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3話 コンティニュー!



「……なんだ。と言う夢を見たのか」


「いや! ガチボコに殺されたわ!!!」

 妙な事を言って目覚めるノブスケに女神らしからぬ言葉を放ってしまった。いけない。いけない。


 魔王の幹部にあっさり殺されたノブスケは私のベットの上で目を覚ました。魔王幹部の攻撃に倒れたノブスケは魂までダメージを負っていたからだ。そのためノブスケの魂を回復させるために私は回復魔法を施し自然回復能力を高めてくれて美容にもいい私のベットに寝かしてあげていたのだ。


「どうやら助けられたようだな。ありがとう助かった」

 ノブスケはメガネを探しているらしく辺りを見渡す。私はベットの横の机を指をさした。

「装備品諸々一応持ってきといたから」

 私は親切にも装備品を回収していたのだ。女神パワーでちょちょっとね。魔王幹部のあのいけ好かないイケメン野郎にバレやしないかとビビりながらね。

 


「はあーーーくそ! あんな魔法があるとはな。予想外だった」

 ぽふっとベットを悔しそうに叩くノブスケ。


「あんたね! 魔力とスキル封じる指輪なんかしてるから死ぬのよ! 本来だったなら魔法のダメージを無効化出来るすんっごい加護スキルとか、超強い最上級攻撃魔法も持ってるんだからね!」


「ふん! 別にいらない!」


「いれ!」


 今までのイライラをぶつけるようにほっぺをつねってやる。

「ふぉれより、それより、もうあの異世界へは戻れないのか?」


 私のつねり攻撃を払いのけながら、澄んだ目をまっすぐ向けるノブスケ。そ、そんな目をしたってダメよ! 私は落ち着きを取り戻し女神らしく女神ボイスで告げる。


「戻れません。あなたは死んだのです」


 後光を醸し出して言うと、とても落ち込んだ様子のノブスケだ、肩を震わしながら目頭を抑えている。まさか泣いているの?

「あ、あの、えと、元気出して? ほら! 次はもっと良いところへ送ってあげるからね? 一年中ポカポカなところとか……」


「うわああああああ!」

 突然叫び出すから何事かと驚いていると私の美しい瞳に飛び込んできたのは顔を伏せてギャン泣きするノブスケの姿だった。


「ええええええ!?」

 分かんない! 意味がわからないよ!


「ちょ、男でしょ? 泣くなあああ!」

 あわあわ困っていると、扉を開けて厄介な奴が入ってきた。


「ルーナたん! おひさー!」

 丸いメガネをし、長い髪を三つ編みのポニーテールにしている。私の次に可愛いけどスキンシップが過ぎるのがたまに傷な美女、女神サニーだ。


「げ! サニー!?」

「キャーールーナたん! 顔見に来たよー!」

 顔を合わすや否や豊満な体を私にくっつけて来る。これが無ければいい友人なのだけれど。

「な、何しに来たの?」

「言ったでしょ? ルーナの顔見に来たって! あと、はぁ、はぁ。ルーナたんと同じ空気を吸いに……」

 ひぃっ! やっぱり友人ではない! 

 私より先輩の女神で私が管轄している異世界とはまた別の異世界を管轄している。こんな女神だけど優秀らしく私より上手く異世界を回している。


「で? そのギャン泣きしてる男は何?」

 興味深そうな目をノブスケに向けるサニー。


「私が異世界に送ったニー……勇者、でも死んでココに帰ってきたの」

「ふーーん? じゃあとっとと次の転生先を紹介して送っちゃえば?」


「それがね~また同じ異世界へ戻りたいんだってさ。それは出来ないのに」

 やれやれと手を上げて言ってみる。


「え? 出来るじゃん! 提出する書類がエグい量あるけど。不可能ではないよね?」

 くッ余計な事を! その通りだけども。サニーの言葉を聞いてピタっと泣き止みノブスケはこちらをチラチラと見ている。コイツ!


「嫌よ! どうして私が!? それに私があんな量の書類提出出来るわけ無いじゃない! つまり不可能よ! 諦めなさい!」

 とノブスケに言い放つ。するとサニーはニヤリと何かを思い付いたように笑い私の肩に手を置いた。


「ルーナたんの為なら、その書類作成。私も手伝ってあげる! ただし!」

 嫌な予感。



「お願い手伝って? お姉ちゃん。ぴょんぴょん! とポーズ付きでやってくれたらね!」

 頭の上辺りで両手をウサギの耳の様に動かして言うサニー。これを私にやれと言うのか!

 ありえない! 何でこんな自業自得で死んじゃった奴の為にこの女神ルーナ様が身を切らねばならないのか!


「うわあああああんんん! 最後のう、う、夏で、先輩の為にも、俺が、守らないといけなくて、でもおお、すいませんんん! うわああああ!!」

 何言ってんだコイツ? ケガした先輩投手の代わりに投げるもばちくそに打たれて、初戦で敗退した高校球児の如く泣き喚きやがる!


「あーーもう! お、お願い手伝ってお姉ちゃん……ぴょんぴょん……」

 顔が熱い……殺してくれ。


「ムフォ! ありがとうございます! 書類作成の準備とか諸々やっとくから、ゲート開いてあげな!」

 腕を回しながら、書類作成に取り掛かるため部屋を出ていくサニー。


「さ、早くしろ。コンティニューだ」

 サッと立ち上がり装備品を身に着けてもうゲートの前にいるノブスケ。クソ! もうケロッとしていやがる!


「いい? 次は無いんだからね!!」

 私は異世界へのゲートを開きながらノブスケの背中に言った。


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