第二十九話 剣術
──今俺は、日光の下実技試験の試験場に来ている。
周囲には約十人程の俺と同じ受験者がいる。
その誰もが冒険者然とした、統一性のない服を着ている。
それも、男の人は手袋をつけている人が多い。
その全員は、背中や腰に剣を下げている。
逆に、女の人や、手袋をつけていない男の人は、大きな杖を持っていたりダボダボした服を着ている人が多い。
「これから、ギルドの登録試験、実技試験を始める!」
俺が辺りを見回している中そう叫んだのは、試験場へと入ってきた女性だった。
肌は白く、腹を出している。
更に、膝に当ての付いた、太ももまである長いブーツを履いている。
それに、かなり美人だ。
そんな事を感じていると、また、声を張り上げて言う。
「此処に居るものは、その実力が認められたごく少数だろう!だが、これから行う試験では君たちの4分の3は不合格となるだろう!少しでも不審な動き、言動、そして──」
と、一度言葉を切ると、俺の方へとやってきて、、、目の前に刃が振り下ろされる。
俺は、それを直感で避けると、試験管であろう女性へと目線を向ける。
俺を見ている。
その目は途轍もない鋭さだった。
「──邪な視線を向ければ、可能性としてその首が飛ぶと思え、、、!」
こっわ!
何この人、めっちゃ怖いんだけど、、、。
俺を睨むその双眸は殺気を帯びている。
俺は大人しく頷くと、数歩離れる。
と──背中に何かが当たる感触。
俺は背後を振り向く。
そこには、筋骨たくましい男の人がいた。
青の平服の様な物を着て、右目には眼帯。
それに加え、その髪はオールバックとも言えないが、逆立っているとも言えない、中間の威圧的な髪だ。
一番怖いのは、出ている方の眼が死んでいるという所だろう。
「うん?試験中によそ見はいかんぞ。」
俺の眼を見ると、その死んだ目で俺にそんな事を言ってくる男。
俺は頷きまくると、背筋を伸ばして女性の方に顔を向ける。
女性は、その手に剣を持ったまま試験場の中央へと歩いていく。
そして、叫ぶ。
「さあ、番号一番から順番に出て剣を抜け!まずは剣術の試験だ。」
俺は10番だな。
じゃあ、もうちょいのんびりでき──
「次!二番!」
──そうになさそうだな、、、。
驚異的な剣速で受験者の剣を叩き切る試験官。
それと比例して受験者が減っていく。
4、、、6、、、8、、、ついには、俺の番が来てしまった。
俺は、《神威の魔剣》を取り出し、試験官に向かい合う。
「さて、史上初の『一抜け合格者』の実力がどれ位か、見せてもらおうか。」
その瞳には、先程の様な殺気ではなく、闘志が垣間見えていた。
メラメラと滾る闘志は、徐々に殺気に近付いていく。
俺は知った。
行き過ぎた闘志は、殺気へと変わる事を。
「行くぞ、フンァ!!」
放たれた斬撃が俺の《神威の魔剣》を襲う。
だが、村長のあの大斧を受け止めたこの剣にただの斬撃が聞くはずもない。
いとも容易く試験官の剣撃を防ぐと、試験官は獰猛な笑みを浮かべて更に力を入れてくる。
だが俺は、その接触点をずらす事で試験官の剣を地面へ滑らせる。
すると、予想以上に簡単にバランスを崩してくれる。
だが、そう簡単に負けてくれるほど御人好しではないようだ。
滑り落ちた剣から手を離したように見えた試験官は、次の瞬間に俺に向かって剣を“鞭の様”に振るってくる。
その原理は至極単純。
グリップを外すと、そこがワイヤーに繋がれていたのだ。
それにより、先端部には途轍もない攻撃力が宿る。
無論、試験なんぞで使うような代物ではないし、何だったら当たれば普通に即死だろう。
だが、俺はそれを真っ向から受け止める。
《物理攻撃絶対無効》を使い、それを成すと、試験官の剣を思いきり引き寄せる。
案の定、試験官の手は剣のグリップを放すことなく、くっ付いてくる。
俺は此方へ来た試験管を抱き固めると、首筋に剣の刃をくっつける。
ここにきて、試験管はため息をつく。
そして、一言、俺に告げる。
「はぁ、私の負けだ。だが、第三試験ではどうなるか、見ものだな。」
そう告げると、嗜虐的な笑みを浮かべて俺の腕の中でもぞもぞと動き始める。
「放せ!」
ついには叫んでくる。
俺は直ぐに試験官を開放する。
そうして、実技試験の一個目の項目が終わった。
次はなんだろうか?
「次の試験は午後だ!わかったら体力を回復しに行け!」
そんな声と共に、剣術試験は幕を閉じたのだった。
俺は、次の試験が何かを考えながら、腹ごしらえに行ったのだった。
この流れ的に、次は大体魔法かスキルでしょうね、、、。




