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素敵なお弁当ですね、佐藤君。
「あれ?今日はお弁当なんだー。珍しいね。」
昼休み、佐藤君に作ってもらったお弁当を広げているとクラスメイトが話しかけてきた。
「うん、そうなんだ。珍しいでしょー!」
黄色の水玉のお弁当箱は可愛らしくて、佐藤君が持っていた事にとても驚いたりした。
「え?何これ・・・。梨嗄が作ったの?」
「ん?」
興味シンシンだった友達が勝手に蓋を開けたみたいだ。
まったく、一言くらい言ってくれても良いのになーと思いながら中身を見る。
実はまだ、中身を確認していなかったのだ。楽しみは最後に残しておくタイプである。
「・・・え。ちょっと、待って。」
確認してなかった私を恨みたい。
「これ、すごいね・・・。お弁当のレベル超えてるよ。」
友達も驚愕。もちろん私も。
なぜかって・・・?そりゃあ
「伊勢海老はない。」
何だこれ!?お弁当に伊勢海老って、どこのお嬢様だよ。っていうか、伊勢海老なんて初めてみたよ!テレビの画面越しに眺めてたけど!?生で見れたよ!お弁当で!!
暫く、クラスメイトからの視線から逃げる日々が続くのは言うまでもないだろう。