第十二話「気分は――探偵」
……ふむ。
言いたい放題だな、コイツ。
手紙(日記?)書くの下手だし、出来る事なら直接話し合いたかった。
しかし――この流れだと、鬼頭内は俺に手掛かりを遺してくれたらしい。
まるでこうなる事がわかっていたような――見透かしたような文面には素直に驚いたが、そうか、考えてみれば、確かに『異常』だよ――神坂木みみは。
この俺が一目惚れしてしまった時点で気づいてはいたさ。『何か』に逆らえなかったから、予め用意されていたシナリオの通りに動いていた――そんな感じだ。
鬼頭内のヒントを見た瞬間、その『何か』は消えた。
……さて。
これで『異常』で『おかしい』のは、神坂木みみ一人となったわけだが――彼女は鬼頭内爆発事件にも関係があるように思う。
そもそも鬼頭内が爆発したのは、『リア充』だからだ。
昨日の登校中。
俺は鬼頭内に、その言葉を言い放った。
『リア充爆発しろ!』
と。
これだけなら、普段と変わらない日常だと笑ってられるけど、その日に転校してきた神坂木の登場で、変わらない日常が変わってしまったとしたら?
彼女は『何か』を知っている――鬼頭内の勘を無視したとしても、俺はそう思う。
鬼頭内なら、たぶん、大丈夫だ。
俺は昨日、リア充爆発発言を取り消す、と言って……はいないが思った。
思っただけでも現実になってしまう、その根拠は、先ほどの『曲がり角』でのラブコメスタートイベントが証明している。
昨日言った事が今日起きて、さっき思った事がさっき起きた――どういう関係で発動するのか、この時間差は何が原因で起こるのか、など、まだまだわからない事は多い。
それらを含め、神坂木みみに問い質してみるのが賢明だろう。
ちなみに彼女の場合、ツンデレになったのは、俺は関係ないように思う。
俺はそんな事、言ってもいないし、思ってもいない。
つまり、彼女自身が望んでそうなったのだろう――その辺も含めると、ますます神坂木が怪しくなってくる。
悪いが鬼頭内にはこのままバラバラで死んでいてもらおう。
アイツが居ると、また何かの間違いで死にかねん。
どうやら俺という存在は、『軽い気持ち』で話をしたとしても、『重い言葉』になってしまうようだし。
――いやはや、俺って奴は、いつの間にか非日常的な世界に来てしまっていたようだな。