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非情なる者⑦

 レイちゃんが部屋に入ってきた。

『ちひろちゃん、何やってるの?』

『考え事してたの。』

レイちゃんがテーブルの上を見ている。感がいい子だ。きっと、何かに気がつくはずだ。

『何これ?小さいのに、綺麗な彫刻がいっぱい施されてる。』

レイちゃんが興味を持ったのは、アロンの杖だ。

『触っていい?』

『もちろんいいよ。自由に触ってかまわないわ。』

テーブルの上に、アロンの杖は15cmほどの長さで置かれている。レイちゃんは、そのアロンの杖を持とうとした。しかし、ビクともしない。

『あれっ?これ動かないよ。』

演技をしているわけではない。本当に動かないようだ。俺は、レイちゃんの横に立ち、アロンの杖を手に取った。普通に持ち上げられる。いや、むしろ軽いくらいである。もう一度、テーブルの上に置く。

『レイ姉ちゃん、もう一回、持ってみて。』

レイちゃんが持とうとするが、やはり全く動かない。何か変である。

『レイには重くて持てないけど、ちひろちゃんだと、持てるのね。不思議な物体だわ。調べてみたくなってきた。』

レイちゃんの好奇心に火がついたようだ。

 俺はパソコンの検索欄に、「如意棒」と打ち込んだ。なるほど、真偽のほどは分からないが、如意棒の重さが書かれている。その重さ、なんと150トン。人の手で持てるはずがない。だけど、なぜ俺は平気で待てるのか。きちんとした説明は出来ないが、おそらく、俺は選ばれし神だからだ。

『レイ姉ちゃん、西遊記というお話、知ってる?孫悟空が出てくる話。』

『西遊記という物語があるのは知っているけど、読んだことはないわ。それがどうしたの?』

『あのね、その中で、主人公の孫悟空が使っている武器があるの。棒なんだけど、長さが自由に変えられる不思議な棒なの。如意棒っていうんだけど、、、実は、これが、本物の如意棒なの。みんなには秘密だよ。』

『今度、西遊記を読んでみるわ。とても不思議な棒なのね。でも、ちひろちゃんが持てるというのは、納得できるよ。だって、ちひろちゃんも不思議だもん。不思議なちひろちゃんだから、不思議な棒が持てるのね。』

うーん、確かに、俺は不思議である。如意棒のごとく、大きくなったり、小さくなったり出来る。分身仏の技も持っている。よくよく考えてみると、孫悟空も同じである。しかし、そのことは内緒にしておこう。俺が孫悟空と同じだと言ったら、絶対に、『お猿さん』だと、からかわれる。これは極秘事項なり。

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