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5話 初陣






「シンタロー、ようやく俺とセッ○スする気になったのか」


 核レベルの爆弾発言をした金髪碧眼さわやかイケメンを、何事も無かったように、俺は無言で隣の席に座らせて、目を点にしている彼女達に紹介する。


「こいつが最後のメンバー、Zirknik(ジルクニフ)だ。こいつ結構有名だし、みんなたぶん名前くらいは知ってるだろ? 気のいいやつなんだ、仲良くしてやってくれ」

「……」

「……」


 静寂が訪れる。


 気まずい。


 30秒くらいたって、ようやくベル子が口を開く。


「……あの自動小銃の王様(ARキング)が、その……こんな……アレだったとは……知りませんでしたよ」


 初対面にも関わらず、ベル子は猫を被っていない。本当に面食らったんだろうな……。


「ガチホモだけど、根はすっげぇいいやつだから、安心してくれ」


 ジルは、RLR非公式大会で顔を合わせるたびに、いつの間にか仲良くなった俺の数少ないリアルの友達だ。

 毎回自信たっぷりに挑んでくるジルを半泣きになるくらいボッコボコにしてたらいつの間にか惚れられていた。

 ジル曰く。

『俺の自動小銃(アサルトライフル)を受け止めてくれるのはシンタローしかいない』

 だそうだ。

 彼が何を言ってるか理解できないだろ?

 安心してくれ、俺にもわからない。


「シンタロー、俺もう我慢できない」

「……ジル、落ち着け。お前に俺の貞操をやるなんていつ言ったんだ?」

「こんなオシャレな、カップル御用達のカフェに呼んで、期待するなという方がおかしいだろう?」


 何故かびくりと反応する奈月を尻目に、俺はジルにツッコミを入れる。


「お前は思春期の拗らせ男子か。頼むから落ち着け」

「……焦らしプレイか、ふふっ、仕方がない。Sintaro(クイーン)の命令とあらば、聞かないわけにはいかないな」

「いつから俺はお前のお姫様になったんだよ」

「of course!生まれた時からさ」

「寝言は寝て言え」


 ジルは見た目完全イギリス人だけれど、生まれも育ちも日本で、英語はまったく喋れない。たまーに出てくる英語は、かっこいいから喋っているそうだ。


 黙っていた奈月が、視線をゆっくりあげて、ベル子、ジルクニフ、そして俺を見て、ため息を吐くように言葉を漏らす。


「こんなイロモノ集団で本当に優勝狙えるの?」

「……その意見に関しては、私も2Nさんに同意です」

「アンタもそのイロモノの一人なんだけど?」

「は?」

「あ?」

「ちょっ! やめてっ! 仲良くしてっ!」


 再びヒートアップしそうなふたりをなんとかなだめる。

 ……どうやらジルのガチホモ加減は見て見ぬ振りをしてくれるらしい。

 ありがてぇ。


「チームとして機能するかどうかは、一回、4人組(フォーマンセル)でRLRに潜ったほうが早い」

「潜るったって、PCは家にあるし、どうするのよ」


 その質問を待ってましたと言わんばかりに、俺はスマホの液晶をチームのみんなに見せる。


「RLRの日本におけるeスポーツ展開が始まってから、全国指定のネットカフェの、全国高校生選抜大会で使われるPCにRLRがダウンロードされてるんだよ。しかも、事前に予約すれば4人で個室を使うこともできるらしいんだぜ」


 今日予約しているネットカフェの写真を見せると、各々は、おお〜っ、と感嘆の声をあげる。

 俺たちがよく見るプロゲーマーのゲーミングルームの様な結構本格的な雰囲気なのだ。

 RLR全国高校生選抜大会は、全国の高校生をひとつの施設に集めて開催される。無論、ひとりひとりのPCを運ぶのは手間なので、大会側がPCを用意する。

 つまり、選手達は普段と違うPCを使うことになる。

 まぁヘッドホンやキーボード、マウスは持参してもいいとのことなので、余程のことがない限り、プレイに支障はないだろう。


「ヘッドホンやキーボード、マウスを持ってこいと言った理由はコレだったんですね」


 ベル子は可愛らしいリュックから黒々とした高価そうな周辺機器をチラリと見せる。


「そういうことだ。大会では、普段と違う環境でゲームをすることになる。少しでもそれに近い空気で練習できた方がいいだろ?」

「ちょ、アタシ持ってきてないんだけど」

「奈月のは俺が勝手に持ってきたから安心してくれ」

「何勝手に人の部屋に入ってんのよ! 全然安心できないわよ!」

「シンタロー、浮気か?」

「ジル、お前は静かにしていてくれ、話がややこしくなる」


 今日予約した店の情報を、スマホで再確認して、俺たちはオサレなカフェを後にした。





* * *





「おお〜っ」


 部屋に入った俺たちは、スマホの写真を見た時と同じ様な声をあげた。

 黒を基調としたPCが、横に4台綺麗に並んでいる。

 少しだけ値段が張ったけど、これだけ良い環境なら文句なしだ。


「公式大会も同じPCを使うって言ってましたけど、こんなに高いPCを100台以上揃えるなんて、RLRも太っ腹ですね」

「流石は全世界6億人がプレイしているモンスタータイトルだぜ」


 俺たちは、用意されたPCに使い慣れた周辺機器を接続して、ゲームを起動、ログインし、設定を合わせる。

 感度やボタンの位置などは、プレイヤーによって全く違う。

 感度が少しでも違えば反動制御(リコイルコントロール)(銃の反動に合わせて、銃口を下げる動き)に支障がでるので、そのあたりはキッチリ合わせなければならない。


「みんな準備できたか?」

「できたわよ」

「できました」

「いつでもイけるぞ」


 みんなの声音がさっきより少しだけ明るい。

 ……当たり前か。

 ここにいる奴らは、性格も性別も外見も全く違う4人だけど、ゲームが死ぬほど大好きだってことはみんな一緒だ。


 1分が経過し、待機場所から100人が殺し合う島の上空へと飛ばされる。

 毎回ランダムに航空する飛行機から飛び降りて、パラシュートを開き、島へと着陸する。RLR最序盤の流れだ。

 島の中心部にある市街地は物資や武器が多い分、自然と敵はあつまりやすいし、島の端や、点々と続く小さな小屋の密集地などは、物資が少ない分、敵は少ない。

 はじめに降りる位置決めから、もうすで戦いは始まっているのだ。


「どこに降りる?」

「「「中央市街地」」」

「お前ら血気盛んすぎない?」


 3人の声は綺麗に重なっていた。


「じゃあ市街地の最北端に降りるぞ、別のパーティと降りる位置が被ったらそのまま少し東にズレてくれ」


 各々返事をすると、飛行機から飛び降りる。

 いくら上手くても、素手じゃ銃に勝つことはできない。

 降りる位置が敵と同位置だった場合、先に武器を拾った方が高確率で勝利することになる。敵がわんさかいたとしても、落ち着いて敵のいない区画におり、まずは装備を整えることが大事なのだ。


 各チームのパラシュートが開く。


「敵は?」


 そう聞くと、索敵担当のベル子が正確な敵の数を教えてくれた。


「全部で約20人ほど、5パーティほどですね」

「まぁまぁ多いな」

「肩慣らしにはちょうどいいわ」

「すべてクイーンに捧げる供物にしてやろう」


 こんなイロモノ4人組が、本当にチームとして機能するか少し不安だけれど、俺は不思議とワクワクしていた。


「油断するなよ」



 初陣がはじまる。





誰がなんと言おうとハーレムです(強気)


おかげさまで日間2位、総合6位にランクインすることができました。これもひとえに読者様のおかげです。ここまできたら欲を出して、総合5位を目指したい…!

良ければ小説の下の方にある評価ボタン、ブクマをポチッとしてくれると、とっても嬉しいです。


どうぞよろしくお願いします。

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