能力を有効に使え!文化祭⑥舞台『ドラゴン・ハンター』①
「じゃあ、みんな準備いい?」
「「OK」」
「じゃあ、みんな頑張ろう」
文化祭2日目俺たちの演目『ドラゴン・ハンター』がもうすぐ始まる。暗幕の隙間から体育館の席を見ると明たちの人気もあるのか満席御礼。今までの練習の成果を出さないと。演劇中の俺の配置は音源室。この部屋で効果音やライトの調整などを行う。隣ではナレーション係のエルが座っている。凜はドラゴンの模型や舞台にかけた『結界』の確認や道具の荷運びを担当している。
舞台上のライトの光量・色の変換などの最終確認を終え演目の開始時間まで待つ。
『ご来場の皆さんお待たせしました。1年1組演目『ドラゴン・ハンター』始まります』
エルのナレーションが体育館全体に流れる。エルの声は聞き取りやすくきれいな声ですっと頭の中に入ってくるのでクラス一致でナレーション係に抜擢。英語なまりの発音もあったが家でも必死に練習を繰り返し台本に関しては完ぺきに発音できるようになった。
『ここはとある町の冒険者ギルド、そこに4人の学生冒険者が集まります』
エルのナレーションが終わり舞台のライトをつける。すると舞台にはクエストボードが置かれており、冒険者姿の明・生田・隼人・一条が舞台袖から現れる。
『彼らはランクBパーティー『星空の集い』、今日は何しに来たのでしょうか?』
「今日は何受けようか?みんな」
「うーん、これといいんじゃない?」
生田がクエストボードから一枚の紙を取る。みんなが紙を覗くと
「ファイアリザードの討伐ね。いいんじゃない?」
「じゃあ準備を済ませてダンジョンに向かおう」
明たちが舞台から出ると数人の冒険者が舞台に
「そういえば知ってるか?1週間前氷漬けになったオークが見つかったんだって」
「氷漬け?あのダンジョンに氷タイプの魔物はいたか?」
「いや、見つかってない。それも一体じゃなくて10体が凍ってたんだって」
「一気に10体っておかしすぎるだろ?フブキでも起きたのか」
「さあな。それも見つかったのはその一回だけ」
『何やら不穏な雰囲気。明たちはそんな情報は知らずダンジョンに向かいます』
舞台は暗転。急いで道具組がいろいろ運びます。その間に俺は次のライトの位置やBGMの再確認。次からは戦闘シーン。うまく【サイコキネシス】組と息を合わせないと。エルも次のセリフに目を通している。




