詩 技術の授業
技術の時間、皆、木材を使って作品を作ることになった。
俺と彼女は机が離れていたが、皆、作業を始めると、バラバラになり始めたので、彼女がやって来た。
「何を作る?」
「何を作ろうかな? 椅子とか」
「椅子じゃ大き過ぎるわよ、もう」
彼女が肘で俺の肩を小突いてきたので、冗談はやめて、真剣な表情となる。
「そうだな。マンガが好きだから、マンガを入れる棚でも作ろうかな」
「あ! それ、いいかも!! 私も本が好きだから」
彼女が手を合わせ、黄色い声を出す。
まるでアイドルになったみたいだなと、馬鹿な考えをしたが、急いで消し、彼女に隣に座るように指示する。
「座ってもいいの?」
「いいだろう。どうせ奴は…あ、大丈夫だ、ばれないから座れってば」
「うん」
しずしずと座る姿は、豪華なドレスを着たお姫様みたいで、嬉しくなってくる。
女らしい女なんだよなと、改めて思い直し、甘い声を出す。
「俺が手伝ってやろうか?」
「駄目だよ。自分で作らないと、意味ないでしょう」
彼女ははっきり断ってきたが、急に大人しくなる。
「あの、その、実は作品を作るのって、苦手なのよね。イラストを描くとか、そういうのなら、いいんだけど…」
「ほら、やっぱり苦手なんじゃん。素直になれよ」
俺は彼女の額に、軽くデコピンすると、彼女はその部分を押さえ、恥ずかしそうにする。
俺は紙とシャーペンを渡すと、彼女に差し出す。
「どんなものを作りたいのか、描いてみて」
「なるほど。それなら…」
彼女がシャーペンを持ち、紙と向き合う。
早い奴はもうカンナや電動ノコギリを使い始めており、得意げにしている。
速い遅いは関係ないと、彼女の設計図が出来上がるのを待つ。
「…よし、てきた!! こんな感じかな?」
「なるほど。これなら手伝ってやれそうだ」
自信満々に言うと、彼女が嬉しそうに笑う。
軽く見えた歯が美しく、俺はがらにもなくときめく。
「あなたはどんなのを作るの?」
「俺か? 俺な…」
シャーペンを受け取ると、ノートに大胆に描いていく。彼女の小さな字とは違い、男らしい字だった。
「こんな感じかな」
「へえ…。これを作るのね」
「おう。先生に見せに行こうぜ」
そう言うと、俺は彼女の手を取る。ずっと離したくない、柔らかな感触。
俺が手助けしてやるから、大丈夫だぞ。




