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9話 英雄凱旋!

 ギルド内はざわざわしている。もちろんそのざわざわの中心はこのメガネだ。


「ですから、正規の手順を踏んでないのでこれはギルド案件として取り扱えません!」

「ふ、ふざけるなあああああ! こちとら八千万ルーナと命をかけてこうして幹部の首を持ち帰って来たんだぞ!? その英雄様にこの仕打ちかああああ!!?」


 ドンと受付のお姉さんの前に置かれるキースの頭。キースは気まずそうな顔をしてはにかんでいる。


「ひぃぃぃぃ! そんなキモイ物出されても困ります!」

「なに!? これでも私はモテモテだったんだぞ! き、キモいとは何て無礼な奴だ!! 貴様、吸血してやろうか!?」


「もういい! 上の者を出せ!」 

「わ、分かりました。ギルド部長を呼びます……」


 イライラしながら待つ事数分。

「ノブスケさん困りますよ。ちゃんと正規の手順を踏んで下さらないと!」

 筋肉粒々のスキンヘッドの大男が拳をバキバキ鳴らしながら出てきた。


「忘れてたんだ……です。あの、すみません……ランクの方とか……報酬とかって?」

「上がらないし出ないですよ。と言いたいところですが、こうして魔王幹部の首を持って来ているのでね、頭の買い取りという事なら一千万ルーナで買い取りますよ」

 ぷぷぷっ。赤字でやんのー。魔王幹部倒せばランクなど簡単に上がる! ってドヤ顔で言ってたのに!


「い、一千万だと? 安すぎるだろ! この紙には報酬百億ルーナと書かれているじゃないか!」

 ノブスケは懐からクエストの張り紙を出し机にたたきつける。


「ええ、討伐は。しかしノブスケさん。コイツまだ生きてるじゃないですか?」

「フン! 当然だ! 私を損所そこらのヴァンパイアと一緒にして欲しくないな! 本来こんな雑魚に負けるはずはないのだ!」

 首を振って髪の毛をサラーっとやるキース。

「なら、今この場で叩き切ってやるよおおおおおお!」

 愛刀草薙カリバーを抜くノブスケ。おい待て待て!

「ノブスケよ。キースから魔王の情報を引き出すはずでは?」


「ぐ、そうだった。落ち着け俺……」


「どうします? ノブスケさん?」

 草薙カリバーをしまい、メガネをクイと正して言う。

「買い取りお願いします。あの、コイツ魔王関連の情報持ってるかもしれないので……その」

 ニッコリ笑うギルド部長

「ええ! 優しく聞き出しときますよ。情報はギルド内の掲示板の方に書き出されるでしょう」

 怖ッ! キースも運命を悟ったのか悪い顔色がもっと悪くなってカチカチ歯を鳴らしている。







 ギルド内食堂兼酒場のテーブルに頭沈めてうなだれているノブスケ。小声で何か言ってる。

「なんだよ、報酬なしとかよ、素材売りに来たんじゃねーし……ランクも一個も上げてくれないとかクソかよ……ちょっとくらい上げてくれてもいいじゃないか。幹部だぞ? 幹部を倒したんだぞ? 何だこれ? ランク制度とか意味わかんねーよ…………」

 愚痴がすごい……コツコツ上げないノブスケが全面てきに悪いのだけど。

 まあ、レベル120のチート持ち30人でも倒せなかった魔物達を一掃して、幹部の首を持ち帰った英雄なのにね。ちょっと可愛そうかも。

 ここは勇者を導く女神として励ましてやるか。


「やー君! 凄いね! レベル1の勇者って有名だよ!」

 私が声をかけようとした時にノブスケの隣にドカッと座る女。魔法使いっぽいとんがり帽子にやたら曲がりくねった杖を持っている。それとこじんまりした胸。ふっ雑魚ね。

「有名? 俺が?」

「うん! という事でお願いがあるんだけどいいかな?」


「何をお願いする気か知らんが、断る! 名も名乗らん奴にかまってる暇はない! 俺は魔王倒すのに忙しいんだ」

 そう言ってまた落ち込み直すノブスケ。

「あーごめんごめん。名前はレティシア! みんなはレティと呼ぶよ。でお願いというのは僕とパーティー組んで欲しいって事だ!」


 パーティーにね。流石にもうそろそろ分かるわ、ノブスケの考えが答えはNOね!

「断る! 俺はソロプレイヤーなんだ! 足手まといは要らん!」

 足手まといになるのはお前の方だろ! って言いたいけど、ぐぬぬコイツには魔王幹部討伐の実績がある。非公式だけど。


「そ、ろ? よく分からないけど、分かるよ! 見てこれを!」

 ノブスケの前にプレートを置いたレティシア。

「レベル1? ランクF? お前まさか!?」


 腰に手を当てて胸を張るレティシア。まさかこの子も!? 縛りプレイを!?

「私はレベルを上げずにある人に経験値を全部上げたいんだ! 君もそうなんでしょ?」

 違います。この男は……何て言うんだろ? リアリスト? いや、ただの頭がおかしい人かな?

 それにしてもあのプレートって経験値の譲渡も出来たのね


「俺は趣味で……いや、レベルなど信用してないだけだ」

 ん? 趣味って言った? 聞き間違えか。

「え? そうなの? まあいいよ。パーティー組も! 一人で戦うよりパーティの方が経験値いっぱい貰えるんだよ」


「組まない!」

「組もう!」

 組む組まないの応酬、ノブスケは全く折れる気配がない。

「いやあああああ! ヤダヤダ! 組むの!」

 駄々っ子のようにノブスケの前のテーブルで転がり回るレティシア。


「俺よりもっといい奴がいるだろ? そいつらの所に行けよ」

「だってあなたまた魔王幹部を狙うんでしょ? また倒せたら経験値うまうまじゃない!」


 確かに幹部を倒せたら莫大な経験値が入るはずね。ノブスケはどれくらい入ったのかしら。


「なら俺の経験値やるよ。それでその上げたい奴ってのにやればいい。俺はもう行く。そろそろ奴に追いつかれる」

 そういうとノブスケはプレートをレティシアのプレートにかざして経験値を全て渡してしまった。

「ちょっ! 凄い経験値じゃない! いいの?」

「ああ、俺には必要ない」


「おいコラああ! あげちゃダメええええ! レベル制度に納得したら使うんじゃないのかよ!」 

 私は天罰のタライをノブスケに落とした。まー交わされるけどね……クソ! どんな状況でも交わすなコイツわ!


「これで病気のお母さんも元気になるよ! きっと!」

 










女魔法使いはレティシアです。間違えたとこ直しました。

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