君の瞳 Ⅱ
「...はあ...疲れた。」
「あの...。」
「うわ!!...何!?」
「...あ、ご、ごめんなさい。驚かせるつもりじゃなかったの。」
僕はベンチで座っていた。木のおかげで熱い太陽を遮ってくれる木陰。
涼しかったが寝不足のせいでひどく眠くて仕事のせいでひどく疲れた。
そんな僕の顔を覗き込む可愛い少女。
僕の顔を覗き込む少女に僕は驚きと動揺が隠せない。
そんな僕の困った顔を見て少女も慌てた顔をしていた。
「...........あ...えっと。で、何か用?」
「あ...疲れていたのでこれ。どうぞ。」
「え?...僕に?」
「うん!」
「...?!」
少女は僕に、一つに小さなパンをくれた。
パンを渡してくれた少女はとても優しく微笑んだ。
そんな少女の表情に僕は思いっきり顔を熱くしてしまった。
僕はパンを受け取る。
少女はまた可愛く微笑んだ。そして少女はさってしまった。
「何あの子。なんであんなに可愛いんだろう。」
あんな太陽みたいな笑顔をされると僕の心は救われるかもしれない。
だけど僕は闇だ。闇しかない真っ黒。
僕が闇ならあの子は光だ。僕の事を照らしてくれる光。
「今日もまた、仕事。今のうちに寝とこう。」
僕はパンをいっきに食べて座っていたベンチに寝転んで寝る。
木陰のおかげで涼しい風が吹いてくる。
その風が心地いいのか僕はすぐに眠りについた。
「......はあ...もう夜ですか。」
起き上がる。町は静まり返っていた。誰もいない。闇の世界。
今日もまた仕事。仕事。仕事。
「キャアアアアアアアアッ!!!」
「ん?...誰?まあ行ってみるか。」
闇の中で悲鳴が響き渡る。
僕は悲鳴の聞こえた方に向かう。
「...!?...。」
「あ......ッ!」
「君...。」
昼間にパンをくれた少女がそこにいた。
目の前に僕の目の前にいたんだ。
真っ赤な液体、物体が張り付いた壁の近くにその少女がいた。
真っ赤な液体が頭かぶってしまったのか服も髪も顔も真っ赤だ。
だけどそんな少女の腕は人間じゃない腕をしていた。
自分の体より大きくてごつくてまるで化物の腕だ。
「君がやったの?」
「あ...わ、私...ち、違うの。」
少女はかなり動揺しているらしい。
だけどその動揺の仕方は人を殺したのは初めてではないのだろう。
他人には見られたのは初めてなんだろうね。
「大丈夫だよ。僕も君と一緒。人を殺すんだよ。」
「...あ...なたは?...。」
「大丈夫大丈夫。僕は君が望むなら君と一緒にいるよ。僕君を好きになちゃった。」
「...!?」
僕は彼女を自分の胸に抱き寄せた。
彼女は驚いた様子だったか、化物の腕はすぐに元に戻って僕の背中に手を回す。
どうやた彼女も僕を信じたようだった。
「君の名前は?」
「ルシーミィ。」
「んじゃ、ルシーって呼ぶね。僕はロディって言うんだ。」
「ロディ。ねえ、私を本当にずっと一緒に居てくれるの?私そういう事言われたの初めてで。」
「うん。僕はルシーのためなら一緒にいるよ。ずっと。」
「ありがとう。」
今度はルシーから僕に抱きついてきた。
とても安心した様子だった。
僕は再び無残にルシーに殺された誰かもわからない人間の死体を見る。
まあ、死体なんて言う物は微塵もないが。
ルシーも無我夢中だったんだろう、あんな無残に壁にあんなことをするとは。
確かこの匂い。僕の殺そうとしてた人物の匂いがする。
まあ、僕も仕事が省けたしいいか。よし。今日は仕事終わり。
「ルシー僕さ、寝るところないんだけど、ルシーの家に住んでいい?」
「うん!ロディが一緒ならもうなんでもいいよ」
ルシーは笑う。まるで何もなかったかのように笑う。
そんな彼女の笑った笑顔で僕は何よりも好きだ。
そして彼女の真っ赤に光る赤い瞳も好き。