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6話 チート持ちを探そう


街を走るノブスケ。

追う紙で出来た小鳥、紙鳥(かみどりさん。


「はぁ、はぁ、まいたか」


「まくな!!」

私は天界から怒号とタライをノブスケに浴びせるが、ノブスケはタライをサラリとかわす。

ステータスアップアイテムなんて貴重な物のはずよ? なぜ逃げる!?


 ノブスケは息を切らしながら壁に持たれた。

「あの鳥はいわゆるドーピングアイテム。使えばステータスが永続的に上がってしまう。レベル1縛りをしている俺がドーピングアイテムでステータスを上げてしまったら意味が無いだろう? 俺の縛りプレイに反する」



徹底してるな


「その縛りプレイ? っての辞めてレベルやランクを上げてスキル使って戦えばいいじゃない! あのイケメンや、もしかしたら魔王もノブスケなら倒せると思うわ」


「フッかもな。だか、俺がレベルやらランクやらを上げて、武器や防具を調達している間にも魔王軍の連中に殺されている人々がいるんだろ?」


「う、まぁそうだけど、わざわざ強くなる事を拒否しなくても良くない!? 急がば回れって言うでしょ?」


 ノブスケは辺りを警戒しながら続ける。

「そもそも、レベル制度にも疑問だ。異世界だ、スキルだレベルだと言われれば納得してしまうがここは現実だろ?」


 そんなところ疑ってたのね。


「チート持ちの連中が長らくこの世界に居ると言うのに、幹部一人倒せて無いってのも引っかかる。神器級の武器やチートスキルとやらは本当に魔王軍に通用するのか?」


「つ、通用するに決まってるじゃない! 私が考えた最強武器とチートスキルよ!? 魔王だろうが何だろうがバッサバッサよ!」


 と、とはいえ、確かにこの男の言っている事にも一理ある。私が送った他のニートさん達にも同じ武器、魔剣ダークエクスカリバーとチート級スキルの数々を渡しているのに何の成果も出してない。

 随分時間かかってるなーとは思ってだけど、異世界順応度半端ないニートさん達ならもうそろそろ何か成果を出してもいい頃よね。

 未だ魔王どころかその幹部さえ倒せないのは単純に数が足りないのだと思ってじゃんじゃか異世界へ勇者を送り込んでいたけど……うーむサニーに相談してみようかしら。


「その辺ハッキリするまで俺は縛りプレイを続ける」


 こんなに考えての事だったなんて。私は頭ごなしに……怒ってばっか。


「でも、縛りプレイって大変じゃない?」


「フッ。前世の頃からやっている事だ。もう慣れた」


 前世から頭おかしかったのね。納得。


「とりあえず爆裂ポーションが入荷するまで一週間は暇だ。色々調べるさ。他のチート持ちを探して話を聞けば何か分かるかも知れな……マズイ! もう奴が来た!」


 そう言い残しノブスケは、紙鳥さんから逃げて行った。

 これから先ずっとあの鳥から逃げる続けるきかしら?






 突然ドンっと大きな音が天界にある私の部屋に響いた。

「え!? 何!?」

 私の仕事部屋のドアが開き大量の紙束が雪崩れ込む。呻き声を上げながら白い紙の山が動いて私に近づいて来る! 何これ!? 魔物!?


「な、何で!? 魔物が天界に居るのよ!!」


「ル、ルーナ……たん……」

 聞き覚えのある声が聞こえる。


「そろそろ……書類の方……手伝ってもらっていいですかね?」


 魔物の正体は、紙の山に埋もれて居るサニーだった。

 あ、やべ忘れてた!!


「ご、ごめんサニー、ノブスケのアホ見てたら忘れてた! 今すぐやります!」


「わ、私はもう、無、無理。は、半分くらいは終わらせた、か、らガクッ……」


「ありがとう。サニー。ゆっくり休んで」


 私はサニーから羽ペンを受け取るり書類の山に戦いを挑んだ。

「うおりゃあああああ!!」









「無理だああああああああ!!」


 すでに5日経つけど終わる気配が無い! 細かい因果律がどうちゃらこうちゃらと意味不明過ぎる記入事項! 再三繰り返される質問事項! もう嫌!


「サニー生きてる?」

 返事がないただの屍のようだ。


 息抜きに久々にノブスケでも見るか。お、いたいた! ギルドの食堂兼酒場の角の席に居た。


「で? 聞きたい事って何だい? 僕ら次のクエストやるのに忙しいんだけど」

 あれは魔剣ダークエクスカリバー。って事は私が送ったニートさん? そう言えば探すとか言ってたっけ?


「ねぇ早くクエストいってかけるのカッコいい所みーたーい!」

 魔剣持ちのパーティーの人だろうか。やたらクネクネした女が猫なで声で魔剣持ちの人のマントを引っ張ってる。

「その魔剣とチートスキルの事だ」

 ノブスケがメガネをクイっと上げて言った瞬間、翔とかいう男の顔色が変わった。

「ごめんすぐ行くからギルドの入り口で待ってて」

「うん。分かった早くねー」

 

 「えっと? 君も転生者かい?」

 ゆっくりとノブスケの前の席に座った翔。話を聞く気になったのかな。

「そうだ。最近転生したノブスケだ。魔王関連の事を調べている」


「なるほどね。なぜ魔王はともかく、その幹部さえ未だ倒せていないのかって事かな?」

 ノブスケは頷いて話す。

「あんたのレベルは軽く90は超えていると聞いた。この街の近くの古城に魔王の幹部がいる。倒さない理由は何なんだ?」


 

「君は転生したばかりだから知らないんだと思うけど、そうだな言葉は悪いけど転生者はめっちゃ旨い汁が吸えるって事かな。ランクは知っているだろ? SSSランクになれば、ギルドからの支援でほぼ生活に困る事は無いんだ。そしてSSSランクはチート持ちの転生者にとっては簡単になれる! そしてモテる! ならば適当に死なないレベルのクエストをこなしてキャッキャウフフと生きていくのは自然だろ?」


 コイツ! だらけとる! くらえ天罰!!!

「ふぎゃ!!? 痛い!? なんだ? え? タ、タライ!?」

 よっしゃ! ヒットおおお!

「気にするな。だが魔王や魔王の幹部を倒せば莫大な金と名声が手に入る もっとキャッキャウフフできるんじゃないか?」


「痛てて、そうだとも。倒せればね。以前転生者30人平均レベル120で古城攻略に行った連中がいてさ。どうなったと思う?」


 メガネを上げるノブスケ。

「ほぼ全員死んだよ。帰って来た人に聞いたら、第2階層で化け物を見たって言ってた」

「平均レベル120で幹部まで行けなかったのか!?」

「ああ。120レベルまで上げるのに十年! そんな努力の結晶のレベルもまったく通用しなかった。この一件があってからみんな攻略をやめたのさ! 別にこの街は平和だし、魔王もいるんだかいないんだか分からないときたら……ね?」


 席を立ち上がりながらノブスケに言う魔剣持ちの男。

「君も攻略なんて諦めた方がいいよ。あんな危ない事。別に魔王を倒しても女神様からご褒美なんて貰えないんだしさ」


 そう言い、魔剣持ちの男はノブスケの元を去った。

 ノブスケはショックなのか微動だにせず席に着いている。

 


 まさかここまで酷い状態だったとは……でもこれ私のせいじゃなくない? 魔王軍強すぎーって事でしょ要するに。


 コホンと咳払いして。

「勇者ノブスケよ。元気を出すのです。これで分かったでしょう? 縛りプレイをやめてコツコツレベルを上げて……」

 レベル上げてどうするんだろ? 120レベルまで十年。それでも全然通用しないのに。あの翔って人の言う通り何もしない方がいいのかな?

「ククク。面白い。超高難易度設定か。面白いじゃないか! 俺はこのまま、うぉ!!? しまった長居し過ぎた! 危ない!」


 おい! まだ紙鳥さんから逃げてるんかい!!





 


 



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