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昔々
虹色に埋め尽くされた空。黒く染まる大地。それらを繋ぐように真ん中には誰も入れない白亜の城がある。
城から伸びた橋の先。七つの祀られた林檎の木があり、それは白亜の城の黄金の林檎の木と繋がっている。
いつの時代から、どこで誰が、伝えられたのかわからない話。
その林檎の木には、災いを起こす力があるとも、奇跡を起こす力があるとも言われている。
この話が今も人々に語り継がれているのは本当に不思議でならない。
だって、空は青色で、大地は緑あふれていて、黄金の林檎なんてありはしないのだから――。どこか全く別の世界から来た人が話したんじゃないか、なんて誰かか言った。
――本当に、案外そうなのかもしれない。
耳の尖った美女から林檎を受け取り、私は頷いた。