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13話 石橋修復

 

 レティシアの背中をさするノブスケをよそに、私は川に落ちた魔物の行方を石橋に空いた大穴から覗いてみる。流石に体が石でできていたからか、川には流されずにひっくり返って水中に沈んでいる状態みたい。上がってくるなんて事はなさそう。


「うう、大分楽になった、ありがと……もう平気」

「すまない、無理をさせた」

 首を横に振るレティシア。

「それより、これからどうするの? 橋壊れちゃったけど……」

「そうだな……おい馬! 荷台を外してやるから俺達を乗せて、ここをぴょーんて飛び越えられないか?」

 ノブスケの呼びかけにお馬さんは前足でバツを作った。何だこの馬! 言葉分かるのかよ!


「おい! そこの馬車! 道を開けなさい!」

 突然、豪華な馬車の手綱を握る馭者ぎょしゃさんに呼びかけられるノブスケ達、髭をクルンと左右にはねた高貴な者に仕えてます感溢れるおじ様の馭者さんだ。

 豪華な馬車はノブスケの馬車の後ろにつっかえるように止まっている。


 ノブスケ達は豪華な馬車の前まで行った。

「開けろって言ってもな……橋が壊れてるんだ」

 白々しくやれやれと手をあげるノブスケをギョッと見るレティシア。

「何ですと!? ああ何という事だ! これでは会議に遅れてしまう!」

 頭を抱えてうなだれている馭者さん。あのぅ、コイツらが橋壊しましたよー。


「これセバス。何事だね」

 豪華な馬車の扉が開き何やら位の高そうなお爺さんが出てきた。頭が禿げているけど左右にはまだ白髪が残っているような髪型のお爺さんだ。あれ? この人どこかで見たような。

「おお……橋が! ん? あれ? わしの石像もなくない? ねえ?」

 ノブスケもレティシアも気づいたみたいで汗をかいて目が泳いでいる。間違いないわこのお爺さん石像のモデルの人だわ。ムキムキではないけど。


「さ、さささ最初から壊れていましたです!」

 ああ……レティシア、ダメよ。嘘を隠したいなら弁明しては! 黙るの、沈黙は金雄弁は銀って言うでしょ!?

「最初からですと? おかしいですなぁ。先日完成したばかりの石橋だというのに」

 馭者さんに疑いの目を向けられて、更に目が泳いでいるノブスケ達。


「わしの石像ないじゃん! ねえ? セバス! 聞いておる?」

「聞いておりますよ! 石橋と一緒に壊れて落ちたんじゃないですか?」

 めんどくさそうにお爺さんに答える。セバスと呼ばれている馭者さん。


 たぶん石像はあの魔物がオリジナルの石像を壊したか食べたかしちゃって、ノブスケ達が来た時にはもう擬態していたんだわ。ほら、ドラマなんかだと『俺が本物になるーーー』て言ってオリジナルを殺そうとするなんてよくある事じゃない? それと同じだわきっと。石像に関してはノブスケ達は無罪だわ。


「あーーー! あれわしの石像の足じゃない? 川の下にある」

 橋の大穴を覗いて指さす高貴なお爺さん。

「クサツヘルム公危ないです。お下がりください。落っこちますよ?」

 川の水面にムキムキの足が飛び出てる。あの魔物の体から生えてるって事はオリジナルの石像を食べた説が正解っぽいぞ。


「セバス! 引き上げるのだ。わしの石像を!!」

 何ぃ? 魔物なんですけどあれ!


「あの! 迂回ルートを探した方がいいのでは? 会議に遅れるとか何とか言ってなかったか?」

 ノブスケのナイスな話題転換。

「おおそうであった! セバス! 仕方ない石像はまた作るとして……さっさと石橋を修復せぬか!」

「かしこまりました。ですが、この橋の修復に魔力を使ってしまっては護衛の任がままならなくなるのですが……」

 このセバスとかいうおじ様もレティシアみたいにゲロっちゃうって事かしら? もう今日はゲロ見たくないんですけど。


「仕方なかろう? 迂回していたら絶対に間に合わないぞ? 今回の会議は珍しく大真面目な議題なのだから遅刻する訳にはいかないのだ」

「か、かしこまりました。では、『アースクリエイトストーンブリッジ』」

 長たらしい呪文なしに魔法を使ったセバス。残った石橋がうねうね動いて橋が出来ていく。おお凄い!


「うぷ、ゴクリ。橋出来ました……」

 流石セバス。何とかゲロを抑え込んだみたい。

「よし。では行くぞセバス」

「申し訳ございませんクサツヘルム公。少し休憩を……」


 懐から時計を取り出した殿下はすまぬと言い馬車に向かう。

「時間がない。休憩はできぬ。お、そうだ! お主ら冒険者だろう? わしをこの街道の先にある街『クサツヘルム』まで護衛をしてくれぬか? 報酬ははずもう」

「公爵閣下! それはいけません……この者達がどういう輩か分からないですし……」

「緊急事態じゃ、顔色最悪のおっさんだけ連れてでは威厳が出んだろう?」


 ノブスケとレティシアは顔を見合わせる。

「ノブスケの意見に従うよ。私は」

「フッ。どうせ行先は同じだ。護衛の任、受けよう」

 護衛ね? コイツらで護衛になるかな?


「うむ。言い決断である。ならば早く行くぞ」

 そう言い豪華な馬車に乗り込んでいくクサツヘルム公爵。顔色最悪おじ様のセバスはノブスケ達の馬車の荷台に寝かせて馭者はレティシア。豪華な馬車の馭者はノブスケが務めて街道を走り出した。




















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