そこで皆様に現実での対面会及びアンケートに記入頂いてから解散になります。』



手元のウサギボタンで欲しいものがお取り寄せできるとか、思い出はアンケートの時に必要だから覚えとけ位のことを言われて僕らの最初の一日が始まった。



初めのうちは100m走やら学力テストやらをして、一日の規定を突破した。僕は年上ということもあったし、無難に勝てそうな相手を選んだので1敗もせず順調に競技を進めた。



1週間もすると多分4分の1位しか生き残っていなかった。段々強い相手も増えてくる。僕も同い年にちらほら負ける時がでてきた。だが、ウサギボタンでいくらでも美味しいものが食べれるし、現実世界ではありえないこともできるから絶対負けたくなかった。


だって、この前なんて死んだじいちゃんにも会わせてもらったんだぜ。


そして2週間が経ち、目に見えて人が減ってきたのがわかった。そして僕はこの時初めて年下に負けた。そいつはしゅんと言った。しゅんは圧倒的に強かった。ほとんど無意識に僕は競走後話しかけていた。僕らはすぐに仲良くなった。僕としゅんは2人ともこの世界からの脱落を1日でも遅らせることを目標としていた。



僕らはよく1位になったらどうなるのかについて語り合った。

「この世界の定住権とか??」

「それ1位だと1人しか居ないんだから虚しいだけだろw」



僕としゅんは互いに協力して徐々にライバルを減らし、結局2人だけで生き残ることに成功した。どっちが勝っても負けても同時に現実(リアル)にいくから、対面会で絶対会おうぜ。そう約束していた。



最後の競走は単純な計算を素早く捌いた方が勝ちというテストにすることにした。お互い向かい合って、ドンで始める。

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結果はしゅんの勝利だった。3秒差だった。全然歯が立たないなと苦笑して、2人で向き合う。しゅんは手を差し出してきた。ぐっと固い握手をして、僕は自分の最後の砂粒が落ちる音を聞いた。僕は目を閉じた。

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「02番起床です!」遠くで声が聞こえる。ああそうか、現実に戻ったのか。それにしてもしゅんは凄い。よくやるな。と感心していたら、どうやら外が騒がしいことに気づいた。



「13番の応答がありません...!システムエラーで落ちているようです。このまま続けていると02番も共に現実に戻れなくなります...!」



頭が追いつかない。ちょっと待ってくれ。向こうに残ってるのはしゅんだけだ。しゅんはこっちに戻ってこれてない。そう理解した瞬間、「やむをえない..」という声がして、バチン

と視界が真っ暗になった。

.

.

僕が目を開けると研究員のひとりが近づいてきた。



「おめでとう。君が今回の1位だ!」

そう伝えられた。なぜか少し痛む頭をおさえてありがとうございますと言う。思い出は残しておけと言われたのに、何だか最後の方が良く思い出せない。



その旨を伝えると2位までの奴のデータで充分な量が得られたので大丈夫だと言われた。そして外まで御両親が迎えに来てるよ。と言われ僕は外に出た。



外に出ると両親の周りにはたくさんのカメラマンが待ち構えていた。両親も誇らしげで、僕もこんな経験したことがないからとても不思議な気分になった。競争勝つってやっぱ気持ちいい。





ところで研究室の近くで40代ぐらいの男女が泣き喚いてたけどなにかトラブルでもあったのだろうか?



皆様はじめまして夜桜と申します!

本作品は第二作目です。皆様のご意見どんなものでもお待ちしております!

最後までお読み頂きありがとうございました!!


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