Episode4 ヒーローの説明~見るとやるじゃ違う~
『そこで由花、君が選ばれたんだ!』
「何に!?」
ビシッ!とぬいぐるみの手で私を指すレオライザー。
どうしよう、すっごく嫌な予感しかしないのは私だけか!?
『君は、こんな感じの石を拾ったよな』
「あ、それ………!」
どこから取り出したのか私が放課後、木の根元で拾った石を出してくるレオライザー。ん?よくよく思い出せば石の中に見えてた模様とレオライザーの装甲に描かれてる模様が似ているような………
『実は、クソ上司にメッ!としてすぐにバギーを追っていたんだがな………
途中で体力が尽きかけて回復するためにこの形をとっている間に私はある確認をしていたんだ』
「確認?」
『私は、地球上では悲しきかな本来の姿で戦うことはできない………
しかし、他人に私の本来の姿を貸すということが出来る。
そこで、私は探していたんだ………
喜びという感情に溢れている人間を
しかし、君の学び舎にいた人間たちはほとんど心に負の感情を抱えていた………
だが、由花だけは喜びの感情に溢れていたんだ』
喜びの感情………
そうだ、今日は特撮アフターファイブ祭やっほおおおい!とか、ちょっと運が良かったからいつも以上にテンション高かったわ私。
『由花が私に触れた時に何て暖かいんだろうと感動すら覚えたんだ………そして思ったんだ、君ならこの力を使えるだろうと』
あ、やっばい物凄く嫌な予感がするんだけど………!?
ガシッと私の指を掴んだレオライザーは私の目をしっかりと見据え高らかに宣言をした。
『君にこの力を授けよう
レオライザーとなりバギーと戦ってくれ!!!』
わーい!これで憧れのヒーローになれるぞ!
って、喜んでる場合じゃねーよ!?
無理無理無理無理!
絶対に無理!だって私、戦った事なんてない!!!
私は特撮については基本見る専なの!眺めてウヘヘヘ笑う専門なの!
それに、レオライザーになるってことは即ち色々な生徒から取り憑かれた人を見つけなきゃいけないんだよね!?
そんなことしたら………
変人と思われる=生徒会に目をつけられる=私、終了のお知らせ………!
アカン、最悪なルートしか存在しねーよ………
私は今まで、目立つことなく平穏な学生生活を送ってきたんだ。
だから、ここで今までの努力を無駄にするわけにはいかない。
そうと決まれば返事は一つ!!!
「すみません、おこと………」
『ムッ!噂をすればバギーが動き出したな………行くぞ!!!』
「聞けよ!?」
小さな身体のはずなのにどこにそんな力があるのだろうか、グイグイと私の足を引っ張るレオライザーに何度か転びかけながらも引っ張れていく私。
頼むから人にだけは見つかりませんようにと願いながら、私は夜の街を走り抜けるのだった。