反撃①
白雪姫は、四谷付近で一人の男を車に乗せた。
『赤ずきんちゃん、久しぶり。相変わらずのイケメンね。』
『お世辞はよしてくれ。君の方こそ、美しさに磨きがかかってる。奴隷君たちを可愛がってあげてるのが、美しさの秘訣かな。』
『よしてよ。それはあくまで、お仕事だから。』
『そうでしたね。それより、ちひろの抹殺の件は、ご苦労様でした。』
『拍子抜けって感じよ。あんなにもあっさりと殺られるとは。最強の魔人という情報はガセだったのかも。』
『だから、その真偽を確かめるために、暗殺現場に出向くのさ。今さら、暗殺は失敗でしたなどと言えないから。そんな言葉を、あの方が許してくれるはずない。万が一、ちひろが生きているのなら、我々の手でとどめを刺さなければならない。そうでないと、俺も君も命が奪われる。』
『赤ずきんちゃんは、あのお方に会われたことあるのですか。』
『いいや、ない。俺はないが、武闘派のかぐや姫は会ったことがあると言っていた。ネット担当の桃太郎も会っているらしい。とても、頭のいい人だが、冷酷でもあると言っていた。逆らえるものなどいないそうだよ。』
『怖いわ。でも、逃げても無駄よね。きっと捕まる。何としても、使命を果たさなければ。』
『その通り。カショーキ様の命令は絶対なのだ。』
分身仏は、新たな情報を伝えてきた。
暗殺者、、、宅配員
手配師、、、浦島
連絡役、、、白雪姫
管理役、、、赤ずきん
武闘派、、、かぐや姫
ネット管理、、、桃太郎
大将、、、カショーキ
『カショーキ』
阿修羅大王から聞いた名前だ。そして、かすみの夫と妹を殺した奴だ。救世主出現を阻止するのが奴のし使命。救世主の祖母となるかすみの暗殺を失敗し、今度は娘のレイちゃんをターゲットにしている。奴は相当、頭が切れるらしい。どんな手を打ってくるのか。油断は出来ない。武闘派のかぐや姫も気になる。魔界のカショーキが認める武闘派だとすれば、侮れない。
俺は歌舞伎町の事務所の屋上に出た。耳の上から如意棒を取り出し気を入れる。マッチ棒ほどの長さの如意棒がみるみるうちに長くなる。そして、身長ほどの長さになった如意棒を回してみる。俺は如意棒を操る練習を始めた。ところが、不思議なことが起こった。難しいと思われた棒術だが、ビックリするほど手に馴染み、自分の思った通りの動きを再現できた。これは俺の技術ではない。俺の意志が如意棒に伝わり、如意棒自身が生き物のごとく動いているのだ。
『敵は全て倒す。そして、レイちゃんは必ず守る。』
俺は決意を叫んだ。
『かぐや姫よ、わしの考えた計画を実行しなさい。この計画は必ず上手くいく。なぜなら、あいつらの弱点が分かっているからだ。』
『ははあ。』
カショーキの命令により、かぐや姫が動き出した。