リリーのパンツは白かった
「リリーってここに誰かと住んでるの?」
次の日の朝、私はリリーに尋ねる。
「あ?昨日も言っただろ。
私はここに1人で住んでるって。」
「そっかぁ。」
2人分のそれぞれ専用に思われる食器や布団があったから誰か違う人がいるのかと思った。
まぁいないならいいや。
「で…これからどうすんだ?
別にうちにいつまでいてもらっても構わないけど、帰りたいんだろ?」
私はリリーに用意してもらった朝ごはんのコーンフレークを頬張りながら頷く。
「があぼらはうほあとああいな?」
「きたねえな。飲み込んでから喋れよ。」
私の周りの女の子は言葉が汚いやつ多いなぁ。
コーンフレークで私は口のまわりが汚い。
「トンネル以外で帰る方法とかないの?」
「さあ、少なくとも私が知る限りではないね。」
「そっかぁ、じゃぁ当分リリーにお世話になってしまうかもね。
少なくともじっとしてれば私は人間ってばれないわけだし少しは安心だよね。」
「まぁ、私も何かいい方法ないか探ってみるよ。」
「……リリーって口悪いけどいいヤツだね。」
「あ?」
「すいません!
昨日も言ったけど色々ありがとう。」
「いいよ、会って1日だけどあんたのこと嫌いじゃないし。」
リリーは少し照れ臭そうに言った。
「素直じゃないなぁ。
好きなら好きって言ってくれればいいのに。」
私は投げキッスをしながら言う。
投げキッスのお返しにエルボーが返ってきた。
等価交換?!
「ふんっ!」
「…えへへへ。」
素直なやつよりわかりやすい子だなぁ。
「そういえばリリーは学校とかに行くの?」
「そんなもんここにはねぇよ。」
おばけにゃ学校も試験も何にもないってやつか?
「じゃぁいつもぼーっとしてるの?」
「それはない。食い物探さなきゃ。
あとは魔法の研究だな。」
学校も試験もないけど勉強はあるんだ…。
「私も手伝っていい?」
「んー…まぁじゃまにならない程度にな。
あと一応念のため1時間に1回はトンネルのほう見てこい。
万が一に見張りがいないかもだから。怪しまれないようにね。」
「りょーかい!」
私は残りのコーンフレークを口に運びながらにかっと笑う。
リリーは相変わらず無愛想な表情をしている。
笑ったらかわいいだろうなぁ。
私たちはトンネルに向かったけどやっぱり見張りがいてすぐ立ち去った。
昨日の夜に比べると他の魔女ともすれ違った。
私は目立たないようにリリーに真っ黒な服を借りて着ている。
リリーの匂いはいい匂いだな。
りんご狩りしたりイノシシ追いかけたりですぐ私の汗の匂いになったけど。
「なにこの人間に過酷な世界は…」
魔法が使えれば食料調達も簡単らしくリリーは息ひとつ乱していない。
「だらしないやつだな…今日はこれくらいにして家戻ろう。」
箒を渡してきたので私はまたがった。
「今日はゆっくりね!ゆーっくり!」
「はいはい。」
呆れた返事をしたリリーが飛び始めると、それを追うように私も空にういた。
「うぉー、飛んでる。飛んでるよ、リリー!」
昨日は恐怖がでかかったため感動する暇もなかった。
「大げさなやつだなぁ。」
リリーは呆れながら少し笑ってくれた。
「大げさじゃないよ。ほんとにすごいねリリーは。」
「ま…まぁ、当然だろ!」
「すごいついでにさ、リリー、もう少し、もう少し高度下げてー。」
「あん?いきなりなんだよ?」
疑問に思いながらもリリーは高度を下げてくれた。
「リリーのパンツ見えた!
パンツは白いんだね!」
リリーの右ストレートが頭上から飛んで来た。
気がついたらリリーの部屋にいた。
初めて会ったとき裸だったくせに…
そんなこんなで私はリリーと二週間ほど過ごした。




