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12話 石橋の上の戦闘


 ぱかぱかガラガラと馬車を走らせる事数時間。魔物にもあまりエンカウントせずに街道に入った。後はこの街道を真っすぐ行くだけ、舗装されているからお馬さんも走りやすそう。街道を行くだけならもう魔物にエンカウントする事はないだろうな。


「ヒヒーーン!!」

「おいどうした!?」

 街道をご機嫌に走っていたかと思ったら石橋の前で急に足を止めるお馬さん。


「何? どうしたの?」

 ノブスケ達の前方には特に何もないのだけれど、お馬さんは進みたがらないみたい。


「ここから先に進みたくないみたいなんだ。こいつ高い所が嫌いなのか?」

 高いって程でもないけどね。大体五メートルくらい下に川が流れているような普通の石橋。

「一体どうして……」

 ノブスケが手綱でピチピチ叩いて進むように促すが頑なに動かない。


「ゴトンッ」

 おや? 石橋の真ん中にあるムキムキのお爺さんの石像が少し動いたような……

「ん? なーあの石像。あの場所にあったか? 最初見た時とは左端にあった気がするのだが……」

 指を指すノブスケ。レティシアはうーんと唸っているけど、私はノブスケの言う通り違う位置だったと思う。


「レティシア。試しにあの石像に何か魔法を撃ってくれないか?」

「え? ダメでしょ! きっと『クサツヘルム』の偉い人の石像だと思うよ?」


「頼む。全責任は俺が持つ」

 レティシアは渋々曲がりくねった杖を構えて呪文を唱えはじめた。

「うう……私は命令されてやっただけですうううう! 『アイス』」

 誰に言い訳しているのか分からないけどレティシアは魔法を放った。

 氷の塊が空中に生成されたかと思ったら勢い良くムキムキのお爺さんの石像に向かって飛んでいった。おおこれは確か昨日キレてノブスケに放った魔法の内の一つだ。


 パキンっとムキムキのお爺さんの石像の顔面に当たって砕けた瞬間。

「キゥアアアアアアア!!!」

 悲鳴のような叫び声をあげて、石像が巨大な岩のみたいに膨れ上がって大きな口が現れた! うわーーーうるさい! なにあれ!? キモイ!!

「いやああああああ!!!? 怖い怖い! なにあれえええ!!?」

「!? やはり魔物か!!」


 ムキムキのお爺さんの石像に擬態していたんだ。レティシアの魔法がきっかけに擬態をやめたら馬車より大きくその姿は岩に手と足があって大きな口があるみたいな魔物。前にノブスケが飛び蹴りして爆散させた『ジャイアントプラント』の近縁種かしら? でもあの時の魔物より二回りいや、三回りくらいでっっかい!


「キゥアアアアアアア!!!」

 凄い声で威嚇してる!? のしのし歩いてノブスケ達に近づいてくる。

「どどどどど、どうしる? どうすりゅ!!? どうするの!!? に、逃げようノブスケ!!」

 パニック状態のレティシアはノブスケのローブのフードをグイグイ引っ張ってる。


「いや。ここは逃げられない! ここを迂回するとなると川を渡れる場所まで魔物うようよゾーンをさまよう事になる! それはリスクがデカすぎる! だったら今コイツを何とかやり過ごした方がいいはずだ!」

 確かにこの街道を外れて進むのはリスクが高いけど、こんな奴をノブスケ達レベル1コンビが何とか出来るとは思えないんですけど。


「そりゃそうだけど!」

「馬車から離れて戦うぞ!」

 そう言うと馬車を飛び降りて『草薙カリバー』を抜いて魔物に向かい合う。

 それを追うように馬車の荷台から降りて曲がりくねった杖を構えるレティシア。馬車のお馬さんゆっくりバックしていく。


「いくぞ! 援護しろ!」

 ノブスケはそう言うと魔物に走っていく。無謀過ぎいい!!

「ひぇぇぇ『アイス』」

 パキンと魔法が魔物に当たるけど全然効かない! ノブスケは構わず突っ込んでいきただの木の枝……『草薙カリバー』を魔物の目に突き刺した。


「キゥギャアアアアアアアア!!」

 おお凄い! 会心の一撃じゃない!!? 

「おお! ノブスケぇええええ!!」


「ギャウ」

 魔物が腕を振り回してノブスケに反撃して直撃。ノブスケは口から強制的に空気が出ていったみたいな声をあげて魔物に吹っ飛ばされ、橋から放り出された。


「きゃあああ!! の、ノブスケぇええええ!!?」

 レティシアが悲鳴をあげている中、私は無意識に冷たい手で口元を覆っていた。アイツまた死にやがった!


「っぶねぇ……また死ぬ所だった……」

 橋の淵に手をかけて何とか落下を免れているノブスケ。おお! ナイスしぶとさ!! でも片目をやられた魔物は石橋の中央で大暴れだ。


「食らえ! 『ファイア』」

 レティシアは魔法を唱えて魔物に放つが魔物の腕に阻まれる。無理ゲーじゃない? 


「レティシアあああああ!! もう橋ぶっ壊せ!!」

「はい!!?!??」

「お前なら出来るんじゃないか!?」

 橋の上にカムバックしてきたノブスケはご乱心だ。魔物が中央に陣取ってる状況で石橋壊したら渡れないじゃん。


「石橋壊したら渡れないじゃない!!?」

 ぐぬ、女神である私と同じ感想だと!? この小娘!


「いいから! 出来るのか? 出来ないのか!?」

「たぶん出来るよおおお! でもこのピンチを切り抜けたら偉い人に怒られそうだよ」


「キゥアアアアアアア!!」

 石で出来た魔物の腕が鞭のようにしならして威嚇してる。


「俺が奴の注意を惹く。やってくれ!」

「わ、わかった! 全魔力使うよ!」

 レティシアは呪文を唱える始める。ノブスケは魔物の攻撃をかいくぐって木の枝でぺちぺちしてる。


「準備できた! いくよ! ノブスケ!」

「行け!」

「キゥアアアアアアア」


「『アース』」


 曲がりくねった杖を杖を地面に突き立てて魔法を放った。魔力は石橋の上を伝って魔物の足元で爆発した。

 ガラガラと石橋が崩れていく。石橋の破片が下の川へ落ちていくのと一緒に魔物も落ちていく。

 ノブスケもそれに巻き込まれそうになりながら何とかレティシアの元へ駆け寄る。


「ふぅ。やったな……」

「はあーー何とかなった……オロロロロロ!」

 ええええ!? 突然吐き出すレティシアは顔色が凄い悪い。

「うぉい!!? どうした!? 毒にでもやられたか!?」


「う、う大丈夫……魔力使いすぎて気持ち悪いだけ……」

 そんなシステムだったの? 魔力って。







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