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落語のようなお話 「五感を失った青年」

 私には、五感というものが無かった。

 先日、ちょっとした事故にあってしまい、ありとあらゆる感覚器官を失ってしまったのだ。腕や脚など、運動に必要な部位は健康だったのが唯一の救いだ。


 私には視覚がない。周りのものを見ることができないのだ。もはや光も、闇さえも、感じることができない。自分が今どこにいるかなんて、分かるはずがない。


 私には聴覚がない。無音の世界というのは、なかなか寂しいものだ。微弱な環境音でさえ、今では愛おしい。


 私には嗅覚がない。これは比較的に無くても困らないように思えるだろうが、他の感覚が失われた今、やはり必要なものだったんだと思う。なにより、いつも使っている柔軟剤の香りを嗅げないのは、少し悲しい。


 私には味覚がない。私にとってはこれが一番つらいかもしれない。私は食べることが好きなのだ。毎月恒例の一人焼肉は、もう行けそうにない。


 私には触覚がない。大前提として、人間は触覚がないとどうしようもないのだ。考えてみてほしい、足が地面に着いているという感覚もないので、自分が今立っているのかすら判断できないのだ。腕をぶつけても、それが分からない。わずかな重力を感じ取ることで、自分の状況を確認するしかない。


 私には五感がない。何も見えない、何も聞こえない、何もわからない。

 だけど、


 私には意思がある。絶対に生き抜こうという強い意志が。

 何があっても諦めない。どんなことがあっても前へ前へと進み続ける。この脚が動く限り、この闘志が燃え尽きない限り、前へ前へと進み続けるんだ!

 私からは何も見えない、何も聞こえない。だけど、誰か私の姿を見ていてくれ。そして、私の生き様を他の誰かに伝えてくれ!












「ねぇママ見てー。あのお兄ちゃん、壁に顔を擦りつけながら、ずっと足踏みしてるよー」


評価や感想をもらえると嬉しいです!


「魔法少女ピュアミーティア・オンライン」という作品を連載しているので、よければそちらも読んでみて欲しいです。

小さい女の子向けのオンラインゲームをロリコンがプレイしてみたら、同じ考えのロリコンプレイヤーしかいなかったという内容の、コメディ作品です。

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