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賑やかな食事

無事、部落に迎え入れられたフランを待っていたのは、双子の洗礼だった

こうして、集落に迎え入れられたフランを改めてみんなに紹介する。

「どこから来たの?」

「なんで赤いの?」

「いつまでいるの?」

「何しに来たの?」

と、質問は霰のように飛び交う。フランはその一つ一つに、

「ずぅっと北の方よ」とか、

「お父さんもお母さんも赤かったから…かな?」とか、

「怪我が良くなるまで」とか、

「それはナイショ」とか。

答えたり、はぐらかしたり。ノマド兄さんの睨みつけるような視線が気になったけど、その他は概ね友好的な関係が築けたと思う。みんなは見慣れない風変わりな少女に興味津々だったし、フランはフランでそれに愛想よく応えていた。


さて、客人として迎え入れたからには、フランをもてなさなきゃいけない。それも、部族の客人としてではなく、僕個人の客人として迎えているのだから、もてなすのはこの僕だ。

もてなすって、何だろう?

すっかりみんなと打ち解けたフランをその場に残して、ノンノ姉さんのテントに向かう。

ノンノ姉さんに訊くと、


「その人が暮らすのに不自由のないようにすること。ご飯を用意したり、寝床を整えたり」


と、教えてくれた。ご飯はもうすぐできるだろうけれど、フランの分がちゃんとあるか心配だ。ノロン母さんに聞いておいた方が良さそうだ。ダメだったら僕の分を食べてもらおう。

その先にノルラ姉さんに説明して予備の毛布を出してもらって、テントに運んだ。ノルラ姉さんの心配そうな眼差しが背中に刺さる。


晩ごはんはクマ鍋だった。ちゃんとフランの分もあるとノロン母さんから聞いて胸を撫で下ろす。よくよく考えたらシロクマを仕留めた功績の半分はフランにあるのだから、彼女がクマ鍋にありつけないわけがなかった。


「…でも、そうなると…」


思案する僕にノロン母さんが銅鑼を手渡して、食事の合図をするように言った。気の早いのが既に2、3人ほど、クマ鍋に舌鼓を打っていた。僕が銅鑼を鳴らすとあちこちのテントから続々と人が這い出てきた。鍋の前に人だかりができる前にノロン母さんは僕とノロン、二人分の食事をよそい、


「落ち着いて食事したかったら隅の方の席にしときなさい」


と、付け加えた。

席に向かう途中でフランがこちらに駆け寄ってきた。


「もう!急に居なくなるからビックリしたじゃない」


「ごめん。食事を貰って来たんだ。一緒に食べよう?」


うん、と頷いてフランは、追い掛けてきた双子のノールとノームに一緒にご飯にしよう、と誘いをかけた。


テーブルの向かいに並んで座った部族最年少の双子はご機嫌だった。


「フランもシロクマとたたかったのー?」

「たたかったのー?」


「えぇっと……うん、まぁ…」


「すごぉーい!」

「すごぉーい!」


「何にもできないうちに殴り飛ばされちゃったけどね」


「えー?それじゃぁ、どうやってたおしたのー?」

「たおしたのー?」


「それは…プラム君がこう弓でズババっ!と射って」


フランが大袈裟に身振り手振りで説明する。


「ぐるるるぅっ!って迫り来るシロクマにも怯まずナイフでこう、ズバっ!と…」


「「うっそだあ~!」」


力説も空しくあっさりと否定されてしまい、フランが苦笑する。

食事が終わるとフランに一言告げて長のテントに向かう。


「早く帰って来てね?」


そう言って不安そうな表情を浮かべたフランを挟んで。双子が、


「あそぼー!」

「あそぼー!」


と、延々と木霊させていた。


フランに言われたからじゃないけど、長には手短に用件だけ告げた。次の狩りには参加します、と。長は無言で頷いた。

僕が迎えるのだから、フランに必要な物は僕が揃えなければならない、と教えてくれたノンノ姉さんの言葉を思い出す。部族の客人として、だったならその責は分散されていたのだ、とも言っていた。その違いが、僕の客人として迎えるということの意味。

それはなんだかとても誇らしいことに思えた。言ってみれば二人分の責を担うようなものだけど、それだけに半人前と言われ続けてきた自分のことが急に大きくなったように感じられた。

それより何より単純に。フランのために出来ることがあるというのが、嬉しかった。

誰も気付かないだろうけど。いや、気付かれない方がいい。そんな形で、少しでも恩を返すことが出来ればよかったんだ。

《Little Girl》


たまたまの方もまたまたの方もお読み頂きありがとうございます。パメラです。今晩は。


1、2話目が2000文字をそこそこ越えていたので、仮に2500文字/1dayのペースなら40日で10万文字達成じゃん?ヨユー!

とか、見事に寅と狸の皮算用でしたorz


さてさて、私の本性を知る人に言わせたら、「出ないハズがない」「ようやく出たか」って感じで、幼女登場です。幼女!幼女!←


はい、ちょっと弁明させて下さい。

この厳しい大自然を舞台に繰り広げられる物語、必然的に殺伐とした話になるじゃない?どっかで和み要素が必要じゃない?でないと息苦しくてとてもじゃないけどやってられないじゃない?


主に、私が←←


でも、まぁ。

私が書いてて面白いと思えないものが、皆さんに読んで頂いて果たして面白いと思って頂けるのか?(反語)

と、柄にもないことを言い出すのは、やっぱり無理矢理なこじつけで。こうやって後書きではっちゃけるのもやっぱ、そういう物足りなさみたいなものの反動なのかな?


とは言え、「シロボク」はあくまでそういう話なので、ストイックにいきます。



双子を出すのか、出すにしても幼女で出すのか(フランの1、2コ下という案もあった)を最後まで悩んだのは本当に本当に本当に本当のことなんだ。と、書き添えておきます。

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