版画(リトグラフ)を制作しなさい最終日
「プリとって」
というセリフは、世間一般では、
「私と一緒にゲーセンにプリ撮りに行こう」
というセリフかもしれない。
美大で「プリとって」
は、「そこに置いてあるプリントクリーナーをとって」
という事になる。朝からそんな事を考える。
学校到着。第五版の第一製版からスタートである。
朝から、教授に、「また黄色2色にしてグラデーションしたら?」
という無邪気なセリフに振り回され、大変さが増えた。
教授よ・・・簡単に言ってくれる・・・。
午前中インクローラーを転がしていて事件は起こった。
りょ・・・両手が死ぬほど痛い・・・
手を見ると、右手も左手も皮がずり剥けている。
教授が近くにいたので、見せて言った。
私「先生、手の皮が剥けました」
教授「版画あるあるだね。僕も昔、良く剥けたよ。でも、痛くてもそれでも続けていたら、皮があつくなって剥けなくなるんだ。」
私「」
教授「後で医務室行ってきたら?」
私「」
ああ、知ってる。こういう連中。音楽のギター弾きが通る道だ。私も通った。
でも、ギターは誰しもが親しむけど、ギターあるあるってなるけど
教授よ、版画あるあるって・・・ふ・・・。
しかも教授の顔が今までに見たことのないような笑顔だったことは気のせいということにしておこう。
後、教授、後で医務室ではなく、今痛いから訴えてるのだ。
だまって版画工房抜け出してセブンで絆創膏を買って世界堂前で貼った。
お昼休み前、東京芸大から謎にムサビに来た人に、リトグラフの違いの話を聞いた。
版画終わってしまったので暇すぎてB3クロッキー帳買ってきてお絵描きした。結局絵を描いているという、ふ。
急に自分の仕事が終わると暇にたえられないのが人間の悲しい性である。
昼休み、関西弁女子とちんぽカット女子を、武蔵野美術大学連の話出して、阿波踊りに勧誘するが普通に断られた。
道は長いなり。
掃除と、まだ作業している人のお手伝いしに行くのが14:30からなのでひたすら鉛筆でクロッキーからデッサンへ。描いているのはルイボスティーである。
私は暇つぶしがどうやら下手である。
よって暇つぶしにお絵描きしている。今は授業中だけれどお絵描きしている。
お絵描きしていても何も文句言われない学校にいる実感が湧いてきた。ぐふ。にひひ。デッサン楽しい。
トイレにやってきた。世界堂のトイレである。
べっ
便器の中に日傘落としたああああ
死にたい。
トイレ出て日傘を洗う。この気持ちを曲か絵であらわしたい。
てか、人よりはやく終わった分、人の分までの掃除、手伝いで何人分も動いた。こんなことならゆっくり描いて作れば良かった・・・。
めっちゃ損やんけ。
その後、サイン説明の話を教授から聞いた。
版画家というのは鉛筆でサインをする。鉛筆が一番筆跡を真似しにくいから。
左下にアーティストポイント(本人が保存用に持っているものと、)
最初に何枚刷るか決めて、何分の何と書く。真ん中にタイトル入れて、右端にサインをするというキマり事が世界共通であるらしい。
限定部数今回は4枚ずつ。
言われた通りに書いていく。
講評のため、壁に貼り付けて、他の作品鑑賞タイム。
講評では教授から
「なんだろう、決して絵が上手い訳じゃないのに、味がある。普通そうは描かないだろ!ってことしてるのに作品として成立してる。」
とか散々言われた。
ふ。
でも、なぜこの絵を描こうと思ったかという意図を伝える事が出来る場所なので、普通に
私「この季節は本来毎年毎年無人島で自給自足生活をしているのですが、今年は学校があってそれが出来なかったので、せめて絵の中でカワハギが釣れた自分を描きたくなったのです。ときずみは失敗しました。カラーの方では飼っているインコを実寸大で描きました。本来鳥は飛ぶべきものなのに、私に懐いていて、全然飛ばないので、絵の中で飛ばしてみたくなりました」
という解説をしたら、無人島に教授が喰らいついてきて、
教室中に笑いが起こった。
結果的に版画凄い楽しかった。
来年履修するかは今はまだ考えたくない。