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 おはようございます、多分牢屋で監禁されている私です。


 昨日は、来たときとは打って変わってお通夜みたいに帰っていった取調官と思われる彼とメイドさんが帰ったあと、放置プレイでした。

 一般人のことなんて、そりゃ素早く政府も動いてくれないよな、と甘んじて監禁されています。


 昨日は気づいたら違うメイドさんが夕飯を出してくれて、寝間着みたいなもの貸してくれたので、部屋にあるトイレで顔だけ洗って寝ました。


 そして今日。

 休みが今日までだから、本当に早く問題解決してほしい。


 朝食に出されたパンとサラダとオレンジジュースとオムレツを食べながら、神様仏様にお祈りしてみた。


 とりあえず、昨日の服に着替え直してベッドに座ると、ノックの音がした。


「はいどーぞ」


 てっきりメイドさんかと思っていたら、ものすごい美女がドレス姿で立っていた。

 いや、メイドさんも3人くらいついてきてたけど、明らかに場違い感半端ない人が入ってくる。


 ポカンとしている合間に、サイドテーブルが下げられて小洒落たテーブルとおそろいの椅子が運び込まれた。もちろん、紅茶とちっちゃな焼き菓子付きで。


「ごきげんよう。テュルキース辺境伯の妻、キャサリン・マーキス・テュルキースよ」


 部屋に入るや否やで、美女がスカートを広げて腰を落とした。


 え、これどうすんの、と思っているとメイドさんたちに睨まれる。


「あの、こちらこそはじめまして。宮園詩音です」


 どういったご要件で、とは流石に聞けない。


 音もなくすっと立ち上がり、流れるように椅子に座られる彼女は、ベッドに座ったままの私と同じくらいの目線になった。


 映画スターみたいな人が、プリンセスみたいなドレス着て、優雅にお茶を飲んでいる。


 困惑しかない。


「あなたが昨日リックに見せたものを見せてもらえるかしら」

「…どうぞ」


 多分拒否権はない。リックとやらが誰かと思うけど、多分昨日の男の人だろうなぁ、と困惑したまま、スマホのロック解除して差し出す。美女の隣りにいたキツそうなメイドさんが手に取った。そのまま、多分昨日一緒に見てたメイドさんに渡って、写真と動画を確認される。


「あの、聞いてもいいですか」


 キツそうなメイドさんだけが、一度視線を向けてくれた。


「ここは、どこですか?」


 なんとなく、違和感がある。

 米軍基地なら、訓練の音とかもっと聞こえたり、戦闘機が飛んだりするのが見えたりするんじゃないかって。

 どう考えても外国の人たちなのに、日本語ばっかりで喋ってるのもおかしいんじゃないかって。


「ここは、竜王国ヴェルのテュルキース辺境伯領です」

「りゅうおうこく」

「貴方はミヤ様の何ですか?」

「ミヤ、さま??」


 キツそうなメイドさんからの返事は、全くわからない。


「貴方がミヤ様と呼ぶことは許されなくてよ」


 美女が嫌そうに見てくるところを見ると、ミヤ様というのは偉い人なんだろう。

 そもそも、誰のことで話しているのかもわからないから、口をつぐむしかない。


 お互い、ジッと見つめ合って無言だ。


 どうしたものかな、と紅茶を飲もうとカップを取ると、不意に扉の外が騒がしくなってきたことに気づいた。

 大きな声と足音が近づいてくる。


 なんか、昨日の怖い人の声に聞こえて、怖い気持ちが戻ってきて震える。やだ、顔見たくないんですけど。


 入ってこられるのは断固拒否したいけど、万が一入ってこられても、たくさん人がいるから大丈夫かな。


 ゴクリと、生唾を飲み込む。


 なんだよもー、わけわかんないよー。


 心の準備をしていると、ガチャっと乱暴に扉が開いた。


「やっぱり…姉さん…」


 そこにいたのは、なんか貴族コスプレっぽい格好の碧斗だった。扉を持っていない方の手で頭を抱えてるけど、そこには多分私の免許証と保険証が握りしめられている。 


 おい、どういうことだよ…

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