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すずのお絵描き日記  作者: 鈴川愛夏
2025年6月
1/51

2025/06/18

去年の9月23日に絵を描きはじめた。私は絵の全くの素人だ。今でも素人である。誰よりも下手くそであるとの自覚はある。でも、何か間違ってしまったらしく、今美大で絵のお勉強をしている。

これが結構辛かったり楽しかったりするので、お絵描き日記をはじめようと思った。更新は気まぐれになると思うが、お付き合い頂けると嬉しい。


午前中

生理予定日越えて三日目。生理来ないから来たらきたで具合い最悪なのだが、来ないのは来ないでPMSという生理前症候群に苛まれる最悪の体調なのだ。何が最悪かって、体調の不変の他にメンタルがやばい。

四の五の言わずに、学校の課題をやろう。


B2サイズ水張りした水彩紙に描くエスキースの水彩人物画を見直す。

F15キャンバスの本画アクリル野外風景を見直す。野外風景はもっと気持ち悪さ、違和感を全面に出していきたい。


とりあえず、人物画のヒゲを描き忘れていたので水彩筆6号とさくらマット水彩のセルリアンブルーでポチポチ毛穴一つずつ描いていく。中年男性の髭が伸びた毛穴の汚さいや、これは美しさだ。私は美術をやっている。全面に出して行きたい。無駄に良い音質のSONYのヘッドホンでサスケのアルバムを再生しながらひたすら髭と毛穴を表現していく。私は暗い曲が好きだ。とにかく根暗だ。だから暗い曲を流す。今日も私は何してるんだろうか。我に帰ってはダメだ。やるのだ。髭を描き終わったら26号筆に持ち替えて、肌の色にローズマダーを足して人物の皮膚感、生きている感を出していく。水彩は難しいけれど良い。適当に感覚でこんな感じという色遣いが失敗に転ぶ時もあるが、良い感じで成功へ導いてくれる偶然とか運任せなところがあるからだ。そろそろどこをなおすか分からなくなってきた。

家を出て、世界堂へ向かうとするかな。学校の次の実習前にキャンバスを買うと、9時から実習なのに学校の世界堂がオープンするのは8:45からだからだ。事前に購入して持って行くしかないじゃないか、おい、学校。

家出るのは面倒くさいし、6月半ばなのにこの暑さだが、午前中に買い物を済ませたいので世界堂へと向かう。

その前にパレットと筆洗いを洗ってアクリル画の準備だ。


世界堂に行く前に現金三万円をATMでおろす。この令和の時代に全く世界堂というやつは、現金じゃないとポイントつけないとかどうしたものか。そんな時にかけているミュージックは中島みゆきだ。なんだか、死にたくなってきた。引き出される現金三万円を見て泣きそうである。どこまで人間をアナログにしようと絵画業界は馬鹿にしているのだろうか。でも、ポイントは大事なのである。私はおっちょこちょいだ。おっちょこちょいだから現金なんてオワコンの存在を多々忘れて生きている。学校で現金が切れたら、画材が買えなくなる。そんな時に役に立つのが世界堂のポイントで購入することなのである。おっちょこちょいも工夫しなければ生きられないのだ。


世界堂で買い物をした。今回は5900円だった。この金額が安いと感じられる私はだいぶそっち業界に染まってしまったのだろう。買った画材はクレヨンコート、ホルベインアクリルオペラ、ホルベインアクリルピンク、ホルベインアーチストオイルカラー9号キナクリドンオペラ(油絵の具)だ。

どうやら私はピンク色と青色の消費が激しいということが分かってきた。袋代33円も確かにこんなドデカイ画材を運ぶための袋なら高いと妙に納得してしまう。


世界一美味しいのではないかと独断で思っている聖蹟桜ヶ丘の世界堂の裏にあるコーヒー屋さんでモーニングを頼む。モーニングはコスパが良い。トアルコドアジャコーヒーを普通に頼んで2杯おかわりするより安くて、2杯コーヒーがついてきて、食べ物もついてくる。なんてありがたいことだろう。おっと、絵日記から外れてしまった。

カフェでも四人がけの席を1人で陣取るのだ。

なぜって、画材の大きさが2人分の席を陣取るからだ。

私が座って3人分。贅沢な気分だがきっと店にとっては迷惑な客なんだろうな。至福の時である。さっさと食べて帰って制作しなければ。この焦燥感に駆られるためにも寄り道はたまにしても良いかなと思ったりする。カフェに長居する暇はないのだ。

といいつつ、文房具屋さん通りかかって座学用のノートが足りないから座学用のノートを探す。やはりノートは無地に限るのだ。

無地のキャンバスノート2冊購入550円。

何て安いのだろうか感動・・・でもクレジットカードで決済。どやああああ!マイルを貯めるのじゃ。安くて貯まる気がしない。いや待て待て画材ではないのだ、これは、これが優しい普通の世界だ。本当の意味での世界だ。あれ?世界堂のネーミングは何なんだ?いちいち高いじゃないか。そもそも普通が何か益々分からなくなった。いらんこと考えていないでとっとと帰ろう。


本屋に立ち寄ってしまった。つい、誘惑に負けた。まんまと本屋の策略にはまり、日本画家若冲の本を購入。1650円。もう絶対寄り道しないと心に誓った。



帰ったら制作である。アクリルの野外風景画だ。

ミュージックはジャングルスマイルの曲たちに決めた。かなり暗くてしかもおそらく誰も知らない用なアーティストだろう。ふふ、私はジャングルスマイルの良さを知っている。知らない人たちざまあみろだ。ジャングルスマイル最高だぜ。ふふ。

いでよ、14号平筆。誰よりも感じ悪い、気持ち悪くなるような風景画を描いてやる。ぐへへ。細かいところは4号平筆ちゃんの出番だ。あ、筆が傷んできた。アマゾンで2799円の筆をポチる。そしてまた制作へ戻る。見てろよ、教授!こんな面倒くさい課題を私に与えたことを後悔させてやるのだ。はっはっは筆が進むぜ。ピュアレッド、セルリアンブルー、ピュアレッド、セルリアンブルー・・・描いていて自分が気持ち悪くなりそう。頼むぜ、ジャングルスマイル。私を支えて下さい。あああああああ

世界堂行ったのにピュアレッド買うの忘れてたああああ


仕方ない、絵の具切れるまで今日は描こう。色事に筆を洗って持ち帰るのが面倒になってきたので、セルリアンブルー筆とピュアレッド筆という贅沢使いをしてやるのだ。お絵描きしながら思う。世界絵画大賞展落選したの当たり前だなって。あの頃は画歴3ヶ月とか4ヶ月とかで勘違いして勢いで応募した。今ならもっと良い絵が描ける気がする。少なくとも審査員を唸らせることは出来るだろう。ああ、こんな絵描いてる今も勘違いしてるのだろうなあ。そしてコンクールなんて通る気がしない。いらないこと考えてないで集中だ、集中。

いつだって動悸は不純なものだ。私の絵を描くモチベーションは今、教授への嫌がらせというとても単純な3歳児の思考回路だ。ひたすら色を置いていく。感じ悪いと感じるままに。

さあ、気分が乗ってきたところで筆を洗ってレッツ座学。

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