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反撃②

 白雪姫と赤ずきんちゃんが、やってきた。この言葉だけを読むと、何だか楽しそうだ。しかし、二人とも魔界の手下である。俺は事務所の床で血を流し、倒れたふりをして待機した。

カチャカチャカチャ、、、。

ドアの鍵を開けようとする音がした。

カチャ!

開いたようだ。事務所に二人が入ってきた。

『ここが現場ね。かなり激しく争ったみたいだわ。壁やドアがめちゃくちゃになっている。』

『しかし、派手すぎないか。人間二人が戦ったにしては、ひどすぎる。爆弾でも爆発したような感じだ。』

当たり前だ。俺が魔人バブーとなり、大暴れしたのだから。

『うちが雇った暗殺者は、相当な腕だったということね。浦島が見つけた暗殺者。300万円で引き受けるなんて、リーズナブルだし、今度も雇ったらどうかなあ。』

『し、静かに。隣の部屋に誰か倒れている。』

二人が俺に近づいてきた。

『セーラームーンの服を着ている。間違いない。この子はちひろだわ。可哀想に、こんなに可愛いのに、殺されて。ごめんなさいね。』

白雪姫さんよ、それは随分と勝手な言い分だ。

『やはり、魔人の伝説はデマだったということだな。こんな小さな子供が魔人とは思えない。巻き込んでしまい、悪かった。』

赤ずきんちゃんが、手を合わせて、冥福を祈ってきた。二人とも、芯から腐った人間ではないな。ならば、少しからかってやるか。俺は分身仏に命令した。

『白雪姫、ちひろの死亡は確認できた。戻るぞ。』

『そうね、こんなところにいつまでもいたら、霊に取り憑かれちゃう。さっさと出ましょう。』

二人が出口を向かおうとしたその時、部屋全体に煙が立ち込めてきた。すぐに煙は晴れたが、二人の体は凍りついた。二人を囲むように、10人のちひろが宙に浮いている。全身が血だらけの、ちひろが10人。俺が命令した10体の分身仏だ。

『た、た、助けて〜。』

白雪姫が叫んだ。赤ずきんちゃんは、懐から拳銃を取り出した。

『成仏してくれ。』

10人のちひろに弾を打ち込む。何体かのちひろの体に、命中した。しかし、ちひろはビクともしない。顔が青くなった赤ずきんちゃん、何かを閃いたようだ。体の向きを変え、俺の方に向かってきた。

『あれは、幻だ。こいつが成仏してないからだ。』

そう言って、俺に残りの銃弾を全て撃ち放った。火薬の匂いが立ち込める。10体のちひろは消えた。

『上手くいった。ふうー、脅しやがって。なるほど、さすがに魔人と呼ばれた子供だ。成仏できないとみた。地獄に行くがいい。さあ、白雪姫、帰るぞ。』

『あああああ、ダメ。こっちこないで。お願い、助けて。』

『何を言っている、白雪姫。』

『あれ、あれ。』

白雪姫が俺を指差した。赤ずきんちゃんが振り返る。そこには、血で真っ赤に染まったちひろ、つまり、俺が立っている。

『赤ずきんちゃん、白雪姫さん、こんにちは。わたしはちひろ。ようこそ、我が家へ。』

『な、何故だ。確実に弾は命中さている。』

『赤ずきんちゃん、知らないの?私のこと。私は魔人よ。不死身なの。銃弾なんて、全く意味ないのよ。』

俺は、徐々に体を大きくし、魔人バブーに変身した。壁や天井、窓や床。手足が届くところを、ことごとくバラバラにする。そして、赤ずきんちゃんを右手に、白雪姫を左手で掴み、歌舞伎町の空を舞った。行き先は、大森のサンライズ竜宮。浦島の住んでいるマンションた。10分ほど空の旅を楽しんでもらった。浦島は4階に住んでいる。目標を定め、窓をぶち破り、部屋に乗り込んだ。浦島は、食パンを手にした状態で、固まっている。俺は、見張りの分身仏たちを全て、呼び戻した。そして、赤ずきんちゃん、白雪姫、そして浦島を横に並べて正座させた。俺は、ちひろに戻り、3人の前に立った。

『裁判を開きます。』

俺は高らかに宣言をした。

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