さぁはじめよう!
『はぁ?キモイだよマゾが!!』
「おほー♡」
ドS向けのノベルゲームをしながらニヤニヤ笑う自分を情けないとは思う
本来生物はオスがメスをエスコートしたり、男性が率先して導く存在であるにもかかわらず、俺は女性に罵倒されるたびに興奮してしまう。生まれついてのドMなのだ
「かー!っぱキツイ目の女性にボロクソ言われるのは最高やな!」
俺はこういった趣向以外にも、「何ですか…気持ち悪い…」といった感じで差別されたりするのも興奮する
だが一番好きなのは首輪とリードをつけて「ワンワン!」と犬の真似を強要される感じのが一番好きだ
美しい女性に犬以下の扱いをされるのは俺の人生の目標だ
が、俺が今まで出会ってきた人生の女性はそれはそれはつまらない連中だった
純愛や温まるような恋
オスに媚を売る、淫女。クソの足しにもならないNTR
は?
そんなものいらないから、美しい女性にはぜひ、罵倒!してほしい
それが、それだけが俺の望みだ
がしかし、最近は新ジャンルである「メスガキ」というのも中々…
そんなふうにいつもと同じ毎日を送っている時
ふと冷蔵庫の中のお茶が切れていることに気づき、買いに行くことにした
「この新作の「女性に支配される世界」か…うーん、購入!w」
スマホでポチポチとドM向けの同人誌を漁っていると、空から轟音が聞こえた
「何だ何だ!?」
その音は自分に近づいてきていると知った時、時すでに遅し。
なんと無人偵察機(UAV)が俺目掛けて飛んでくる!
その一瞬時が止まったかのように遅く感じたのは何故だろう?
これが
死か!
ドォオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!
「うっ」
両手を前に出し、防御の姿勢に入る
あれ?
何も起きない
「…」
ゆっくり手をどかし、目を開けると
真っ暗な空間に一人でいた
「どこだここ?」
前後の情報が途切れており、何も分からなかった
その時ふと、上から声が聞こえた
「おいおいまた一人来たぞ」
女性の声だ。
低音で、強そうなその女性の声が聞こえる
目の前に現れた謎の円から一人白髪で褐色の女性が出てきた
「…」
不思議に思うより先に、「え、何こいつキモ」という感情が先に出てきた
なぜならその女性の服装はわざとらしく胸元やふとももを強調したようなデザインだからだ
「よお、死んだのか人間」
「俺?」
「お前以外に誰がいんだよ」
確かに、この真っ暗な空間には俺しかいない。こいつは何なんだ?
いやそんなことは後だ、きっとこれは夢だろう
口の悪い女性に罵倒されるゲームをしてきたからこうして夢にも見てしまう
あ、そうだ
どうせ夢ならやっときたいことをやっておこう
「あのーすいません」
「ん?」
「その綺麗な足で踏んでくれませんか?」
その一言に眉を歪めながら、女性は言った
「それ、いや、何で今そんなこと聞いたんだ?」
「いやぁ夢かもしれないのでせっかくだからやっておきたいことやっとこうと思いまして」
「これ夢じゃないぞ」
?いや、まさか。
こんな感じのフワッとした気分のやつは全部夢だとわかる
でこのまま意識を集中させて目を開くといつもの天井が見えるはずだ
パッ!
目を見開くが、目の前にあるのは天井ではなく女性の顔だった
「よく見ると美人ですね」
「よく見るとってどういうことだ!あぁん!?」
ボコッ!
いきなり顔面に蹴りを入れられる
その美しい足が服と擦り合いながら俺の顔面に直撃する
「最高だ」
なんて今幸せなんだろう
こうして蹴られるために俺は生まれてきたのではないのだろうか
空中を飛翔しながらそう思うとすぐさま地面に叩きつけられた
「いってぇ!」
蹴られたことに対してではなくて地面と直撃した時の衝撃でその言葉が出た
「いきなり蹴ってわりぃ、お前があんなこと言い出すからだぞ」
「…」
蹴られた場所には擦り傷ができており、そこから出る血の匂いが鼻につく
ここは現実であると脳が確信した