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ハンティング  作者: トライトン
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2.家事

2.家事


妻に出ていかれた直後は何も考えることができない日々が続いた。その時勤めていた職場にも行くのが億劫になり、気付くと僕のデスクは無くなっていた。あの時地球で一番不幸だったのは間違いなく僕だったろう。

1週間ほど経ち、少し頭を働かせる余裕が出てきた。不幸に慣れ始めたのである。思考能力を取り戻した僕は、妻が言い放った最後の言葉を思い出した。

「あなたにはないものが多すぎる」

一体何が行けなかったのか。次はそのことしか考えられなくなった。あの時にああしなかったからダメだったのか、あの時のあの発言がダメだったのか、あの深刻な話をしている時のあの表情がダメだったのか、考え出すときりがない。

そんな僕は前にも述べた通り、無いものを得ることにした。全て得られた後、彼女に連絡すればもしかしたら…。


まず僕は家事を覚えることにした。以前は全て妻に任せっきりだった。掃除、洗濯、料理など家の用事を僕は何もしなかった。仕事が忙しく、家を出る時間は早く帰る時間は遅かったのでそれを言い訳にしていた部分もあるが、とにかく僕は家ではグータラな男だった。

いきなり始めるといってもできるはずもない僕はお米の炊き方から洗濯機の使い方から検索しなければわからないレベルに家事ができなかった。ここまでできないものかと少しショックを受けたが、新しいことを覚えようとしている間は不幸な感覚は、少し薄れることに気づき夢中になった。

料理も初めは野菜炒めから始めることにした。切って炒めるだけだし簡単だと調子に乗っていたが、ここでまた妻の素晴らしさにまた1つ気付く。なんと家にはピューラーがなかったのである! 全ての野菜の皮を包丁で向いていたのか!驚きながら何度も何度も手を切って上達していった。今ではクックパッドに自作のレシピをあげるほどに上達している。あれから半年しか経っていないがなんせバイト生活の僕なので時間は有り余っているのである。

包丁の扱い方も我ながら美味いと感じる。また詳しくは後述するが、包丁やノコギリなどには刃先や長さ、切れ味など多くの点でこだわりがあるほどである。


まず、あの時足りなかったものを少し手に入れたように感じている。しかしこんなもので彼女が帰ってくるとは思えない。まだ普通の夫として出来て当たり前のことが出来るようになっただけなのだから。彼女を取り戻すためにはもっと頑張らないと…

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