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第零話「プロローグ――という名の俺」
世界は俺を中心に廻っている――何故なら、俺という名の一個人からしか世界の進行を正確に把握出来ていないからだ。
例えば俺はこう考える。
俺以外の人間は皆揃って俺とは明らかに違う人間――そう思えた理由が、視点だった。
俺以外の視点など俺は知らない――故に視点のある俺こそがこの世界に置ける主役であり、その他大勢はただの脇役でいてもいなくてもたいして世界にも影響しないちっぽけな存在なのだ。
――などと、馬鹿げた発想を抱くこの俺も、今日から晴れて中二の仲間入りを果たす事になる。つまり、中二病というやつだ。
さして面白いともつまらないとも思わないありふれた日常の中で、天才的最強的冷静的なこの俺の戯言は、素晴らしきかな――実にありえねえ非日常を引き起こす予言になっていたのかもしれない。
さすが俺、とはさすがに言えないが、さすが俺だ。今世紀の主人公の中で第一位の成績を抑えるだけはある――が、勿論それは未来の話。
まあ、能書きはこのくらいにして、さっさと話を進めるとしようか――この俺の、初恋物語を――。