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松山行紀  作者: 雨奈麦
7/11

古き良きものたち

もうすぐ京都に出る。東京から京都へ、なんていうとやっぱり形が整う。午前3時。丑三つ時も過ぎた頃、通り過ぎる灯りは生命の活動を感じさせないくらいのほんのり薄暗いはだ色で、行き交う車はほとんどがトラックなどの大型車である。

京都である。日本人が大好きな京都。僕も好きだ。日本は和であり、和といえば日本だと言っても自然なことだと思えてしまう。東京に和はあまり感じない。日本の首都は東京だが、日本人の心にはいつも京都があるのだろう。帰りに寄れたら素晴らしい。

子供の頃は新大阪が世界の端だった。父親の転勤先が大阪で、よく新大阪駅まで新幹線で行ったものだ。家族みんなで行ったUSJは楽しかった気がする。ジュラシックパークに二時間半も待った記憶は今でも残っている。ETに名前を呼んでもらったときはびっくりして、やっぱり呆然とした。まあ、今となっては遠い遠い過去の記憶に過ぎないのだが。

その名残か、今から大阪のその先へ向かうと思うと少しばかり戸惑いを覚える。ここまでくると四国も目と鼻の先だ。

松山なんていったこともない。なぜ松山か。別段特別なものなどない。ただ、夏目漱石に会いたかった。没後100年の今年、彼の名残を少しでも搔き集めたいと思ったのだ。小説家に憧れて、憧れだけで書いたり書かなかったりの自分。そんな現状を少しでも進められたらと思ったのかもしれない。はっきりしない言い方だと責められる気がするが、それが本当の気持ちかさえ、自分には自信が持てないほどに追い詰められてしまったようだ。とにかく一つ一つ記憶していきたいと思う。

もうすぐ神戸に入る。

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