第二十八話 冒険者になろう!
──「おい、とまれ。貴様、怪しいな、、、。何の用で王都へ来た?言え!」
「えーと、冒険者になりたくて。」
「、、、何故王都でなる必要がある?貴様のいた村でもできただろう!」
え、他の所でもできたの!?
じゃあ、俺此処まで来る必要なかったじゃん!
俺は、兵士の様な男の言葉に内心悶える。
「その、ギルドがないような辺境で、、、。」
「、、、ならば他の所でもできただろう、何故王都なんだ?」
「村長が王都に行けって言うんで。」
「本当か?本当にそれだけか?」
「はい。」
これ以外に何があると言うのだろうか?
兵士の言葉に俺はしっかりと答えた。
だと言うのに、兵士は訝しげな顔で俺を見てくる。
「本当にそれだけなら、なぜ裏門から入る必要があったんだ?」
俺の方へ向いた兵士がそう聞いてくる。
何故って、、、
「ここが空いてたからですが?」
俺はさも当然とでも言うように首を傾げる。
だが、兵士たちからすれば、その答えは当然の答えではなかったらしい。
それ所が、俺に向かって常識がない奴でも見るような視線を当ててくる。
「ここは、本来は一般人が入る事が出来る場所じゃ無いんだ。ここは緊急用の小型門でな、あっちの前門にある大きな門と違うんだ。」
「緊急用?」
「ああ、魔物が王都に襲撃してきたりした時に緊急連絡をするためにあるんだ。」
つまり、ここではなく、前門へ向かえという事だろうか?
俺は前門へ目を向ける。
そこには、アリの様にズラリと並ぶ人の姿。
中には大きな荷馬車を引いている人もいる。
「じゃあ、あっちに行けと、、、」
「ああ、悪いな、規則上そうなっているんだ。」
兵士は被る内ッとヘルメットに手を載せてそう言ってくる。
その表情は実際に申し訳なさそうな顔をしている。
俺はその兵士に背中を向けて、列に並ぼうと歩き出す。
すると、背中に声をかけられる。
「待ちたまえ、辺境、という事はかなりの時間をかけてきたのだろう。体力もかなり減っているはずだ。ここから入れさせてあげよう。」
声の主を見ようと後ろを見ると、そこにいたのは、明らかに周りの兵よりもその甲冑が豪華な兵士だった。
多分、この人が兵の隊長だろう。
「、、、いいんですか?」
俺はその男に、そう尋ねる。
ここは緊急用だと言うが、いいのだろうか?
そんな俺の問いに、そんな事は関係ないとでも言いそうな笑顔で答えてくれる。
「はっはっは、いいさ、どうせ緊急事態なんてそんな滅多に起こる事じゃないんだし、ここを通りたまえ。ただ、他の人には内緒だぞ?」
男はそんな事を言いながら門を開く。
この人はなんて寛容なんだろう。
周りの兵士たちも、特に何も言わずに通してくれるしな。
「それじゃあ、“冒険者の試験”、がんばれよ!」
兵士の言葉に、俺は手を振って答える。
「ああ!また今度会うときは冒険者として!」
俺はそれだけ言うと、裏門の奥にある更に小さい門を潜って王都の中へ入っていく。
そして、俺はその活気を見て感嘆の声を漏らす。
「おお、ここが王都か、、、すげー、人がいっぱいだな、、、。」
多くの出店が立ち並ぶ街道、そこを行きかう人々、そして、その性別も人種もさまざまでありながら均衡を保っているこの状況、俺がいた世界と変わらない風景がそこにはあった。
ただ少し違う事があるとすれば、所々に大きな剣や杖を持っている所だろう。
それと、少し街の雰囲気が古く、現代日本というよりは中世ヨーロッパの様な感じだ。
、、、ザ・王道って感じだな。
「さて、冒険者登録ができる場所はどこかな?」
やはり、ギルドのような所があるのだろうか?
俺は街中をキョロキョロと見回しながら、のんびりと歩いていく。
明日も休みだし、焦る必要もない。
とはいえ、登録が出来る所を見つけられないのも困る。
俺は、パンフレットの様な物がないか探す。
大体の情報はそこに書かれているし、それに、地図もある。
ウーム、どうするべきだろうか、、、?
どこにあるのかを人に聞かなければやはり見つける事も出来ないだろうか?
と、そんな時だった。
背後から声をかけられる。
「どうしたんですか?何か探しているのですか?」
俺はその声のする方を見る。
そこには、黒髪を俺から見て左をお団子に、右をゴムで束ねて肩から垂らし、肩出しの服を着て腰に剣を下げた少女。
俺は直感でこの子が冒険者であると悟る。
「はい。冒険者登録がしたくて。」
「ああ、それなら、ギルドがすぐそこにあるので、そこでいいですか?」
「はい。」
よっしゃー!
相手の方から声をかけてきてくれるとはな、声をかける手間が省けたぜ。
というか、やっぱりギルドってあったのか。
俺は少女に付いて行く。
そして、行きついた先は──
『冒険者ギルド』
そう書かれた大きな建物だった。
大理石などが豪華に使われている。
それで、中も広いと来た。
すげえ。
この一言に尽きる。
声には出していないが、、、。
「登録は一番端の受付で出来るので、並んで待っていてください。」
「わかりました。」
俺は少女の言葉に頷くと、一番端の受付へと歩いていく。
これだけ広いため、並んだりしている人はあまりいない。
だが、一番端には他とは違い、小規模な列ができていた。
その先には、逆三角形のUFOの様な見た目をした脚立の様な物に乗っかった水晶玉に手を翳す者がいた。
俺はその最後尾に並び、自分の順番を待つ。
そして数分後、俺の番が来た。
「それじゃあ、そこに手を乗っけてくれ。そしたらお前のLvとHPが表示されるから、それで次の試験へ行くかどうかを決める。」
「、、、わかりました」
俺は、指示に従い、水晶に手を乗っける。
すると、一瞬大きく光ると、直ぐにその光は収まっていく。
俺は、そこから手を避けて良いのかわからずに、その場で制止する。
すると、男が間抜けな声を上げる。
「へ?おいおい、お前、変な細工してないだろうな?」
俺はその問いに即座に否定の答えを返す。
「いいえ。」
だが、それでもなお俺に訝しげな顔を向けてくる男を俺は睨み返す。
そんな外をしていると、すぐ傍から凛と透き通った女性の声が聞こえてくる。
「その子は別に細工も何もしてないよ、私が見てたからね、心配ない。」
「な、《イザベル》、、、本当か?」
「ええ、で、この子のLvは?」
「、、、10100だ、、、。」
男の声を聴いて、イザベルと呼ばれた女性は目を点にする。
次いで、俺の方を向くと、柔らかい笑みを浮かべて声をかけてくる。
「やあ、君、名前は?」
「ええと、光里って言います。」
「光里か、わかった。で、私は今日から君の上司冒険者になる《イザベル》だ。二つ名は《炎鋭剣》だ。」
「お、おい、未だ試験は──」
「大丈夫だって、私よりもLvの高い人間は即合格だって言ってたろ?」
「、、、わかった。だが一応、明日の実技テストも受けてもらう。」
「有無、そうだな。」
「ええと、、、」
俺の入るタイミングがないまま話が進んでいく。
そして、大体の話が終わると、俺の方を向いてこう言ってくる。
「明日、午後にここへ来てくれ。実技試験を行う。」
「え、、、え!?」
俺は、しっかり受かれるのだろうか?
──俺は、今日は宿を探して泊まる事にした。
そうして、明日は実技の試験らしい。
俺は何をするのかもわからぬまま深い眠りについたのだった。
やっぱり、王道は描きやすいですね。




