第十五話 確認
――俺は家に着くと、直ぐに外行きの服装に着替える。
そして、スキル欄を確認して叫ぶ。
「――《異世界の扉》!」
すると、目の前にブラックホールのようなものが現れる。
その中に俺は体をねじ込む。
すると、気づいたら俺が体を捻じ込んでいるのではなく、俺の体が吸い込まれていた。
周りに光はない。
ただ、浮遊感が俺を包み込んでいる。
そして、突如、意識が引き戻されるような感覚を覚える。
気づけば、其処は羅夢の家の俺がいた部屋だった。
俺は周りを見渡す。
そして、大きく伸びる。
俺は部屋を出ると、一度外を見てみることにした。
そう思い、羅夢の家の戸を開けると、村人か分からないが通りすがりの女性と目が合ってしまう。
その恰好は日本の忍者や、忍びのようだ。
が、その肌は大胆に露出している。
そして、肩口に鉄製の肩当をつけている。
背中には、矢が掛けられているようだ。
「此処は阿羅伐の――お前、空き巣か?」
「いや違――」
――ヒュンッ!
突如として矢が放たれる。
だが、俺は無言でそれを叩き落す。
いや、意図的なものではなくて、いきなりすぎて声を出す事が出来なかっただけだぞ。
「、、、ッ!?」
だが、あちらさんは目を見開いているようだった。
どうしたのだろうか?
そう思い、首を傾げると、後ろに飛び退く。
俺はよくわからずにただ相手の言葉を待ち呆けていることしか出来ない。
すると、いきなり口を開く。
「、、、あの距離の矢を叩き落とすとは、お前、何者だ?」
「やっと話を――」
ヒュンッ―ヒュンッ―ヒュンッ――
やっと話を聞いてくれるかと思った瞬間、一気に三本の矢が飛んでくる。
なんで?
俺はそれを一気に掴み取って、女の方に投げ返す。
すると、その三つは明後日の方向へ飛んでいき、木の枝を三本切断する。
狙っていた方ではないが、まあ、脅しとしてはいい位だろう。
「な、、、何が、、、?」
だが、よく解らなかったのだろうか、切断された枝を見てそう呟く。
その隙に、俺は《短縮転移》を使い、その女の後ろに回り込む。
そして、《超戦闘》で組み伏す。
女は一瞬何があったのか解っていない様子だったが、遅れて俺に組み伏せられていると言うのに気付いたようで、俺の方を見て俺を睨んでくる。
「、、、話、聞いてもらえます?」
「貴様の虚言なぞ聞きたくない!」
え、俺ってこの人に何かした?
振り返ってみよう。
、、、なんもしてなくね?
すると、一つの気配が此方に近づいてくるのを感じる。
俺はその方を見る。
と、背の高い草をかき分けて、羅夢が姿を現した。
「、、、光里、、、? 何を――なっ!? セリス殿!?」
「セリス?」
俺は組み伏せている女に目を向ける。
すると、その女は鼻の下を伸ばしてニマニマと笑っていた。
気持ちが悪い。
百合とかそこらへんに抵抗はないが、この顔は少し気持ち悪い。
「此奴の事か?」
「そうだ、、、って、一旦状況の説明をしてくれないか?」
眉を八の字にしてそう言ってくる羅夢。
その問いに、俺よりも早く答えたのは組み伏せている女だった。
「こ奴がお前の家に忍び込んでいたから成敗を――!」
「、、、えっとだな、光里殿は私を窮地から救ってくれたため、此処に留めていたのだ――というか、光里、今まで何処にいたんだ?」
「へ? いや、ちょっと森を探索にな、ハハハ」
「何かぎこちなさを感じるが、まあ、そうとしておこう。」
ふう、バレてないみたいだな。
俺は安堵のため息を吐きながら立ち上がる。
すると、直ぐに起き上がるだろうと思っていた女――セリスを見ると、白目をむいて泡を吹いていた。
「セリス殿!?」
羅夢が叫びながら駆け寄ると、向いた白目を即座に戻して羅夢を見る。
その目は血走っていた。
俺は少し引いてしまう。
俺もキモイと思われるような言動を行ってきたが、ここまでの上級者が目の前にいると、自分が可愛いものの様に思えてくるな、、、。
「こ奴が、、、ふん、まあ、羅夢がそう言うのならば、、、信じよう!!」
鼻の穴を広げて下をベロベロと出し入れする様は途轍もないほどキモイ。
俺は数歩距離をとる。
見れば、羅夢の眼からも光が消えているように思える。
「で、貴様、名は何という。」
「、、、それは俺に聞いているのか?」
「それ以外ありえんだろう! 私の眼を見ろ!」
「見た上での反応だ!!」
俺に名を問うセリスは顔、体は此方を向いていたが、血走ったままのその目は羅夢一点を見つめていた。
この目を見て俺に問うているとは思えない。
「まったく、ならば私の目線を貴様に移せとでもいうのか!?」
「当たり前だろ! それが人に名を訪ねる態度か!」
そんなやり取りをする事約五分、漸く俺の方を見たセリスは、とても人を見る顔とは思えない皺くちゃな、苦渋に歪んだ顔でこっちを見て名乗った。
「私の名は、セリス・ティックだ。貴様も名を名乗れ」
俺は心の底から何だ此奴は、と思ってしまった。
後に俺も自己紹介を済ませた後、何故セリスが此処に居たのかという話になったのだが、、、。
「狩りの為だが、、、羅夢と貴様も来るか?」
この世界で、というか、人生で初めて、狩りを体験することになるのだった。
見た目はいいのに、、、。




