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4話 お買い物


 街の南門前へノブスケを飛ばしてやった私は、早速仕事部屋へ移動して水晶を覗く。


「ちゃんと飛ばせたかな? お、居た居た」


 しっかり街へ飛ばせたようでノブスケは『ようこそ始まりの街ミーナスへ!』という看板の所に居る。しばらくボーっと突っ立っていたノブスケは、ようやく歩き出し装備屋さんに再び入っていった。


「ようやく、防具を身につけ、魔剣を買い戻す気になったみたいね。良かった、良かった」



「オヤジ! 冒険者プレートを持ってきたぞ。残りの金は用意出来たか?」

「へい、こちらにどうぞ。 こちらにプレートをかざしていただければ残りのお金をお渡し出来ます」


 ギルドにある物より小さい掌サイズのクリスタルをノブスケに渡す店主。


 ノブスケは言われた通りにプレートをかざしている。

 チャリンチャリンと音を立て続けプレートがその音の度に光る。

一体何をしてるのだろうと水晶を覗き込む私。やがてチャリンチャリンという音が鳴り止み。


「魔剣ダークエクスカリバーの代金しめて十億ルーナです。ご確認を」


 じゅ、十億!?

 魔剣を売ったお金はあの袋で全部じゃあ無かったんだ! そりゃそうか。神器級の最強武器だものね。すぐには完全に買い取れないか。それに、なるほど。プレートにはお金も貯められる機能がついていたんだ。

金貨を持ち歩くんじゃ、かさばるものね。



「ふむ、まあまあ金になったな」


「旦那! こちらの防具はどうでしょう? プラチナの鎧でっせ! 極めて高い防御力を……」

「いらん。 また何か用があったら来る」

「あ、あーまたのご来店をお待ちしてます!」


 NOを容赦なく突きつけられてガッカリしている店主さん。

 お金が大量にあるんだから買っておけよ!


 装備屋さんを出たノブスケは首に掛けたプレート見てニヤつく。


「心なしかプレートが重い気がするな」


 これでこの子も、グータラ勇者かしらね。もう一生遊んで暮らせるお金が手に入った訳だし、冒険者稼業も一度死んでもう懲りたでしょ?


 すると、装備屋さんの向かいにある近くの道具屋さんに入っていったノブスケ。

 何? 早速豪遊ってわけ?


「いらっしゃいませ!」

 明るく元気な女の子が三角頭巾にエプロンをして接客している。


 店は古ぼけているが、雰囲気のあるお店だ。棚には色々な道具や薬品が並べられている。

 ノブスケはしばらく店内を歩き回り商品を見ると、店員の女の子を呼んだ。


「この爆裂ポーションSサイズとは、どれくらいの威力なんだ?」


 ノブスケは赤い色をしたガラスの小瓶を指差す。

 名前からして危ない商品じゃない?


「ああこの商品の威力はですね。うーん説明するの難しいなーお試ししますか?」


「良いのか! 頼む」


「もちろんです! お父さん! 少し出て来るねー」

 店員の女の子の呼びかけにカウンターから手だけ出してひらひらと手を振る。親子でお店を切り盛りしているんだな。お父さんはずっと何かの作業しているようだ。寡黙って言葉がぴったりな感じの人だ。


 

 ノブスケと店員の女の子は店の裏の林に入った。


「ここら辺でいいでしょう。この爆裂ポーションの蓋を右回りに回して……そーですね。あの木に投げて見てください!」


 指差す先に大人一人分くらいの幹の太さの木が(ただ)づんでいる。


 ノブスケは言われた通りに爆裂ポーションの蓋を回す。するとプシュッ。っと炭酸飲料を開けた時みたいな音がした。そしてノブスケは木に向かって爆裂ポーションを投げる。


 ドンっとお腹に響くような低音成分多めな爆発音と共に真っ赤な火が弾けて、木は根元から焼け折れた。ひぃー! すご!


「なるほどな。空気と瓶が割れるだけの衝撃を加えると爆発する仕組みか」


「どーうでしょう? ウチの店の爆裂ポーションの威力はなかなか使えると評判ですよ? このsサイズが一番人気でお買い求めしやすいです」


 爆裂ポーションの威力を見てブツブツと呟いたノブスケは、店員の女の子に向き直り。


「素晴らしい! これの一番でかいサイズを八百本程頂こう!」


 はっぴゃっぽん!!!??


「え? 八百本ですか? 店員の私が言うのも何ですが、この商品の最大サイズとなると、もはやネタレベルな大爆発を起こしますよ? それに値段も高くてですね……一瓶十万ルーナ程しますが……」


 たっか! この異世界のお金は大体日本円同じ価値だよ? 爆裂ポーション、一本十万は高いわ! 大抵のクエストの報酬より高いじゃない! 使った瞬間赤字よ?


「構わない。どれくらいで用意出来る?」


「えーーっとそうですね。一週間いただければ用意出来ますが……」


 店員さんはエプロンをぎゅっと握って何やら言いにくそうにしている。

 ノブスケはそんな店員さんの心情を悟ったように言った。


「前金で半額の四千万ルーナを払う。頼めるか?」


 店に戻るや小さいクリスタルを手に取り本当に四千万ルーナを払ってしまうノブスケ。


「では、一週間後にまた来る」


「は、はい! お待ちしています!」


 元気な女の子の店員さんはドアを開けてお見送りしている。

 普段は絶対こんな接客をしていないんだろうなぁと思うとお金の力って怖いと思う。


 堂々と店を後にし街を闊歩(かっぽ)するノブスケ。



 私はあーあーと女神ボイスを出すための発生練習を行う。

 いい加減、女神キャラも崩壊が進んでいる気がするが押し通そうと思う。だって私名実共に女神だし!


「勇者ノブスケよ。爆裂ポーションをあんなに沢山購入して一体何に使うつもりですか?」


「フッ。女神様か。決まっているだろう? リベンジするんだ! あのイケメンクソ野郎にな!」




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