第四十三話 第四王子
──支部長室の、豪奢な椅子に深く腰掛けるイケメンは、俺達を見て底冷えする様な、見透かしている様な、怪しい笑みを浮かべる。
俺は、トロルが仰々しく頭を垂れている所を見て、ただの貴族ではないと推測だてる。
が、誰かは分からない。
だが、次のネーフさんの言葉で、この男が誰なのかを知る事になる。
「まさか、、、“第四王子”、、、様!?」
王子?
王子って、あの?
今回の依頼主がそんなものだったとしたら、俺達は結構な事をやったのではないか?
一国の王子が依頼したがった事を解決したとなれば、やはり結構大仰な事を成し遂げたのでは、、、?
「フフ、ブラクでいいよ。第四王子と呼ばれるのはあまり好きではない。」
「あ、ハッ、申し訳ありません。」
「大丈夫だよ。それよりも、君達が今回の依頼を受けてくれた冒険者で合っているかな?」
「ええ、間違いありません。」
王子の言葉にトロルが答える。
トロルがこんな口調だと少し慣れない感じがするな、、、。
「君は、確か《豪翼の魔法使い》のミサ、そして君が《大剣聖》のネーフ、君が《薔薇の騎士》のゼン、、、君は、二つ名持じゃなさそうだけど、、、名の売れた腕利きかい?どうも見た事が無い気がするんだが、、、。」
「あーいや、先週辺りになったばかりだ、、、です。」
「ハハ、敬語ではなくても大丈夫さ。そうか、だけど今回の依頼を受けてくれたって事は高Lv何だろう?」
「ええ、まあ一応。」
この男の眼には、信用出来る様なオーラがない。
危険だ。
そう俺の勘が伝えているが、、、どうだろうか。
「どれくらいだい?」
「まあ、一万を超えてるくらいです。」
「一万?」
瞬間、男の眼が座る。
それも刹那の内だったが、この男に何か良くない物があるのは確実だな。
あまり他の情報は言わない方がいいだろう。
「まあ、とりあえず君達もそこへ座ってくれ。」
「わかりました。」
俺達は揃って横長の椅子に腰掛けると、男の言葉を待つ。
「今回の依頼、未だ報酬が決まっていないんだが、幾ら欲しい?」
「私共は、貴方様のお決めになられた物ならば、泥であろうと喜びましょう。」
「いや、さすがに泥は喜べないでしょう。」
ネーフさんの言葉に頬をかきながらそれに対する返答を行う男。
まあ、確かにそれはそうだけど、、、。
とはいえ、ここから先、この男が関与してくることが増える可能性が高い。
だとすると、吹っ掛けすぎるのは良くないか、、、。
そうだ、この前防具屋で見た一番高い防具の値段でいいや。
「なら、『白金貨』を6文、でどうでしょうか?」
俺は男に向かってそう口にする。
すると、男は俺の方に目を向け、クスッと小さく笑う。
「そんなに少なくていいのかい?」
「ええ、これからも御贔屓に、との言葉を添えさせてもらいますがね。」
「ほう、これは吹っ掛けられたものだ。だが、そうだね、それで行くとしようか。」
そう言うと、俺の方へと手を伸ばしてくる。
俺はその手を取ると、ニッと張り付けたような笑みを浮かべる。
すると、男の方も笑みを作る。
「それじゃあ、私は次の用があるからね。帰らせてもらうよ。」
俺の手を離すと、立ち上がり、そう言って歩き出す男。
トロルが裏口の方から男を通していく。
裏口から出た所には、豪奢な馬車が一台。
それを引く馬は、純白の体毛を持ち、その頭には赤い仮面の様な物を付けている。
競馬用かな?
「それでは、またいつか──」
そう言うと、振り向きざまに俺を見て怪しげに目を細め、馬車へと乗り込んでいく。
俺はその馬車が走り出したその瞬間、その馬車を睨みつけて冒険者ギルドへ戻ったのだった。
──「お前、これからどうするんだ?」
俺はいつもの宿屋へと踊ると、プリスに問うていた。
周囲に他に人はいない。
だからと言ってこんな幼女に手を出す程落ちぶれてはいない。
「私は、、、ミツリさんと此処で過ごすつもりですけど、、、駄目ですか?」
両手でジュースの注がれたコップを包むように持って、答えを返してくれる。
「いや駄目ではないけどな?お前、気づいてないのか?」
「、、、何がですか?」
こいつ、神のくせに気づかないのか?
俺が異世界から来たってこと。
「俺、異世界人だぞ?」
「、、、へ?」
口の中に残っていたジュースを口から垂れ流しにしながら固まるプリス。
まさか本当に気付いていないとは、、、。
「本当に気付いてなかったのな」
俺はベッドに寝転び乍らそうこぼす。
「、、、本当ですか?」
「ああ。いっつも異世界で用事が終わったらこっちに来てるしな。」
「、、、異世界に行ったり来たり出来るんですか、、、?」
「ああ。お前も来るか?」
何の気無しにそう言うと、プリスは少しの間を開けて首を縦に振る。
「はい、行きます!私、異世界が気になります!!」
「、、、まじ?」
こうして、俺の家に一人、異世界から居候が来る事になるのだった。
、、、家族に何て言おう。
王子には何かがある、、、。
そして、、、家族(?)が増えますね。




