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第三十七話 ギルドから

 ──サッカーの試合から、5日が経った。

 その間、俺は放課後に、毎日のようにギルドへ足を運んでいた。

 受ける依頼はどれも魔物討伐系だったが、それなりに金銭は手に入っていた。


 そうして、今日も俺はギルドへ足を運んでいた。


 「今日はどんな依頼があるかな。」


 勿論、直ぐに掲示板の元へ行き、そこに張り出された依頼書を眺める。


 これと言って変わった物はない。

 確かに、日本からこの世界に来れば、大体の物は変わっている訳だが、そういう意味ではなく、5日間此処を眺めた結果としての言葉だ。


 俺はいつも通り、魔物討伐の依頼書に手を伸ばす。

 ──が、俺の手がそれを掴む前に、横から俺の腕を掴むものが現れる。

 そう、依頼書ではなく、俺の腕を掴んでいるのだ。


 「、、、えっと、ティア、、、さん?」


 俺の腕を掴んでいたのは、このギルドの受付嬢の一人、ティアさんだった。

 ティアさんは俺の来る時間帯に仕事のシフトを入れているらしく、この五日間ほぼ毎日お世話になっている人物だ。


 ティアさんは少し息を乱しながら、俺の眼を見つめてくる。

 な、何だろうか?

 もしかして、何かやってしまったのだろうか?


 俺はティアさんの言葉を待つ。

 すると、息を整え俺の腕を引っ張った。


 「えっと、こ、此方へ来てください。」

 「へ?あ、ちょっと!」


 俺の腕を引っ張って俺を何処かへ連れて行こうとするティアさん。

 どこか慌てた様子で腕を引いてくるため、抵抗もできず、素直に従い付いて行く、、、いや、引かれていく。


 最終的に俺が連れてこられたのは、上に『ギルド長』と書かれたプレートの張られた扉の前だった。


 ティアさんが、コンッコンッと扉をノックし、声をかける。


 「支部長、ミツリさんです。」

 「入ってくれ。」


 中から聞こえたのは、あの時のドワーフおじさんことギルド(ここ)の支部長、トロルの少ししゃがれた様な声だった。

 その声を受け取ると、ティアさんが扉を開く。


 そこには、このギルドに来たときお世話になった(?)《イザベル》さんに、剣術試験の時の試験管(名前は知らない)、それと魔法試験の時の試験管だったミサ、そして支部長だった。


 「よう、やっぱり今日も来てくれたか、ミツリ。今日は、いきなり来てもらって悪かったな。」

 「、、、それはいいですけど、どうしたんです?」

 「ああ、その話なんだが、少し長くなるかもしれんから、そこに座って聞いてくれ。」


 そう言いながら、長机を挟んだ先にある、茶褐色の革の様な物で張られた高級感のある椅子を指さす。

 俺は素直に頷き、その椅子に腰かける。

 俺が座ったことを確認したトロルは、此処に居る全員を見渡すと、口を開く。


 「今日集まってもらったのは、君たちに我々から依頼があるからだ。」

 「依頼?なんの依頼だい?」


 トロルの言葉にそう言ったのは《イザベル》さんだ。


 「まあ焦るな、これから話す。」


 《イザベル》さんの言葉にそう返すと、トロルは一枚の紙を取り出した。

 それは一枚の地図のようだった。

 それのある一点に、赤い丸印が付けられている。

 そこを指さすと、トロルは再度口を開く。


 「今回依頼したいのは、エデヌス神殿の邪竜討伐だ。」

 「邪竜?神殿にか?」


 トロルの言葉にそう問うたのは剣術試験の試験管だったあの女の人だ。

 その疑問は俺も思った。

 神殿、それは神を祀る為にあると言われている。

 まあ、実際の所、俺は良く知らないのだが。


 女の人の言葉に頷くと、トロルは口を開く。


 「、、、聖域に踏み入り、荒らしまわる、この説明をすれば解るだろう?」

 「、、、邪竜、とはよく言ったね。」

 「もしかしてそれって、『邪神 アクト』の事か?」


 《イザベル》さんの言葉に俺は首を傾げる。

 邪神?邪竜ではなかったのか?


 「ああ、そう言う事?確かにあれ、竜の姿だもんねー!」


 《イザベル》さんの言葉に納得したような声を漏らすミサ。

 そして、俺はミサの言葉に納得する。

 竜の姿だから邪竜と呼ばれる、中々普通だが、聞いただけでは分からない。

 、、、とはいえ、俺はそいつの存在すら知らないんだが、、、。


 「でも、あいつ倒すのって、かなり手間がかかった気がするんだが、、、?」

 「、、、ああ、君たちなら行けるだろうとは思うが、確かに時間はかかりそうだな。」


 トロルの言葉に俺は首を傾げる。


 「、、、光魔法とか、聖魔法とかで倒せないのか?」


 俺は思ったことを口にする。

 すると、その場にいる全員が目を点にして俺を見てくる。


 「いや、まあ確かにそうなんだが、、、聖魔法は使える奴が少なくてな、、、大半が教会や、医療系に行っちまうんだ。ギルドに所属する奴もいるが、ギルドに所属する奴は他じゃ使い物にならなくて来た奴が大体だな。使える奴は王都(ここ)にはいない。」


 そう言う事か。

 それならば苦労するのも頷ける。

 だが、国の方の問題なら教会などからも派遣されてもおかしくないと思うのだが、、、。


 「教会からの派遣とかは無いんですか?」

 「ああ、最近南方で流行ってる病の治療に人手を回してるせいでこっちにまで手を回せないんだとよ。」


 、、、そう言う事ならしょうがない、、、のか?


 「まとりあえず大体の内容はこんな感じだが、受けてくれるか?」

 「私は問題ない。」

 「私も。」

 「私も!」

 「、、、俺も問題ありません。」


 『受けてくれるか?』との質問に『問題ない』と返すのはどうなんだろうか?

 まあいいか、兎も角そうと決まれば準備に移らないとだよな、、、。


 「ありがたい。では、費用は此方で用意する、明日までに装備を整えてくれ。」

 「「「「わかりました。」」」」


 俺達はそう返事をすると、散り散りに退室していく。

 俺は退出すると、ここ五日間でとてもお世話になっている、“ある場所”へ向かったのだった。

ある場所とは、、、?

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