6 カナ死す?
次の日の放課後。言われた通り体育館に来てみると、
「のろま。」
・・・えぇ、あれがいました。って言うか初っぱなからそれ?
「おい、取れよ。」
っといきなり何投げてんのよ。あれ、これってナイフ?鞘抜けば刃も付いてるし。どういう事?
「勝負だ。カナ、お前が本当にコンビとして認められるかのな。」
ショウブってあの勝負でしょうか?
「制限時間は10分間そのナイフを刺した方の勝ち。ちなみにもしコンビとして認められなかったら大会ではお前を無視してガンガン強力な攻撃魔法を使ってお前ごと敵を潰す!」
えーと、それ、理事長室で言ってたやつだよね?冗談じゃないの?って言うか刺すの!マジで!?
そんな私の動揺に気付かないケイはズボンのポケットから真っ黒な硬貨を取り出した。
「このコインが落ちたら開始だ。」
「え、あ、ちょ、ちょっと待ってえぇ~!」
その静止の声は届かずコインが投げられた。そして上に向かっていたコインは下がっていく、私はもう後が引けない事を知り気を引き閉める。
そしてコインは落ちた。
と同時に腹に激痛を襲う。
「あ、え?」
頭で理解出来なかった。しかし体が理解出来ていた。アッと言う間に間合いを詰めたケイが私は腹にナイフを突き刺していた。制服が真っ赤に濡れる。
あれ?これまさか死ぬよね。凄く傷口が熱くなる。痛いって熱さに感じると言う話は本当なの!?ケイはナイフから手を離す。腹からナイフが生えた形になった。それと同時に私の体の力が抜ける。
それを見たケイは去っていく。え、放置ですか!そう思いながら私の意識は飛んだ。最後にあ、これ死んだなと頭に浮かべながら。
☆☆☆
10分後
「うぅ~。」
私は目が覚めた。・・・って覚めたあぁ~!?死んだんじゃないの?
「起きたか?」
私を殺したはずの張本人ここにいるし!どういう事?
「説明してほしいか?」
「当たり前よ!説明も何も無しに、ナイフで刺されて死んだと思ったら生きてるし、警察行きのはずの加害者本人が被害者の前にいる。説明無しでわかる人物いないわよ!」
「8文字に修めると、攻撃魔法をあげた。」
「8文字じゃなくて詳しく教えなさぁ~い~!」
☆☆☆
時間はさかのぼり、昨日ケイが家に帰った所に戻る。
「どうやったらカナを強く出来るかな?」
カナには最大の弱点として攻撃魔法がない。これでは俺のサポートもできない。
魔力ある者なら誰でも使える基本魔法での攻撃魔法を教えても、そんなの弱すぎて相殺どころか押し負けてしまう。やはり思想の牙の攻撃魔法を覚えて貰うしかない。
そう俺は考えるとパソコンを立ち上げ魔法協会のホームページに入る。ここには各魔法の牙の位までの情報が手に入るのでカナの攻撃魔法を探すには、ぴったりだ。
「思想の牙っと」
検索をして見るがデータが見つかるのには時間がかかりそうだ。その間にクポーズマジックを考える事にした。
とりあえず思い付くのはテレパシーの利用方法。例えばテレパシーで詠唱した魔法は詠唱した内に入るのか?もし詠唱した内に入れば見た目、無唱詠唱だ。要実験っと頭にメモる。
そんな事を考えてる時間で検索が終わり画面に目を戻す。そこには、
「な、い?」
画面には思想の牙と言う魔法の位は見つからなかった。と書いてあった。しかし、まあ予想していなかった訳ではない。あのジジイの差し金だ。問題がなければそれはそれで疑ってしまう。
だとするとやはり今ある情報で攻撃魔法を覚えて貰うしかない。そしてカナと別れる前に考えたあの攻撃魔法を覚えて貰おうっと心に決めそのための準備作業に移った。
☆☆☆
「で?その攻撃魔法は何なの?」
当然の疑問を聞く。しかしその返事は余りにも意外なものだった
「カムンイメージ。」
再び説明、カムンイメージ想像した場面の五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)見せる事ができる。
むろん体が傷付く訳ではない。
「はあぁああぁ!?それ、ダメージ与えられないよ。」
「それは、この魔法の一片しか見ていないからそう思うんだ。大きく見ろ!確かに体には攻撃を与えられないだろう。しかし、強烈なイメージを見せれば、精神的ダメージは与えられる。」
つまり、ケイは強烈な場面を想像して五感を見せて心をへし折って戦闘不能にすると言っているのだ。
「でもさあ、そう簡単にそんな強烈な場面想像できるわけな・・・」
ようやく気付いた。ケイの考え、あの勝負の意味。
「気付いたか?わざわざ想像しなくてもいいんだ。強烈な場面を思い出せばいい。例えば俺に刺される場面をな。」
つまりその場面を思い出せるようにするために、あんな結果が分かっている勝負をしたんだ。
「あれ、でも私血まみれで倒れたよね?どうして生きてるの?」
そうお腹を刺されたはずなのに、シャツが赤くなってるだけで、お腹にナイフが刺さった後はない。
「今頃それかよ!」
呆れられた!確かに当たり前の質問聞くの遅れたけどさあ。そこまで呆れる事無いじゃん!ケイはジト目でこっちを見ながら私を刺したはずのナイフを出した。それは私を全く刺してないと言わんばかりに銀色に輝いた。
「今回の場面の為に作ったら仕掛けナイフだけど、分かりにくいけど刃が潰れてる。」
よ~く見てみると本当に刃が潰れてる。まあそれでもペーパーナイフにはなりそうだけど。
「さらに刃を押すと」
そう言って刃の峰を持って刃を持ち手に向けて押すすると刃は持ち手に収納されるように消え、変わりに出てきたのは小さな針。その針は全体が赤みがかった茶色い色をしていた。
「このように針が出て血糊も出るっと言う寸法だ。この針に熱さは感じさせる薬を塗って刺されたと勘違いさせ、血糊で出血死するとさらに勘違いさせる仕掛けたっぷりのナイフ。」
「色々整理出来たけど昨日のあれなんなの?」
「あれって?」
「昨日の帰り際拳に手をのせたあれよ。」
「ああ、あれ。心理テストだけど。」
「MかSかの心理テスト手をのせたらM乗せなかったらSさすがM刺したとき笑って・・・」
「ない!Mじゃない!」
よく分かったじゃあ最後の質問をしなければ。
「じゃあソロの攻撃で私ごと潰すのはウソ何だよね?」
「ウソだ。むろん修業に死ぬほどキツいがな。」
かくして、2日目の放課後は終わった。