第四十八話 思い
一章終わりの前振りです!
──「、、、ん、、、」
ギルドの病棟で、俺が体を張って救い出した少女が静かに息を漏らして細く目を開ける。
その目が次第に大きく開かれていく。
次には飛び起き、状況を処理するためか動きを止める。
俺は、その横でその姿をジッと見守る。
すると、処理が終わったのか再起動して此方を向く。
「ここは、、、。」
「ギルドの病棟だ。」
呟いた少女、トリセの言葉に一言そう返す。
すると、腰元をサワサワと、何かを探す素振りを見せる。
俺はそれを見て手元にあったポーチを見せる。
「探し物はこれか?」
「そ、そうです、、、!」
俺の手元を見てそう顔を輝かせるトリセ。
「、、、これがどうかしたのか?」
「中、中を見てください。記憶が正しければ多分、、、」
俺はトリセの言う通りにポーチを開けて中を確認する。
すると中には白く輝く花が十輪ほど入っていた。
見た目の割に大容量なポーチだ。
というか、これって──
「これって、《氷花》か?」
「はい。これで、、、──を助けられる。」
俺にその名は聞こえなかった。
だが、予想は出来る。
今日まで、幾度か見てきたトリセの表情の変化。
これは、“あいつ”の事を話す時の顔だ。
「、、、なあ、気になっていたんだが、何でそこまで“王族”に肩入れするんだ?」
今まで、公然の依頼で王族が絡んだモノを見つけては、危険な依頼だったとしても直ぐに受けていた。
それを見て、ずっと疑問に思っていたのだ。
何故ここまで入れ込む必要があるのか、と。
確かに、何か特別な契約があるならば何もおかしくはない。
だが、そんな物がある訳もない。
だと言うのに、なぜここまで──
──命を投げ出すような真似をしてまで、、、。
「、、、私、第四王子様、、、ブラク様の事が好きなんです。」
「、、、」
「確かに、身分は全然不釣り合いなのはわかってるんですけど、、、。」
「そうだな。」
それ以外に理由があるはずもないよな。
俺は別にその思いを否定する事は無い。
何せ、不釣り合いだったとしても、思いはその人の物だからだ。
ただ、それだけの事でここまで危険な事をするだろうか?
「、、、だとして、何で命を張ってまで?」
俺の問いに、少し間を開けて答えを返すトリセ。
「、、、心配だからです。」
「心配?」
「はい、、、ブラク様は、去年兄である第一王子様、王位継承第一位であったオーネン様を事故で亡くされいるのです。」
「そうだったのか、、、。」
「それ以降、見た目はすっかり変わられて、、、。」
「だが、それで一体なぜ命を張る必要があるんだ?」
「、、、これ以上、苦しんで欲しくないんです。」
そう言う事か。
あれ以上、自分の好きな人間が苦しむ姿を見たくないからと、自主的に王族、、、ブラクの為になる依頼を受けていたわけだ。
単純でありながら、難しい問題である。
「それで、今回の依頼を受けたのも、、、」
「自分の父が死ねば、更に苦しんでしまう。その姿が見たくなかったんだろ?」
「、、、その通りです。」
どこか愁いを帯びた目を、窓の外に巡らせてそう答えるトリセ。
俺はそれを見て、いい言葉も見つけられず、只々沈黙を受け入れていた。
そして、その沈黙を破って声をかけてきたトリセ。
「これがブラク様の心を癒せているのかは、わからないです。でも、、、好きな人に対して黙ってはいられないんです。自己満足、、、ですね。まあ、その殆どが自分一人ではできず、人を頼って人がやったことを自分でやったように感じるだけで、本当は何もしてない役立たずなんですけどね、、、。」
「、、、自己満足、、、な。」
俺はそう呟いて、立ち上がる。
そして、トリセのポーチを持ってトリセに問いかける。
「これは、何処で受け渡しだ?渡しておいてやるよ。」
「、、、それは、ブラク様に直接渡さなければならないんです。毎日の時刻が描かれていて、月が沈み始める頃、魔の森の中央に。どの日でもいいからこの時刻にここへ行くんです。」
「じゃあ、やっといて──」
「待ってください!それは、私が渡したいんです。」
「、、、」
「だから、明日私が、、、」
「、、、わかった。じゃあ、俺も付いて行く。お前の体はまだ無理に動かしちゃいけないんだ。」
「わかりました。明日は晩刻、森の入り口で、、、。」
「わかった。」
俺はそう会話を交えると、ポーチをトリセに渡して宿に戻る。
宿に戻ると直ぐ様、プリスと共に元の世界に戻り、明日に備えてぐっすりと眠りに着いたのだった。
さて、一章は私の頭の中では後三話ほどで終わる予定ですが、、、まだできていませんので何とも言えません、、、。
ですが、しっかりと5・6話ほどで終われるよう頑張ります!
楽しんでいただけると幸いです!




