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第九話 長の正体

 草原を抜けて村に辿り着くと、俺はこの子の親の元へ行くことにした。


 「、、、家はこっちか?」

 「うん!」


 この子はもう既に元気を取り戻しているようで、声を弾ませて歩いている。

 俺は戦々恐々としながらこの子の家に向かっている。

 何と言っても、『長の子』と言う称号を持っているのだ、長にまた会うことになるかもしれない。

 、、、いや、待てよ?

 種族違くないか?


 確か、村長の種族が、ただの人間って出てたのにも関わらず、この子の種族は確か、防技の人(シールド・タンカー)って言っていたな。

 じゃあ、違うじゃん!

 、、、え?

 じゃあ、どゆこと?


 「着いたー!」


 おおう、ついてしまったのか。

 俺はその家の方をゆっくりと向いて目をカッと開く。

 其処は――


 「、、、ふう。」


 ――大きな葉っぱや、太目な木の棒などでテントの様に建てられた民族的な家だった。

 これは、、、


 ――《ピピ――スキル、《叡智の神眼》発動》

 ―――――――――――――――――――――――――――

 コムラ族の家――見た目は原始的だが、耐久性だけはずば抜けて高い。

 ―――――――――――――――――――――――――――

 コムラ族、、、なんだそれ。

 いや、まあ、この世界に存在する民族なんだろう。


 「、、、ん? ミラちゃん、、、と、、、?」


 突如、離れた位置から声がしたので、その方を見てみる。

 すると、俺達の方を訝し気に睨むおばはんの姿が――!


 「、、、あっ、け、決して、怪しい物では!」

 「おばちゃーん! このおじ、、、お兄さんに、さっきたすけてもらったの!」


 おお!


 この子は意外といい子なのかもしれない。


 「そうなのー、なにしてもらったのー?」


 おばはんは直ぐに子供の言葉を信じて、優しげな声で子供にそんな事を聞いてくる。

 そして、その質問に率直に応えたのは、勿論この子だ。


 「なんかー、きのおばけがでてきて、バーン! って」

 「、、、きのおばけ?」


 子供の説明を聞いて、要領を得なかったのか、俺の方に顔を向けてそう首を傾げる。

 其処に俺は追加で、あの妖魔の事を説明する。


 「、、、妖魔の、ウッド・フォックスに襲われていて、それを助けただけ、、、ですね。」


 その瞬間、場が固まる。

 いや、おばはんが固まる。

 そして次にとった行動は、回れ右だった。

 そしてそのまま、どこかに向かって駆けていく。


 「ちょっ、、、」


 身体速度だけならば、さっきの妖魔より早いのでは?

 まあいい。

 俺はそろそろここを離れ――


 「ミラーーーーーーーーーー!」


 うお!?

 突如として表れた大柄な男が大声を上げながら子供に抱き着く。

 うわー、、、ロリ●ンか?


 「くるしいよ、おとうさん、、、」


 お父さん!?


 子供は実際に苦しそうにそう言うと、手足をじたばたと動かす。

 お父さんと呼ばれた筋骨逞しい男性は、そんな子供の事を持ち上げる。

 、、、抱きしめたまま。


 そんな中ジタバタと暴れている子供の仮面が外れる。

 何と可愛らしい顔をした少女だ。

 右頬に赤色の太線を2本書き入れている。


 「、、、ん? 君か!! 私の娘を助けてくれたのは!」


 おお、本当に父さんだった。


 「えっと、、、はい。」

 「おおお、ありがとう!」


 そう言うと、少女を肩に担ぎ、俺に握手を求めて、右手を差し出してくる。

 俺は、恐る恐る、その手を握る。

 すると、腕をとるかのような勢いで手を上下に振り回す男。


 褐色の上裸にサルエルパンツ、そして大きな葉っぱを腰に括りつけている。

 数は多くないが色取り取りのタトゥーが刻まれている。

 そして、動物か何かの牙が敷き詰められたネックレスの様な物を付けている。


 いかつい人だ。


 「本当にありがとう! 君にはお礼をしたい!」

 「いや、そんな、、、」

 「いいや、させてくれ!」

 「、、、そこまで言うなら、受け取りますけど、、、。」

 「良かった! なら、我がコムラ族に伝わる伝説の武器――《守護の防剣》を授けよう!」


 服じゃないんかい!


 とても義理深いようで、伝説の武器とまで呼ばれるものを与えてくれるという、、、ただ、今の俺の格好を見たら、大体服をくれたりするものじゃ、、、いや、くれると言うんだ贅沢は言わないよ。


 その男は眼の前の民家に入っていき、なにやら大きな鉈を抱えて出てくる。


 「、、、我がコムラ族族長、ナザル・コムラサムの名において、我が娘の命を救ってくれたこと、感謝する。その礼に、我が伝説の武器、、、《守護の防剣》を授ける!」


 そう言いながら、その鉈を俺に差し出してくる。

 俺は両手でそれを受け取ると、《叡智の神眼》を発動する。


 ――《ピピ――スキル、《叡智の神眼》発動》

 ―――――――――――――――――――――――――――

 《守護の防剣》――《コムラ族の大鉈》とも呼ばれる、伝説級の武器。防御の際に最も真価を発揮する大鉈。破損の恐れはなく、壊す事は出来ない。

 ―――――――――――――――――――――――――――

 おお!?

 本当に伝説級の武器だった!?


 「本当にありがとう、名前を聞かせてくれるかな?」

 「ああ、闇山 光里と言います。」

 「良い名だ! 覚えておこう! それでは、私はまだ仕事があるので失礼するよ!」


 、、、嵐のような人だった。


 まあ、とは言え、良い人そうだ。

 俺は此方に手を振ってくる少女に手を振り返し、鉈を《空間収納》に仕舞い込む。

 そして、後ろに向き直り、忘れていた羅夢の探索に戻る。

 既に日は落ちかけている。

 暗い。

 早く羅夢を見つけないとな、、、。


 と――


 「あ、いた。」


 ――草原で気持ちよさそうに寝息を立てて寝ている羅夢を見つけた。

 俺はそこに寄っていき、羅夢に声をかける。

 すると、一瞬だけ淡い光を発し、羅夢が眼を開く。


 「、、、んん、ん? 光里?」

 「おう、なんでこんなところで寝てるんだ?」


 曰く、さっきの妖魔がいきなり現れ、気付いた時には今の状況だったそうだ。

 要するに、妖魔に襲われたって言う事か。


 「、、、恥ずかしい、、、。」


 頬を赤くしてそう言う羅夢。

 俺はそんな羅夢にまた、良からぬ感情を芽生えさせてしまっていた。


 ――俺は羅夢に言われ、羅夢の家に泊めて貰える事になった。

 石造りの家だが、意外と広かった。

 今日は父親と母親が王都へ行っているらしく、俺と二人きりらしい。

 別に変な感情を芽生えさせた訳では無い。

 それで、一応、部屋を貸してもらっているのだが、電機ではなく蝋燭で部屋を照らすというのが少し慣れない。

 まあ、贅沢は言っていられない。


 「はー、本来なら、明日は高校の入学式だったんだがな。」


 これでは不登校という扱いになってしまう、それは避けたいが、まあ、この世界をもうちょい過ごしたら、考えるとするか、、、。


 「、、、マンガ読みたい、、、。あっちに、戻りてえなあ、、、。」


 俺は、ぽつりとそう零す。

 そして、俺は目を閉じ、夢の世界へ旅立ったのだった。


 ――《ピピ――スキル、《異世界の扉》発動》


 ――朝、気付けばそこは、俺の部屋だった。

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