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最初の、夜

「ノバクおにいちゃんのテントは、おっきいのー!」

「おっきいのー!」


「プラムおにいちゃんのテントはちっちゃいの…」

「ちっちゃいの…」

「フランおねえちゃん、もーいっかいおしえてー?」

「おしえてー?」


訪れたのはノームとノール。さっきの紐遊びが、失敗が続くうちに手順が分からなくなってしまったみたいだ。一つ一つ指差して手解きするフランも、教わる二人もその眼差しは真剣そのもの。その様子を微笑ましく眺めていると、ノンノ姉さんに袖を引っ張られた。


「フランちゃんのこと、よく見ててあげてね」


「えっ?うん」


何を今更。


「あの子、ああ見えてきっと心の中は不安で一杯よ」


「そうなの?」


ノンノ姉さんが無言で頷く。双子と紐遊びに夢中になっている彼女には不安の影も欠片も見えない。


「誰にも言えないこと、言いたくないことを抱えているのって、それだけでとっても辛いことなのよ」


いけないことをして、皆に怒られるのが怖くて、それを誤魔化してしまった時の気持ちみたいなものだろうか?

それよりも、ノンノ姉さんの言う「誰にも言えないことを抱えている」というのが、ひどく僕の胸を刺した。思えばフラン自身も「話したのは全てではない」と言っている。これだけ明るく振る舞う彼女が僕らには言えない不安を抱え、これだけ親しげに振る舞う彼女が実のところ心に強固な壁を築いている。こんな歯痒いことはなかった。彼女の不安は彼女の壁の内にあるんだ。長の前でこそああは言ったけど、出来ることなら聞かせて欲しいし、頼って欲しい。


「だから、ちゃんと見ててあげて、フランちゃんが話す気になった時にはしっかりと聞いてあげてね?」


プラムなら出来るよね?との言葉に、力強く頷く。傍らでは蝶々の完成を3人で手を取り合って喜んでいた。


「ところで、フランちゃんの寝床はどうするの?」


「さっきノルラ姉さんに予備の毛布を貰ってきた」


「えーっと、それって……」


そう言えばノルラ姉さんもやたらと心配そうにしてたっけ。確かに僕のテントはそんなに大きくないけど、二人分の寝床を構えるゆとりはある。


「何の話?」


と、フランも加わった。


「う~ん、フランちゃんが今夜は何処で寝るのかな?って話。一先ずプラムのところに用意してあるけど、良かったらこっちで一緒にどうかしら?」


「フランおねえちゃん、ノンノおねえちゃんとおねんねするのー?」

「するのー?」


双子が揃って眼を輝かせる。


「プラムのテントはちょっと狭いかもしれないわよ?」


「プラムおにいちゃんのテント、ちっちゃいのー」

「ちっちゃいのー」


ちっちゃい双子にちっちゃいって言われてしまった。確かに、集落で一番小さいのは間違いないんだけど。


「ノンノおねえちゃんのテントはおっきいのー!」

「おっきいのー!」


対してノンノ姉さんのテントは病気や怪我の看病の時にも使うから、けっこう大きめだ。


「ノンノおねえちゃんとー、フランおねえちゃんとー、ノールとノームと、みんなでおねんね!」

「おねんね!」


双子の狙いはそれか。確かにノンノ姉さんのテントならフランだけでなく双子も一緒に泊まっても問題ない広さがある。


「ん~……プラム君のところにしておくよ。旦那様にも悪いしね」


「遠慮することないのよ?本当に大丈夫?」


「大丈夫でしょ?プラム君は私のこと襲ったりしないよね?」


「僕はシロクマか何かなの?」


フランとノンノ姉さんが顔を見合わせ、吹き出す。


「ね、問題ないでしょ?私も捕って食べたりしないし」


「たべちゃうのー!?」

「たべちゃうのー!?」


「そうよ~。聞き分けの悪い子は――こうだぁ~!」


と、ノールの頭を鷲掴みにして掻き撫でる。

その後、「みんなでおねんねしたい!」と珍しく自己主張したノームに、「今日は―ダメぇぇっ!」と、フランがその頭を掻き撫でる。今度ノバクさんがいない時にしようねー、と。それで納得した双子を伴ってお暇する。フランの荷物を持とうとしたけど拒否された。



テントに入るなり質問が飛んできた。


「一人で暮らしてるの?」


「?みんなで暮らしてるよ?」


「あ、ごめん、聞き方が悪かったね。このテントには一人で住んでいるのかな?って」


「うん」


「ふ~ん……」


フランは何か言おうとして、でも止めた。

並んで毛布にくるまり、天井を見上げる。同じように天井を見上げるフランに声をかける。


「今日は大変だったね」


「…うん」


・・・・・


「ノールとノームにも、すっかり懐かれちゃったね」


「そうだね」


・・・・・


「やっぱり……シロクマに襲われた時、どうやって助けてくれたのか、話してくれないのかな?」


「あれは、ダメ」


「……」


「あれは……時代錯誤技術オーヴァーテクノロジィだから」


「おー…?」


「あれは、人をダメにする」


それじゃあ、フランはダメな人間なのか?初めて聞く理解できない言葉よりも、そんな疑問に捕らわれてしまって、僕はそれ以上何も言えなかった。沈黙と共に短い夜が訪れた。

たまたまの方もまたまたの方もお読み頂きありがとうございます。携帯書き辛いィィィィッッ!!と、やや荒ぶるパメラです。お早うございます。


双子幼女に支えられて、何とか筆を進めています←

一度の遅れが致命傷(投げ出しちゃう的な意味で)になりかねないので、幼女の頭ワシワシして気合い入れ直して頑張ります!


「「きゃー!」」



閑話休題。


勢いだけで書いてくとやっぱり色んな矛盾とか出てきて困りますね。実は既にキャラの元々のイメージとズレてしまっている演出があって、そのせいで終盤のエピソードが弱まってしまう箇所があるのにさっき気付きました←関係箇所が複数に渡るので、修正は断念。


しかし、(上記とは別口で)投稿前に気付いたミスは流石に修正してます。綾取りしたり、手を叩いて褒めるフラン…


そんな適当さ加減ですが、今後もどうぞ一つよろしくお願いしますm(__)m

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