能力を有効に使え!文化祭⑦舞台『ドラゴン・ハンター』②
舞台のセットが変わり、背景に少し古びたダンジョン内の岩壁が配置されている。この岩壁は段ボールの板に『モデリング』系のスキルで発砲スチロールから削り出した岩を張り付けてできている。実際の岩を使ったら持ち運びも大変だし、壁も段ボールより高価で重い物を使わないといけないからこの組み合わせがベスト。岩の色も実際にダンジョンに行ってサンプル写真を撮って塗った力作。
『ダンジョン受付で受け付けを済ませダンジョンに突入する『星空の旅立ち』』
エルのナレーションが終わると明たちが右袖から出てくる。
「綾乃、敵の反応は?」
「ないわ」
「怪しい箇所もないよ」
『ダンジョン内では『ハンター』スキル所持者の綾乃の『危険察知』により常に魔物の強襲に気を付け、メンバー全員でボタンやスイッチなどの罠を起動する仕掛けがないかを警戒します』
「正面の通路から敵の反応1」
「みんな、戦闘隊形」
明たちがそれぞれ武器を構える。それに合わせて俺はおどろおどろしい出現音と足音の効果音を鳴らす。
どしどしどし
左袖から出てくるのは『サイキック』で操られる人型の豚。
『綾乃の『気配察知』に魔物の反応があり、出てくるのはオークです』
オークは右手に持っている大きな斧を振り下ろす。この振り下ろす速度も最初は早すぎて、舞台で見ていたクラスメイトがよくわからなかった。そこで何度も試行を繰り返し舞台の人がわかるぐらいの速度がわかった。
その振りに合わせて
ビュン
腕をふる効果音を合わせる。さらに連続して
ガン
金属と金属がぶつかる効果音も出す。この効果音はオークの斧と隼人の大盾がぶつかる音。何度か打ち合った後、隼人はタイミングよく斧をはじきオークの隙を作る。そこへ
「サイクロン・アロー」
綾乃が風の魔力を含んだ矢を放つ。ここで効果音。
ズドン
その一撃で後ろに倒れるオーク。そこへ
「雷虎」
明が生み出した雷の虎がオークに襲い掛かる。
ピカッ
ズドン
この音は全部明が調整した音。
おおお
すごい光
海上は大盛り上がり。ここで
ちゃっちゃらー
討伐音の効果音を出して、舞台は暗転。よし、練習通りうまくいった。効果音や演出のタイミングを合わせるの大変だった




