BBQ冤罪事件
リサイクラー
処理項目
紙
プラスチック
液体:水
金属:アルミ 鉄 銅
木材:小型 大型
生物:植物 肉
今日は学校の課題授業。午前中は都内の植物園で見物・昼はBBQを食べて解散という流れ。現地の植物園には各自で現地到着の流れになっている。俺は凛・明・綾乃・隼人・友恵とグループを組み植物園を回る。
ここの植物園は農業系と気象操作系のスキルを使い、どんな季節でも様々な植物が観覧できるように工夫している。内部はそれぞれの季節・気象・地域(国ごとなど)で分けられており夏エリアでは
「綺麗なひまわり畑ね、明君」
「うん。春先に見る向日葵も乙だね」
大量のひまわりやハイビスカス・キキョウ・ペニチュアなどの夏の花が咲き誇り
冬エリアでは
「これが極寒の大地にしか咲かない氷菓草か」
「見てるだけで寒くなるわね」
シクラメン・パンジー・山茶花などの冬の花がしっとりと咲いている。さらに北極などの極寒地帯にしか咲かない氷菓草も展示している。
「おいしそう。シャーベットにして食べたいわね」
「最後に試食会があるんだって」
「是非食べないと」
果樹エリアにはスイカ・キウイ・バナナ・オレンジ・メロンなど様々な季節の果物が実っている。植物園の最後にある果物の無料試食エリアは季節関係なく旬な果物を食べられるので目玉エリアの一つとなっている。
「おっと」
「ふん」
果物の無料試食エリアでもぎたてのモモを食べていると炎治に背後からぶつけられる。少しよろけたが態勢を戻すと炎治は鼻を鳴らすと安藤・江口と共に離れていく。
「あいつら」
「みんな、いいよ。気にしないで」
隼人たちが文句を言いに行こうとするが俺は止める。ああいうのは対応しないのが一番の対処法。あの三人、冒険者活動もうまくいかず高校でも横柄な対応が目立ち孤立化している。まあ身から出た錆だけどね。
正午は都内のBBQ会場にて各自グループで調理して食べる。
「うん、おいしい。お肉もいい焼き加減」
「野菜もおいしいね。とくにキャベツがいい具合にしなしなで美味しい」
「そろそろえびやホタテの海鮮系を焼き始めようか」
BBQは終始穏やかに進んでいき、俺は皆が集めたごみや食べ残しをリサイクラーで処理する。政府の仕事でリサイクラーの処理量も増えいくつかレベルアップして
・金属:銅
・生物:植物
・生物;肉
が対象に増えた。ちなみに生物カテゴリーは生きた生物には適応されず、ネズミの死体などにリサイクラーを使用すると骨だけが残る。ちなみに魔物は対象外。
「あれ?」
リサイクラーを使ったんだけど・・・
最後に帰りの切符を各自グループにリーダーが取りに行くのだが
「え?きっぷがないだって」
「このテーブルのリュックに入れてたんです。BBQの途中にも確認しているので絶対ありました」
「私も確認してます」
先生が保管していた切符が入った袋が消えたらしい。全員がざわざわし始めたころ
「真白のスキルで消えたんじゃないのか?なんでも消せるんだろ?」
炎治が俺を指さしながら、皆に聞こえるように大声で話す。更に安藤・阿口
も乗っかる。
「学校でもよく紙とかゴミ袋消してるしな」
「スキルの使い方ミスって消しちゃったんだろう」
3人の声にクラスメイトや先生がそうかもしれないと疑いの目を向ける。炎治達は可能性のある理由でみんなの意識を操り俺を陥れたいようだ。はあ、浅はかだな。
「凛!」
「ええ」
俺が凛に指示を出すと結界で囲まれた緑色の袋が現れる。それを見た炎治は驚き
「なんでその袋が消えてないんだ」
「炎治さん」
「あ!」
何か炎治が致命的なことを話しているがここは更に追い込もう。
「先生、この袋で間違いないですね」
「うん。やっぱりスキルに巻き込まれたのね。でもなんで残ってるの?」
「それは後で説明します。それまで袋には触れないでください。他の人にも聞きたいんだけどこの袋に切符が入ってるって先生以外知ってる人いる?」
俺の質問に生徒は誰も手を挙げない。
「だったらなんで田中は知ってるんだ?」
「う・・」
炎治はうろたえるが
「偶然先生がリュックから取り出すのを見たんだ。大事にあつかってたから切符が入ってると思ったんだよ」
「ふーん。実は俺のスキルは所有者が大事だと思ってる物は消えないんだ。それに最近スキルのレベルアップで最後に触れた人と所有者が分かるようになったんだ」
スキル対象が増えただけでなく新スキル⦅失せモノ探し⦆も発言した。このスキルは⦅リサイクラー⦆を使って消えなかった物に対して最後に触れた人と所有者の名前が浮かびあがるようになった。この文字は俺が許可した人なら一定時間確認できるので、このスキルの事を伝えた変換専門の部署は歓喜の大声をあげていた。確かにこれって大きな手掛かりだからね。
俺が皆に見えるように文字を可視化させると、最後に触れたのが炎治・所持者に先生の名前が
「そんなの信じられるわけないだろう。お前が勝手に文字を浮かべさしてるだけかもしれないし」
ふーん、頭回るじゃん。でも、もう詰みなんだよ炎治。
「確かにここでは証明できないね。だからこの袋警察に持っていこうと思う。そこで指紋を採取してもらおう。俺のスキル通りだと最後に触れたのはお前だし、中身は念動力系のスキルでこの袋に触らないように取り出してもらったらいいし。お前の説明だと、先生が取り出しているのを遠くから見てたんだろう?」
「それは・・・」
「そうね、真白君の案で行きましょう。もし真白君の言うとおりだったら窃盗・冤罪誘導の罪になるから厳重な処分が待ってるわ。悪いけど明日、当事者の真白君・田中君・遠藤君・江口君はこっちから連絡するから學校に来てね」
そして翌日俺は凛・母さん・ばあちゃんをつれ教室へ。そこには先生の他にくだんの3人+親が集まっていた。
「お集まりいただきありがとうございます。では昨日の経緯について話します」
学年主任の先生が昨日のことを全て話し
「警察に指紋採取を頼んだ結果触れていないであろう田中君の両手の指紋がついていました。あの時は疑ってすまなかった真白君」
その場にいた学年主任・教頭・校長先生含め数人の先生が俺に頭を下げる。
「あ、頭をあげてください。あの状況だとしょうがないです」
「ありがとう、真白君。私達学校側は昨日の発言からも考え見て審議の結果、警察に被害届は出さす田名君・江口君・安藤君に2学期が始まる9月1日まで謹慎処分を通知します。自動的に出席日数が足りなくなるので留年となります」
それを聞いた炎治達はうろたえ始め
「留年とか嘘だろ?ほんの出来心だったんだよ。真白が最近調子に乗ってるから懲らしめてやろうと思って」
「俺らは田中君の指示に従っただけなんです」
醜い言い訳を始めるが
「もう真白君達は帰っていいですよ。この度は本当に申し訳ありませんでした」
こうしてBBQ冤罪事件は幕を閉じた。