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炎歌  作者: ミ頁-
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1.罪と罰

時は2006年5月一日。

僕は今高校一年生。まだ周りの人の顔や名前もよく覚えれてはいない、入学して間もない、『ある事』を除いては普通の高校生。


その『ある事』の話はまた後にしよう。



     ‡



入学式終了後、おそらく誰もが緊張して見るクラス分け発表の掲示板を、僕は何の感情も無く只無意識に眺めていた。

僕は情報企画科という推薦のみで受かる事のできるクラスであり、三年間変わることのないクラスだ。そんなに変化のない人達の名前を見た所で、同様などはしない。

そして何より、友達がこの高校事態にではなく僕事態に一人もいないので誰が何処で何であろうが知ったことじゃない。

周りに歓声や悲鳴が飛び交う中、僕は一人自分に決められたクラスへと足を運んだ。


少し説明をしておくと、この山代高校の偏差値事態は差ほど高くはない。がしかし、今年はやたらと人気が急上昇し、人が溢れかえっている。

人とはそんなものだ。人気があると耳にすればそこへと集まってくる。この高校に人気の出るものなど無い。

僕はもちろん人気に誘われたのではない。ただ偏差値が偶然にもここと一致しただけ、それだけの話。馬鹿と貶される事もなく、天才と呼ばれる事もないごく普通な所。そんな所で普通の高校生活をおくろうとしている反面、秘かに出会いを求めていたりする。友達がいないとはつまり今から新しい友達をいくらでもつくれるという事、つまり僕はいわゆる高校デビューを計ろうと試みた訳だ。


説明している間に自分のクラスに到着した。

僕は結構早く来た方だと思う、廊下から見た教室は窓一つ開いておらず、後ろのドアに拳程の隙間が開いている。その中からは物音一つしない。外見は綺麗なドアだがゆっくりスライドさせると金具が擦れ合う鈍い音がした。カーテンの隙間から目映い陽が虚しく差し込み、薄暗い教室を照らし明かしていた。

最初に目に飛び込んできたのは、ぎっしりと敷き詰められた41人分の机と椅子。

どことなく新しい木材の匂いが風に乗って届いてきた。

次に見たのは、陽に照らされ逆光でシルエットのようになっていた、人影だった。その影の輪郭からして女性である事は間違いないだろう。

彼女は両手に赤い物体を大事そうに持ち、ソレを眺めていた。






この時既に、僕は罪を犯していた―。




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