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Re:The End《レジェンド》  作者: フィルゼ
第一章
5/7

04 『異種世界間戦争』

色々と忙しく、当初の予定より大幅に更新が遅れてしまいました。

今回のこの部分は、大幅に加筆修正するかもしれないです。

それでは、どうぞ。









「先ずは、『異種世界間戦争』について確認しようかの」


「……ちょっと待ってそんな話知らない」


 脳の情報整理って言っても、最近ファンタジーもののなんて見てないぞ!?


「少し聞いていてはくれんかの、儂等の会話を。さすれば多少は理解できるじゃろうて。細かい話は大筋を理解してからにすればよい」


「……脳ってどっから情報仕入れてるんだよ……。まぁ分かった、聞いてるよ。最初にとことん聞くって言ったしな」


「はっは、物分りが良いじゃあねぇか使徒殿! どうだ、後からそっちの世界の話でもしながら飲むってのは!」


「いや、ヨークシャ爺さんに鉱山族とは飲むなって言われたばっかだし、辞めとくよ」


 絶対呑まれるし未成年だし、なにより話が終われば目覚めるだろうし。


「そう言うなって、鉱山族の酒は美味いぞぉ? ほれ、味見だけでもどうだい、え?」


 懲りずに手に持った瓶の中身を勧めてくるドワーフのガラック。

 

「ガラック……自重して……」


 そんな酒好きのドワーフを見かねたのか、シャーラさんがフォローしてくれた。

 シャーラさんはあんまり喋りたくないタイプみたいだけど、こういう場面では助けてくれるんだな、優しい。


「あなたのその、鼻の曲がるような、臭い……だいっきらい、なの……」


 ……前言撤回この人ガラックの事嫌いなだけだこれ。

 ガラックもシャーラさんの事が気に食わないのか、両者が険悪な目つきで睨み合い始める。

 そういえばドワーフとエルフが仲悪いのもお決まりだったっけか……。


「話が進まない。やるなら部屋から出てやれ」


「話が進まないどころか、まだ始まって数十秒よ……」


 ロンドは二人を咎め、リーゼは呆れて思わず愚痴が口を突いたようだ。

 

「わぁーったわぁーった、俺が悪かったよ、空気読めなくて悪かったな。話を続けてくれや」


「……個人的な悪口を言って、すまなかった……。次は客観的に……批判するように……する……」


 いやシャーラさん、謝ってるのかそれで……。ガラック結構怒ってるよ?


「良いかの? ……うむ、では再開じゃ。『異種世界間戦争』……つまりは儂等の世界と、使徒様が来た世界との間の戦争じゃ。お主等の世界の神と儂等の世界の神、両者はすこぶる仲が悪くてのぉ、事あるごとに対立しておったそうじゃ。片や物質世界、片や精神世界と言える世界じゃからの、対立もするじゃろうて。

 さて、そんな神達はいよいよ決着を着けることで合意したそうじゃ。がしかし、神と神がぶつかっては両方の世界が荒れ狂い、崩壊してしまう」

 

 いよいよやばい、厨二病全開過ぎる。俺の頭は一体どうなってんだ!?

 とりあえずは顔に出さないように、真面目を気取って頷いておく。ヨークシャ爺さんは頷き返して続けた。


「――そこでじゃ。神達は代理戦争を行う事にした。世界が無くなれば結局神は消えてしまうのが道理じゃからの、当然の結果じゃ。

 ところでその代理戦争じゃが、少数でやるにはあまりに儂等の世界が有利で、総力戦となればあまりにそちらの世界が有利になってしまう。こちらは魔法という優位性、そちらは数という優位性。主にこれのせいじゃて」


「……それって、解決できる問題なのか?」


 純粋な疑問だった。


「できたんじゃよ。だから使徒様はここに居るんじゃからの」

 

 簡潔で、そして理に適った答えだった。


「リーゼ、ニミュ、頼むぞ」


「うん、分かった」


「りょーかーい!」

 

 ヨークシャ爺さんの言葉を合図に、リーゼとニミュがソファー近くまでやってきた。ニミュに裾を離すようにヨークシャ爺さんが指示する。


「よーく見ててね」


 そう言うと、リーゼが両手を合わせて水をすくうような形を作った。

 

火球よ(クーゲル・フランメ)


 ぼうっ、と彼女の手の中に火球が生まれた。鮮やかなオレンジ色と、生き生きとした黄色の炎が程良く混ざっていて、そのグラデーションに心を奪われる。

 明るいとは言えないランタンの灯った部屋をより照らす火球は、ソファーや俺達の影を壁に作り、丁度キャンプファイヤーを見ているような感覚を感じさせた。


「おお、綺麗だな……。でもこれ、魔法だろ? これがどうかしたのか? さっきの話だと、これが解決策になるとは到底思えないんだけど」


「違うわ、神の使徒さん。本命はこれよ」


 言ってリーゼはかがんで、ニミュの手が届く辺りに自分の手を持ってきた。


「ニミュ、お願い」


「おっけー、いっくよー!」


 高らかな宣言と共に、叩く様にリーゼの手に触れる。

 ――その途端、火球が掻き消えた。


「……え?」


 火球の光量に慣れた目が、突然光を失った事で機能を停止する。


「これが神達の考えた解決策。――加護の力じゃよ」


 


 ヨークシャ爺さんの声が、視界に広がる広い影の中に光るいくつかの眼光のように、はっきりと耳に届いた――




 



 

 

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