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キミへ恋愛届

作者: 萩原なお

日が落ちかけている教室。




目の前には満面の笑みの彼。




机には意味がわからない紙切れ。





一体どうなってるんだ。




彼とあたしは大体席が前後だというつながりしかなかった。

地味で真面目なあたしは人なつこくっていつも中心にいる彼を見ているだけだった。


それなのに学級委員としての仕事を済ませて帰ろうとしていたあたしに突然彼は「好きだ」と言った。

それも変な紙切れをあたしの机に乗せて。


「じょ、冗談なら帰るから。」


何がなんだかわからない。

人気者の彼が基本地味がモットーのあたしに告白?罰ゲームかなにかじゃないとありえない。

でも…野球バカで有名な彼が部活をサボってまでわざわざあたしのところに来るって…相当な罰ゲームだ。気の毒に。


「冗談なんかじゃないって。本気!」

「いや、落ち着いて?バレバレだよ。罰ゲーム何かでしょ?」

「罰ゲーム?…勘違いしてるっしょ。」


彼が大きくため息をついて自分の席へ着く。なんだかがっかりさせてしまったような…。


「なんかゴメン…。でも本気だったらそんな変なラブレター書かないよね?」


あたしは机に乗っている紙切れをズビッと指差す。

よく見てみると名前や、生年月日や住所、メアドやケー番など個人情報目白押しだ。

ラ、ラブレターっていうより自己紹介文??意味わかんない…。


「あっ、これラブレターじゃないよ。」


あっさり彼は否定した。

やっぱりね、と納得したと同時に胸の奥がちくりと痛んだ。


ん?ちくり?なんで?


「これは名付けて恋愛届!!」


…恋愛届?


「結婚届ってあるだろー?考えたんだけどな恋愛するにもやっぱ届出が必要だと思ってさあ。俺がココで日高サンがココに書く設定。」


ちょっと待って。届出って誰に出すんだ。

というかあたしに拒否権は無いのか。


天然だなあ、といつも見ていて思っていたけどまさかここまでだとは。

ふざけているのか、いたって本人は真面目なのか。


あたしはだまって席に座り直した。

彼は嬉しそうにあたしの机に頬杖をつく。

そういえば彼はいつも読書しているあたしの目の前で頬杖をついて「俺の特等席!!」と笑っていたっけ。


紙切れ・・・いや恋愛届に目を落とすと彼の大きい字がおどっている。

その一番目立つところには「真崎陸!野球よりも日高サンが好き!」と恥ずかしげもなく書かれている。


思わず顔を赤くしたあたしを嬉しそうに彼が見つめているのが分かる。

…ドッキリならそろそろ誰か出てきてもいい頃だよね。


もう一度恋愛届を見直す。

彼の字も表情からも真剣みが伝わってくる。


あたしは相当重症なんだろうか。

このドキドキは、胸があったかくなっていくのは幻?


「あたしのどこが好きなの?」


彼は困ったような顔をしてあたしの目を見つめなおした。


「たくさんあるけど…。いちばんは俺をいつも見つめててくれるそのあったかい目かな。」


え…?気づいてたの?


「いつのまにか俺を見ててくれることが嬉しくて、この席ゲットするのも大変だったんだぜ。」


そうなの…?


「本当?」

「俺そんな信用ない?」


首を横に振る。





あたしが恋愛届をキミに届けるまであと少し。







メープル小説2作目です!!

好き勝手書いてご満足頂けなかったかもしれませんがなにかありましたらコメントよろしくお願いします!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 初めまして、こんばんわ黒井と言います。 わぁ、なんとも心温まる小説で・・!/// 可愛い彼と、彼女。主人公の突込みとか、気持ちがひしひしと伝わってきます。 「恋愛届」と言う面白い設定に、釘…
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