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婚約破棄、しません  作者: みるくコーヒー
最終章 おわりのはじまり
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少女は真実を知っている


 秋紅音とニコラスは、ユシュニス・キッドソンがリュドリューク・アレグエッドへ婚約破棄を告げる様子を王城の外から見守っていた。


 秋紅音は面白くなさそうな表情をしている。

 少女はこの世界の真実を知っていた。


 それは神がこの世界に紛れて均衡を保つために働きかけているとか、そう言ったことではない。


 この世界自体が地球という世界にあるゲームに似せて作られている、ということだ。

 主人公はユシュニス・キッドソン。自身の能力を磨きながら内政や軍師としての仕事を行いながら恋愛をしていくゲーム。


 リマに敗北するというバッドエンドもある。


「そもそもユニの存在自体がチートだし、そんなの主人公に決まってんだろ。」


 苛立ちが先行して、つい声に出てしまっていた。

 ニコラスは何のことか分からず、秋紅音の顔を不思議そうに見つめる。


 秋紅音は、地球で生きていた。

 しかし、若くして不慮の事故に遭い死んでしまう。


 規定外の事故で、元の輪廻転生の輪に戻れなくなった魂は死神となる。秋紅音はそうして死神になった。


 地球で生きていた頃に遊んでいたゲームが、ユニが主人公であるゲームだ。

 だから全てを知っている、ゲームの展開もどんな結末があるのかも。


 ただ、それを知っていなくても"魔力越膨枯渇症"という珍しい病気で、しかもその病気を持つ者の中でも群を抜いて膨大な魔力持ち。


 どう考えても存在からして主人公であり、その辺の平凡な人たちと同等ではない、と秋紅音は内心感じていた。


 秋紅音は視線を感じてちらりと横を見ると、尚も不思議そうな視線向けるニコラスが視界に入った。


「その顔は一体なに?」

「いや、紅音は何かを知っているのではないかと。」


 ニコラスは秋紅音の呟きが引っかかったようだ。


「うん、知ってる。全部ね。」


 秋紅音の言葉に、ニコラスは「全部?」と首を捻った。


「端的に言えば、創造の神様が地球のゲームにハマって似たような人物を作り上げた。」


 国の名前や細かい部分は異なるものが多い。

 しかし、設定と同等の人物を作り上げている。


 ただ、今回の件に深く関わっているシルフレアや神々はゲームでは登場しない。

 リマも転移し、逆ハーエンドを目論む悪役というポジションであるだけだ。


 その時の勢いで作り上げてしまったのだろう。

 身勝手にも程がある。それに結局さまざまな事柄の後始末をさせられる私たちの身にもなって欲しい、と秋紅音は怒りを覚える。


 実際、この件に関して冥界の王ハデスはかなりお怒りだ。他の世界でも似たような事例が挙げられているからである。


「では儂の存在も、そのげぇむによるものなのか? 儂の行動は全てげぇむに基づいていると?」


 ニコラスは肩を落とすが、すぐに秋紅音は「いいえ」とその考えを否定した。


「結局みんな自分の意思で生きている。その生き方を強制されたわけじゃない。姿形や出自など、様々な要因は確かに神によって造られたとしても、中身は違う。あなたも、そうでしょ?」


 秋紅音の投げかけた言葉に、ニコラスはコクリと頷いた。自身は、自身の意思に従って生きているのだとわかっているからだ。


 確かに、秋紅音の記憶にあったゲームのニコラスはいわば攻略対象という存在だった。


 だけれど、秋紅音の目の前にいるニコラスはそうではない。ユシュニスと関わりはあるが保護対象という認識でそこに恋愛感情はない。


「みんなが意思を持って動いているのだから、大まかに同じだってシナリオ通りにはならない。」


 実際、結末は秋紅音の知っているものとは大きく異なっていた。


 リマを打ち負かす正規エンドでも、リマ自身が死ぬことはなかった。リュドリューク・アレグエッドもロンド地区へは送られない。

 バッドエンドだってオルドロフ・ベネダが死ぬことはないし、エドワード・キッドソンとシェ・アイシクルは恋仲ではなかった。


「さぁ、そろそろ行こう。仕事は山積みなんだから。」

「そうだな。」


 秋紅音の声かけに、ニコラスは応えてから姿を消す。


「人間が神の享楽の道具なんかになってたまるか。」


 少女は苛立ちを胸に抱きながら、姿を消した。



ついに次話でラストです!


この物語を書くにあたり世界観を結構深く考えました。国の名前など色々出てきて混乱した読者様もいたかと思います。


巻末おまけ的な感じで設定をまとめたものも作っています。宜しければ見てみて下さい!

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