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consider YOU × JYO

作者: 葱使 芽々
掲載日:2025/11/25

そもそも

「友情」とは何なのだろうか


まず単品の情 ーー じょう、なさけ があり

そこに感がつくと一人称でも発生する「感情」となる


さらに他者との関係によって友、恋、慕、愛などを前につけ

社会的にそれらしいニュアンスにするものである


他にも、大昔にパッケージされた「人情」

パフォーマンスとしての「同情」

心情、非情、無情などもあるが

それらも含めて


各種の「◯情」とは総じて他者や物事に対しての、

単なる個人的な感情や感想にすぎないのではないかと

私は考える


そしてその個人的な感情・感想は

双方で異なることも大いにあるし、

相手の受け取り方次第でいくらでも解釈を変える


しかし私たちは不思議なことに

「深い愛情」や、「爽やかな友情」などという文言を

素晴らしいものと感じるように刷り込まれてきた


単なる個人の、ある意味 ”一方的な” 感情なのに‥?


と、いうわけで突然ですが


この社会通念について”個人的に”ずっと抱えてきた違和感を

ある二人の、時間経過による関係の変遷を例に

ともに、ゆるく考察できれば幸いです

優「やっぱり、譲の歌はいいね。すごく好き。」

譲「そう?褒められるのは慣れてないけど‥嬉しい。ありがとう。」


今から約18年前

SNSの走りとされるサイト内

とある漫画家の掲示板がきっかけで知り合った二人


譲はアマチュアのシンガーソングライターで

SNSのプロフィールに自作の楽曲を載せていた


優は後にセルフポートレートの作家になるが

その前身となる自撮り写真を掲示板に載せていた


二人ともアラサーで歳は2個違い(優が上)

フリーターをしながら

生きること=表現すること、という思想の共通と

好きな漫画家がなかなかマニアックであったために意気投合


優は実家暮らし

譲は彼の地元で友達とルームシェアをしていた


奇遇にも同じ県内で3つ隣の町在住だった二人は

幾度か会って話をしたり、歌ったりした後

恋人として交際することになる


譲はやや厭世的で、ルームシェアの前から鬱の傾向があったが

優の持ち前の謎ポジティブと根拠のない自信パワーによって

数々の「はじめて」デートに付き合わされる


・初対面で一緒に路上ライブ

・歩道橋で再告白(優から)

・神社で心音をきく会

・被写体として写真展に参加する

・終電後の都会を自転車二人乗り etc.


言葉数は少なく、自分の感情がわからないと言っていた譲も

若干振り回されながら優に合わせて外出した


優はそんな譲を見ながら

楽しいことをたくさんすれば、きっと感情が湧いてきて

生きる力も出てくるはずだと考えていた


そんなある日、譲が優をパチンコ屋へ誘う


行き慣れている上にヘビースモーカーである譲にとっては

パチンコ屋はある意味庭であった

優はトイレを借りる以外に立ち入ったことがなかったため

その騒音とタバコの煙に圧倒される


が、恐ろしいことに譲からやり方を教えてもらいながら

たどたどしく打つ優のスロット台がいきなり連チャンしてしまう


ビギナーズラックというやつである


その光と音のダブルコンボにやられてしまい

それから優はスロットにハマってしまう


譲は優に対して音楽や写真では開くことのできなかった

共通の依存先を求めた

なのでこの結果は譲の思惑通りだ


優は譲に今までのように公園や神社や散歩のデートではなく

パチンコ屋へ行こうと誘うようになった

譲は少し引きながらもそれに従う


そんな日々が続いた


二人の交際開始から4年が経ったころ

写真の関係者で優にとって気になる人が現れる

同じ頃、譲はSNSで知り合った女友達ができる


軽くギャンブル中毒になった優にはほぼ友達がおらず、

鬱タイムが長くなった譲への関わり方も悩んでいた

そんな中、気になる人は話を聞き、優にかまってくれたので

いつしか心の拠り所になった


一方、譲も優をギャンブルに誘ってしまったことを後悔しつつ

うまく言葉にしてコミュニケーションがとれず

心が離れていってしまう不安を女友達に相談していた


優には結婚願望がないことを知っていたが

譲は自分一人が生きるための理由を見出せず

仕事や生活を頑張る名分として「守るもの」が欲しかった


そうして互いにじわじわと温度が冷めていく中

ある日、優が「浮気をしました」と譲に告げる


二人の間には交際を始める時に決めた条約があり

浮気は要申告だが、責める行為ではないというものだった


譲は、ついにその時が来たか‥と思いながら

動揺を隠せず食事が喉を通らなかった


優にとっても人生で初めての申告だったため

緊張で手が震え、なぜか笑っていた


「ご、ごめんなさい‥」


申告後は、相手がどうしたいかを聞いて

今後について話し合うという流れだった


譲は気持ちが整理できるまで少し待ってと言い

数ヶ月後に優を野外ライブへ誘った

その際に譲は優へ恋人関係の継続を申し込む


しかし、優の気持ちはもう譲には残っておらず

恋人に戻るのは難しいと告げる


ここで二人は恋人としての破局を迎えるが

譲の中にはまだ未練が残っており

優も譲に対する恋心はないが、人として尊敬するところや

好きな部分があったため、

荷物の受け取り等を兼ねて何度か会うことになる


双方の生活が忙しくなり、会わなくなって半年が過ぎた頃

譲は以前から相談にのってもらっていた女友達と交際を始める

「彼女ができたのでこちらからは連絡しません」とメールを送った

優は「よかったね」と送るのも何か違うと思い

「わかりました、体に気を付けて過ごしてね」と返信した


それから半年後、譲はその彼女と結婚することになる

「結婚するので、もう連絡できません

  でもあなたと出会えたことは本当に感謝しています ありがとう」


優「それはおめでとう!幸せになってね」


優は、自分がしてあげられなかったことを申し訳なく思っていたので

いいお相手が見つかってよかったと思う反面

どうして自分にはできなかったのか、

ただ長い時間一緒にいただけで、

譲を幸せな気持ちにさせてあげられなかったのではないかと

彼らのハッピーな投稿をわざわざ見に行っては複雑な気持ちになった


譲の投稿は結婚後3回ほどしかなく、

優は奥さん側の投稿をチェックするのが日課となった


そんなある日、優は譲夫妻に子供が生まれた報告を見る

いろんな感情が押し寄せて、泣いてしまう優

これは何だ?どういう感情だ?と自問しながら

涙は止められないまま、ひとしきり泣いた


その後、1〜2ヶ月で奥さんの投稿が翳りを見せ始める

「旦那の出張が多く、ワンオペ育児が辛い」

「両親が育児を助けてくれない」


優の中からは複雑な気分が消え去り、

突如心配モードへ切り替わった

優と交際している当時の譲はいくつかのアルバイトをしていたが

結婚前からは、バイト先のひとつだった友達の親が経営する会社で正社員をしていた


それが全国に出張する仕事ということを優は聞いたことがあった

しかし子供が生まれた直後でもなかなか家に帰れないものだとは

その投稿を見て始めて知った


そして、ある秋の日

優の携帯電話に譲からの着信があった

その時優は隣県のシェアハウスパーティーに参加しており

着信に気づかなかったが、後に履歴を見て胸がざわつく


譲は結婚して子供もいるし「もう連絡しない」とのことだったので

もしかして緊急では‥という若干不穏な予感もありつつ、

赤ちゃんが触って誤発信してしまったのだろうと

そうであってほしい、と願いながら

優は「おひさしぶりです、どうしましたか?

   今出られないのでもし何かあればメールください」と送った



そして譲からの返信は無いまま年が明けた



優は共通の知り合いから、

譲が亡くなったことを知らされる

自らの意思で

あの秋の日


亡くなる前に職場の人や友人などに電話をかけており

その一人が優だったのだ


優はあの日電話に出られなかったことを悔やんだ

何か違和感をおぼえながらも波風のたたない方を選んだせいで

譲からの「最後に伝えたい言葉」を聞き逃してしまった


優は2年ほどその念に苛まれるも

ある日ふと譲はやっと楽になれたのではないかと考える


譲は優といる間、時折

自分の体が合っていないとつぶやいていた

なんとも言えない違和感があるのだと


後から思えば、それは魂に対して器が小さいということだったのだろうか

そうだとすれば、譲の魂は肉体という制御をとかれて

自由になれたのではないだろうか


そういう回想もあり

まず約2年の間、優を苦しめた念は

優自身から生まれたものであり、決して

譲から発せられたものではなかったこと


また、スピリチュアルな見解になるが

譲から責められている感覚が優には一切なかったこと


優の夢にさえ、譲は出てこなかったこと‥


以上のことを踏まえて、優は自身の中で

以前ともに過ごした元関係者として

譲の肉体の死を理解し、魂の解放を納得した


奥さんや、幼いお子さん

譲のご両親にとっては気の毒だし

このような考えではひどく薄情な人間だと思われるかもしれないが

優はそう解釈することで、譲の尊厳を重んじ

自分の人生と向き合うことに、また戻ることができた


優はこの時代に出会い、一時ではあるがともに過ごした譲に対して

形は違えど生きづらさを共有した戦友のような気持ちを感じたのだった



「責めないでくれて、ありがとう。

   また必ずどこかで会うから

     その時はたくさん話せるといいな

             歌も一緒に歌おうね。」

 



一体これを読んで、何をどう考察しろというんでしょうね?

誰がこんな意味不明で長い駄文を書いたんだ!

あ、私でした。すみません。


本文の内容はさておき、(おいちゃった)

前書きからの流れで言ってしまうと


二人がどのようななれそめで

どんな関係や◯情を経たとしても

「戦友のような」気持ちになったのであれば

優の譲に対する最終的な感情は「友情」と呼べるのです。


たとえ第三者が笑い、否定しようと

友情の相手が他界していてどう思っているかわからなくても、です。



結局、◯情とは個人的な感情・感想である。

故に、◯情の物語を綴るのであれば筆者がその◯情の物語の当事者でなくてはならない。


私はそう思います。※個人の感想です



みなさんはどう思われましたか?




ゆう と じょう のどこにでもあってどうでもいい友情のお話。



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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