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11話 馬車での道中

「私は女神ルーナ。あなたは死んでしまったのです」

「嘘だあああ!! 信じない!! 僕にはまだやりたいゲームが沢山あるんだ!!」

「安心してください。あなたは天国でのびのび生活できるでしょう。それではゲードオープン」

「か、体が動かない!? やめろおおおお! あああああああ……」



 ぐはっ! 疲れたあああああ! 最近ノブスケにばかりかまってたから仕事が溜まり過ぎてる。

「ルーナたん。頑張って! 後九十九人! ようやく百人切ったよ!」

「いやあああああ! ちゃんと振り分けるのめんどくさいよおおおお!!! もういいじゃん! 全員異世界行きで!」

 いつもなら適当にチートスキルと最強武器持たせて異世界に送ってるけど、今回はサニーの監視付きだ。


「ルーナたんが最近上手く異世界回せてないっぽいって相談してきたんじゃない! 何でもかんでも異世界に送ってるとバランスが崩れてくるのよ? ほーら、次の人来たよ! 資料によると安堂寺輝彦って人ね」

「ぐ、ぐわあああああ。もう過去の私、殺し過ぎいいぃぃぃぃぃ!!!」


 次は初老の男だ。 状況が分かってみたいで辺りを見渡している。

 「は! ここは一体? 確か私はバナナの皮を踏んで……」

 クソ! ……いいだろう。女神の本気見せたるううう! かかってこい!!







 ようやく仕事が終わった頃には、ノブスケがいる異世界はすっかり夜になっていた。


「『ファイア』」

「ほう。流石魔法使いを名乗るだけあるな。簡単に焚火が出来る」

 ぱちぱちと燃える焚火を見ながら言う。

「当然のこと! ま、でも私は初歩的な魔法しか使えないけどね」

 ふむふむなるほど。焚火中か楽しそう。

 今どれくらい来たのかな? ノブスケからズームアウトして俯瞰する。 ふーんようやく半分って所か。

ノブスケ達の進行方向に大きな街の光が見える。あそこが『クサツヘルム』かな? 最初の街と負けず劣らず栄えてるな。


「よし。腹ごしらえでもするか。この魚、確か栄養満点なんだろ?」

 そう言っていつの間にか手に入れていた箱にレティシアのお父さんが持っていた魚と同じ種類の魚が二匹入っていた。

「さかな? ああ、サカナッソのことね、さっき食べそこなった。そうよ! 栄養満点で私このサカナッソが大好きなの! なんて名前のサカナッソなのかは知らないけど……」


 サカナッソって種族名なのね……

 ノブスケ達は簡単に魚を調理し出すって言っても魚の口に棒を突っ込んで焼くだけのワイルドな調理だけどね。


「うまいな!! 脂がのってる!」

「美味しい……うう故郷を思い出す……ホントここまで何回死にかけたか……」

 そういうレティシアは振り返って馬車みる。あらま、ボロボロだ。これ借り物なのに……


「一番グレードの高い馬車じゃなければ逃げ切れずに、もしかしたら死んでたかもな。モグモグ」

「うぐ、考えたくないね」

 一番面白そうな所を見逃したみたい……。ちくしょう何があった!?


「ふう。食ったらもう今日は寝るぞ。そして明日、日の出前に出発する」

「うん。わかった。私馬車で寝るから! 変な事考えないでよね!」

 安心して私が見張っててあげるわ!

「フン! ちっぱいに興味はない!! さっさと寝ろ!」

「な、なにぃぃ!!? ち、ちっぱいだと? もういっぺん言ってみろ!! 『ファイア』『アイス』『ウィンド』!!」

 キレたレティシアは魔法を連打する。初歩的な魔法とは言えちゃんと殺傷能力はある。


「うお! やめろ! すまん! やめ、ごめんなさい! マジシャレになってない!!」


「ふん! もう寝る!!」

 

 コホンとのどの調子を整えて。

「ノブスケよ。明日ちゃんとごめんなさいするのです!」

「わ、分かりました」


 まったくこれだから、ニートは世話がやけるわ。





 朝になり、ノブスケ達は出発したみたい。私は寝坊しました……。


「周囲に異常なし。順調ね」

 馬車の荷台で監視しているレティシアは馬車の手綱を握るノブスケに言う。どうやら仲直りしたみたいね。良かった良かった。

「ああ、少し遠回りになるが、森を迂回したのは正解だったな」


 なるほど、真っすぐ『クサツヘルム』に向かってないと思ったら森を避けていたのか。まあノブスケ達がここら辺の魔物に出会ったら瞬殺されるものね。

 私は引き出しから異世界魔物辞典を出してめくってみる。『ウッドマン』『ポイズンプラント』『キラービー』うん。ここらに木の枝で倒せる魔物なんていない。


「もうすぐすれば『クサツヘルム街道』に入るはず。そこまで気を抜かずに行こう」

「ええ。昨日みたいに『ダッシュラビット』の群れに襲われたくはないし。まさかノブスケがこんなに弱い何てね」

 ああ私が見逃した、昨日の馬車をボロボロにした件か……沢山の凶暴なウサギさん達に襲われたのね。


「フッ。お前も似たようなものだろ。弱っちい俺達がここまでこれたのが奇跡だ」

「そうね。ところで気になっていたのだけど……すっごい遠くの後ろから白い鳥がずっと追いかけて来てるのだけど。あれは?」

 え!? ホントだ! ついてきてる! 未だに交わし続けているのね。いい加減ステータスアップ受け取れよ! 

 すっごいパタパタしてついてくる紙鳥さんの姿、もはやなんか可愛いな。


「気にするな。俺の相棒だ」







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